整骨院の運営と経営 発行義務がある領収書と明細書について詳しく解説

2023-07-13

整骨院の経営や運営をするには、患者に対して義務になっている事は何か等、詳しく知ったうえでサービスを提供する必要があります。

整骨院では保険証を用いた施術を行うため、義務とされている事があります。決して難しい内容ではありませんが、詳しく理解していると思っていたことでも、振りかえられる場所があると安心ですね。

そこで今回は整骨院において発行義務のある領収書と明細書について理由と注意点を解説します。

これから開業を考えている人に限らず、整骨院や鍼灸院・シェアサロンで働く柔道整復師・鍼灸師・按摩マッサージ師等、保険を取り扱う事ができるすべての人が、知識を持ったうえで保険を取り扱うか等一つの判断材料になると思います。

交付義務のある書類は領収書と明細書

柔道整復師の施術に係る療養費の一部負担金等の費用の支払いを受ける際は、患者側に領収証の交付が義務付けられました。(平成22年9月施術分から適用)

具体的にどのような項目を記載する必要があるのか?など解説します。

(出典: 厚生労働省)

整骨院・鍼灸院の領収書について

整骨院における領収書の定義

「保険診療分合計及び一部負担金並びに保険外の金額の内訳が分かるものとする」とされています。保険診療外(自費施術)の施術を行った際は、必ず区別が分かるよう記載しなければなりません。

領収書に記載しなければならない項目

窓口で一部負担金を徴収する際は必須の記載事項があります。

・施術所住所

・施術所名

・施術者の名前

領収書発行の際の注意点

・明細書発行についても義務化されたため、領収証に加え明細書も発行しましょう。(2022.10より適用)

・整骨院の領収証については、「保険分合計及び一部負担金並びに保険外の金額の内訳が分かるものとする」と決まっている為、自費施術(保険適用外)の施術を行った時には必ず明確に区別が分かるように記載する必要があります。保険外施術を行う場合は患者さんにきちんと説明してから施術を行わなければトラブルの原因になりますので、患者さんに納得してもらえるよう説明しましょう。

例えば、500円のメニューの内訳が、保険分450円・自費施術(保険適用外)が50円だとします。この自費施術分について内訳を明確に説明できなければなりません。

※患者が自費施術を納得している必要があるため、安易にワンコイン施術500円等広告をだす事は、後にトラブルの原因になりかねませんので、施術前にどのような施術であるか説明する等注意が必要です。

・1ヶ月まとめて領収証を発行した場合、保険分・保険外分問わず施術料金の合計が5万円を超えたとしても収入印紙の貼付は必要ありません。サプリ販売など施術に関係のない物販分が5万円を超えた場合は必要です。

再発行についての注意点

医療費控除について、電子申請が可能になったり、マイナンバーカードの普及により誤って複数同じ施術を控除することは少なくしやすくなってきています。

とはいえ、現時点で整骨院においては保険証の提示が必要なため、データの紐づけができていない状況です。

施術を受けた方が領収証を紛失したなどの理由で再発行を求められた場合、病院等と同様に領収証の再発行はできません。

患者さんに領収証の再発行を求められた場合、領収証明書や再発行の旨を記載して発行してください。

キャッシュレス決済時の領収証発行について

キャッシュレス決済(クレジットカード決済やPayPayなどのQR決済)の際の領収証発行も、現金での支払いと同様の取り扱いです。

PayPayなどのQR決済の場合は、領収証は発行されません。

支払い履歴は領収書ではない

アプリ内の「支払履歴」は決済金額しか表示されず、内訳などはわかりません。

現金決済と同様に、保険診療分と保険診療外がきちんとわかるような領収証を、整骨院が別途発行する必要があります。

明細書発行加算について

柔道整復師の施術に係る療養費の一部負担金等の費用の支払いを受ける際は領収証に加え、一部負担金の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書の発行が義務付けられました。(2022年10月より適用)ただし、今のところ整骨院での業務増加等に考慮し、下記のように決められています。

明細書発行加算は有償と無償の2通り方法がある

明細書発行加算については、条件を満たした整骨院に限り、義務とされています。

無償で明細書を発行しなくてはいけない施術所の条件(義務)

常勤が3名以上いる

有償で明細書を発行しなくてもよい施術所の条件

常勤が3名以下

発行義務のある施術所は正当な理由がない限り、無償で明細書を発行しなければいけません

正当な理由というのは、利用者側が不要という申し出をした場合です。

発行義務のない施術所は利用者から申し出があった場合に限り、有償での明細書発行を行います

(※発行義務のない施術所が明細書を発行してはいけないというルールはない。)

領収書兼明細書を発行する、無償で明細書を発行するなどの対応は可能です。

発行体制加算で算定する為の条件

施術所が発行体制加算に算定するためには、3つの条件があります。

・明細書を無償で発行している

・明細書を無償で発行することを院内に掲示し、利用者に周知している

・地方厚生(⽀)局⻑に届け出している

 

「無償で明細書を発行するのはデメリットしかないのでは?」と考えるかもしれませんが、無償で明細書を発行すると発行体制加算に算定できるというメリットがあります。

上記以外の施術所は、施術所の判断により患者全員に対して無償発行する、または、患者の求めに応じて発行すること(有償・無償どちらでも可)

※有償で発行する場合は「社会的に妥当適切な範囲とすることが適当」とされています。

明細書発行加算についての注意点

・明細書を無償で発行し、発行体制加算を算定するためには、管轄の地方厚生局に届出を行わなければいけません。

届出が受理されると翌月から算定が可能になります。

算定要件を満たしている施術所は、基本情報が厚生労働省のホームページに掲載されるため、利用者は届出を行っている施術所かどうかをホームページで確認できます。

・明細書発行機能が付与されているレセコンを使用している施術所であって、常勤職員(柔道整復師に限らず、事務職員等も含む。)が3人以上である施術所においては、施術管理者は、患者から一部負担金の支払いを受けるときは、正当な理由がない限り、当該一部負担金の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を無償で交付すること。

これに該当しない施術所においては、施術管理者は、患者から求められたときは、正当な理由がない限り、当該一部負担金の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を交付すること。

・領収証の再発行はできませんが、明細書は再発行ができます。

再発行の際は、手数料を徴収することもできます。ただし、社会的に妥当適切な範囲とすることが適当です。

院内掲示する時の参考資料

・全ての施術所において、「施術に要する費用に関わる明細書の発行について」の案内を掲示して、患者に周知する必要があります。

案内は、2種類の様式が厚生労働省から示されています。

必ずどちらかを院内掲示して、患者に周知してください。入り口や受付付近など、利用者の目につきやすいところに掲示してください。ただし、死角になる場所に掲示しても意味がありません。

(出典: 厚生労働省 明細書発行加算院内掲示例)

まとめ

制度の改定は、今後も見直しがされていきます。従業員の人数など条件によって対応が異なるため、注意が必要です。

全国統合医療協会では、保険請求に係る幅広い情報をご提案することが可能です。

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