【13STEP】整骨院開業の具体的な流れ・手順|成功に向けたポイントも

2023-07-18

整骨院では、高齢者のケガや体の不具合、事故やスポーツによる外傷の治療など幅広い施術を行います。そのため、将来的にも需要が続く業種の1つと言われています。一方で、供給過多と指摘されることも多く、安定した経営を続けるには他院にはない独自性が必要です。

これから整骨院を開業する場合は、成功に向けてしっかりと準備を進めておきましょう。

今回は、整骨院開業の流れと手順を詳しく解説します。整骨院開業に欠かせない成功のポイントやサポートしてくれる団体についても紹介するため、開業を考えている方はぜひ参考にしてください。

【整骨院の開業】具体的な流れ・手順を13STEPで解説!

整骨院の開業には、必要な準備がさまざまあります。まずは、開業までのスケジュール感や流れ、やるべきことをイメージしておくことが大切です。

整骨院開業の準備開始からオープンまでの全体的な手順とスケジュールは、下記の通りです。

整骨院開業を目指す場合は、期間に余裕を持って準備を進めておきましょう。また、準備を始める前段階として、整骨院開業の要件を満たしておくことも重要です。

ここからは、STEPごとの具体的な手順を解説します。

STEP1:整骨院の開業要件を満たす

整骨院を開業するには、柔道整復師資格を取得して施術管理者要件を満たす必要があります。

施術管理者の要件は、「実務経験」「施術管理者研修の受講」の2つです。

実務経験の期間は、受領委任の届出のタイミングによって異なります。施術管理者になるための実務経験の期間は、下記の通りです。

2022年4月から2024年3月までに届出 2年間
2024年4月以降に届出 3年間

施術管理者の要件が設けられる以前に養成施設に入学した方に配慮し、実務経験の期間は段階的に定められています。実務経験の証明に、常勤・パート・アルバイトなどの雇用形態は問われません。

施術管理者研修では、16時間以上2日程度の研修内容を受講します。施術管理者研修修了証が交付されるまでの期間は、研修修了後2週間程度です。

施術管理者研修の受講は、不動産の契約や設備購入などの開業準備と同時進行することも可能です。受講者は優先度を考慮して決定するため、開業準備を進めている方のほうが有利となります。

(出典:厚生労働省「00-1【事務連絡・案1】施術管理者の要件について※都道府県、保健所、特別区」/https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/180305-02.pdf

STEP2:ある程度の開業日・開業エリアを決める

整骨院開業に向けて、「○月上旬」「○月中」などある程度の開業日をイメージしておきましょう。

開業予定日が定まると逆算して開業計画を立てられるため、スムーズに準備を進めやすくなります。開業予定日までに必要な準備をしっかりできるように、余裕を持って開業日を検討することが大切です。

また、同じタイミングで開業エリアも決めておくと、以降の準備に着手しやすくなります。

STEP3:市場調査をする

次に、決めた開業エリアの市場調査をします。

市場調査でチェックすべきポイントは、下記の通りです。

競合の有無
競合のサービス内容
人の流れ
周辺施設
アクセス面
エリアの雰囲気

整骨院は供給過多の傾向にあるため、開業エリアに競合店があると十分な集客数を確保できない可能性が高くなります。エリア内の整骨院数や競合が提供している施術内容・サービス形態にも注目しましょう。

また、人の流れやアクセス面、周辺施設も含めて調査が必要です。

STEP4:コンセプトを考える

市場調査の結果をもとに、施術所のコンセプトを考えます。

競合が多く存在する柔道整復師業界で生き残るには、施術所の独自性を明確にして他院では得られない何かをアピールする必要があります。

コンセプト作りのポイントは、次の2つです。

ターゲット層を明確にする
他院との差別化を図る

「どのような方に来院して欲しいか」「他院に負けない強みは何か」など、ターゲット層や他院にはないものを洗い出してニーズのあるコンセプトづくりを意識しましょう。

コンセプトは院内の改装工事や必要な医療機器・備品選びにも大きく影響します。コンセプトが曖昧だと、オープンまでに時間がかかってしまったり、せっかく開業しても経営が上手くいかなかったりする場合があります。

コンセプト作りは開業準備の原点とも言えるため、納得がいくまでじっくり検討することが大切です。

STEP5:事業計画を立てる

整骨院の開業には、事業計画書の作成が必須です。

事業計画書を作成することで、計画内容や将来の見通しを客観視できます。また、融資を受けるにあたり、金融機関から事業計画書の提出が求められます。事業計画書の内容は融資の可否に影響するため、必要な内容をしっかりと記入しておきましょう。

事業計画書の作成で押さえておきたい主な項目は、下記の通りです。

創業動機
経営者の略歴
事業概要
取引先
営業戦略
従業員
借り入れ状況
必要な資金と調達方法
事業の見通し

事業計画書は、金融機関の融資担当者が知りたい情報をしっかりと含めることがポイントです。「必要な資金と調達方法」については、STEP7で詳しく紹介します。

STEP6:物件(テナント)を選定する

事前に決定していた開業エリアの範囲内で、希望に合う物件を探します。

物件を選定する場合のチェックポイントは、下記の通りです。

人目につきやすい場所にあるか
駐車場や駐輪場を確保できるか
周辺の競合と差別化を図れるか
アクセスしやすいか
資金的に無理なく契約できるか

実際に整骨院の利用者の目線に立って、視認性や利便性に優れているかどうかイメージすることが大切です。また、資金面に支障がないかどうか判断した上で、物件を決定しましょう。

STEP7:資金計画を立てる

資金計画は、事業計画の内容と選定した物件情報をベースに考えます。物件の工事費や家賃、医療機器の購入費や人件費など、開業にかかる費用を洗い出して概算を出しましょう。

一般的に、整骨院の開業にかかる資金は数百~1,000万円程度と言われています。整骨院の規模や立地、医療機器の購入方法などによって異なります。

代表的な資金調達方法について

代表的な資金調達方法は、自己資金または金融機関からの融資です。金融機関から資金を調達する場合の主な借入先は、日本政策金融公庫・信用金庫・地方銀行などです。

金融機関から融資を受ける場合、借入先や借入希望額によっては開業のためにどれくらいの費用が必要なのか細かく聞かれます。調達した資金を内外装工事費用や院内機器・設備の購入費用に充てたいと考えている場合は、事前に諸費用をある程度把握しておかなければなりません。

融資が実行されるまでの期間は、資金調達の相談から2週間~1か月程度が基本ですが、遅ければ1か月以上かかる場合もあります。内外装工事の見積もり・購入したい設備の選定は、事前に済ませておくか資金調達の相談と併行しておくと安心です。

STEP8:院内の改装工事・レイアウト設計を行う

スタッフの動線や医療機器の設置場所など施術のしやすさを考慮して、院内のレイアウトを考えましょう。利用者がリラックスできるような内装を意識することもポイントです。整骨院の開業経験がある方に相談することで、スタッフが動きやすいレイアウトを設計しやすくなります。

院内の改装工事・レイアウト設計は、保健所で定められている構造設備基準を満たす必要があります。基準を満たしていなければ開業できなくなるため、十分注意しましょう。

STEP9:医療機器・設備・備品を揃える

整骨院の開業に必要となる主な医療機器・設備・備品は、下記の通りです。

リラクゼーション機器
電気治療機器
湿性温熱療法機器
ベッド・枕・マット
受付や待合室の机・椅子
衛生用品
掃除用品

医療機器は、施術内容やターゲット層に合わせて必要なものを選びましょう。設備と備品は、コンセプトと利用者・従業員の快適性を考えて選ぶことがポイントです。

医療機器は「購入orリース」どちらが良い?

必要となるものの中でも、特に高額になりやすいのが医療機器です。医療機器は、購入以外にリースにするという選択肢もあります。

開業の初期費用を抑えたい方には、医療機器をレンタルできるリースが向いています。リースの場合は、リース料金の全額経費計上が可能です。

資金に余裕がある方やオーダーメイドしたい方には、購入が向いています。医療機器の減価償却費用は、経費計上できます。

【接骨院】医療機器の種類と導入方法|購入・リースどちらが良い?

「全国統合医療協会」では、複合高周波EMS「ELbio」を提供しています。「ELbio」は、アウターマッスルとインナーマッスルの両方を効果的に鍛えることが可能です。競合との差別化を図りたい方にもおすすめです。

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STEP10:整骨院開業の各種申請・手続きを行う

整骨院の開業には、複数機関への届出が必要となります。手続きごとに準備しなければならない書類が数多くあるため、内装工事や機器・設備の準備と併行して進めておきましょう。

開業準備に向けてやるべきことが多いと、ついつい各種届出がおろそかになる場合もあります。必要な届出を忘れてしまうと予定していた開業日に間に合わなくなる可能性もあるため、十分注意しましょう。

以下では、整骨院の開業に必要となる各種届出について、概要と必要書類を詳しく解説します。

(1)施設所開設届

施術所開設届は、必要書類を添付して開設後10日以内に管轄の保健所へ届出します。

主な必要書類は、下記の通りです。

必要書類

保健所開設届
施術所の平面図
施術所の周辺図
柔道整復師免許証の原本と写し
本人確認書類

書類の不備が指摘されるケースが多いため、事前に窓口で相談して準備を進めておくと安心です。

(2)受領委任の取り扱いに関わる申し出

受領委任の取り扱いに関わる申し出は、開設届を提出後に管轄の地方厚生局へ届出します。

主な必要書類は、下記の通りです。

必要書類

確約書
柔道整復施術療養費の受領委任の取扱に係る届け出
誓約書
実務経験期間証明書
施術管理者研修修了証の写し
保健所開設届の写し
施術管理者の柔道整復師免許証の写し

保健の取り扱いは、受領委任取り扱いの届出が受理された日から可能になります。

(3)共済番号の取得

国家公務員・地方公務員・防衛省関係の保険取り扱いができるように、各管轄機関に共済番号の取得を申請しておく必要があります。

主な必要書類は、下記の通りです。

必要書類

柔道整復師免許証の写し
申請書
確約書

必要書類は各管轄機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

(4)税務署への届出

個人事業主としての開業届を、事業開始から1か月以内に税務署へ提出する必要があります。

主な必要書類は、下記の通りです。

必要書類

個人事業の開業(廃業等)届出書
本人確認書類の提示または写しの添付

e-Taxで提出する場合は、本人確認書類の提示または写しの添付は必要ありません。

(5)労災保険指定医療機関への届出

労災保険の取り扱いには、労災保険指定医療機関への届出が必要です。

主な必要書類は、下記の通りです。

必要書類

申出書
確約書
指定・指名機関登録(変更)報告書
保健所開設届
施術所の平面図
施術所の周辺図
柔道整復師免許証の写し

必要書類が多く作成に時間がかかるため、スケジュールに余裕を持って準備しておきましょう。

STEP11:人材採用・スタッフ教育を行う

整骨院開業には、一緒にオープンを迎える人材を確保しておくことも大切です。事前にスタッフ向けのマニュアルを用意しておき、採用したスタッフの研修や講習を開業日までに済ませておきましょう。

また、スタッフ向けのセミナーや人材育成プログラムを活用するのも1つの方法です。セミナーや人材育成プログラムを活用することで、スタッフ教育にかかる時間を他の準備にあてることができます。また、質の高いスタッフ教育ができることもメリットです。

STEP12:集客に向けた広告・宣伝活動を実施する

集客率を上げるために、広告を打ち出すなどして宣伝活動にも力を入れましょう。

集客に向けた宣伝活動は、主に「オフライン施策」「オンライン施策」の2つに分けられます。それぞれの具体例は、下記の通りです。

オフライン施策

チラシ
DMハガキ
看板
地域広報誌
紹介カード

オンライン施策

店舗ホームページ
SNS
ブログ運用
ポータルサイト
Googleビジネスプロフィール
リスティング広告

特に開業前に重要となるのが、店舗ホームページの作成とチラシ・DMハガキの配布です。地域周辺の方のチラシを配ってホームページに呼び込むことで、施術内容やアピールポイントを効果的に周知できます。

ホームページの作成には時間がかかるため、広告ツールを活用したり外部に作成を依頼したりするのがおすすめです。

SNSを活用する場合は、各種SNSによってユーザーの年齢層が異なるため、ターゲット層に合わせて種類を選びましょう。

整骨院の開業(オープン)

資格取得から始まり、開業準備や各種申請手続きなどさまざまな準備を重ねて、いよいよ整骨院開業日を迎えます。無事にオープンすることができて安堵するのも束の間、次は経営を軌道に乗せるための努力が必要です。

実際に開業して気づいた課題を1つ1つクリアして、利用者や地域の方々に役立つ整骨院を目指しましょう。

整骨院開業を成功させるためのポイント

整骨院開業が成功させられるかどうかは、開業準備・開業スタート時にかかっています。

開業を成功させるために、次のポイントを意識して準備を進めましょう。

●コンセプト・ポジショニングを明確にする
「24時間営業の整骨院」「スポーツに特化した整骨院」など、コンセプトを具体的に作り上げてポジショニングを明確することが重要です。

利用者のニーズと院のコンセプトをマッチさせることができれば、安定した集客を維持しやすくなります。コンセプト作りでは、雑誌やSNSなどの情報が参考になる場合があります。競合の動向もチェックしつつ、利用者が来院したくなるようなコンセプトを考えましょう。

●頼れるパートナーを見つけておく
準備を進める手順を相談したり注意点などをアドバイスしてくれたりする存在がいると、安心して開業準備を進めることができます。

整骨院開業の準備をスムーズに進めるためにも、開業支援をしてくれる頼れるパートナーを見つけておくことがポイントです。

「全国統合医療協会」では、整骨院開業を目指す方のサポートを実施しています。

全国統合医療協会に依頼できる内容の具体例は、下記の通りです。

開業支援
請求代行
融資
WEB広告・ホームページ作成
店舗設営サポート
レセコン紹介
医療機器紹介

開業に向けて準備を1人でこなすとなると、不安や疑問はつきものです。支援してくれるパートナーからのサポートを受けつつ、整骨院開業の成功を目指しましょう。

まとめ

整骨院を開業するには、市場調査や事業計画書の作成などさまざまな準備を1つ1つこなしていく必要があります。施術管理者要件を満たすために必要な実務経験は2~3年、さらに開業準備には1年半以上かかるため、整骨院開業を目指す場合は計画的に準備を進めることが大切です。

整骨院開業を成功させるには、コンセプトやポジションを明確にすることと、頼れるパートナーと一緒に準備を進めることが重要です。

開業準備のパートナーを探している方は、開業支援や医療機器紹介など幅広く支援してくれる「全国統合医療協会」に相談してみましょう。