整骨院における「施術所開設届」の書き方|提出時のポイントも解説!

2024.01.16
整骨院における「施術所開設届」の書き方|提出時のポイントも解説!

整骨院を開業する際には、物件選びや内装工事、備品の準備など、さまざまな手続きや準備が必要です。整骨院開業後に施術を行うために欠かせない準備としては、各自治体へ提出する各種届出が挙げられます。

なかでも「施術所開設届」は、整骨院を正式に開設したことを届け出る重要な書類です。記載内容や添付書類に不備があると、再提出を求められたり、開業スケジュールに影響が出たりすることもあるため、正しい書き方や提出時の注意点を理解しておく必要があります。

そこで今回は、施術所開設届の概要から入手方法、具体的な書き方や提出時のポイントまで、整骨院開業前に押さえておきたい内容を分かりやすく解説します。

1. そもそも施術所開設届とは?

施術所開設届とは、 整骨院や鍼灸院などの施術所を開業した際に、その施設を正式に認めてもらうため、所轄の保健所へ提出する届出書類のこと です。整骨院を運営するうえでのスタートラインとも言える重要な手続きであり、開業後には必ず提出しなければなりません。

施術所開設届を提出する主な目的は、「施術所が法令で定められた構造設備基準を満たしているかを保健所が確認すること」、そして「その施術所に従事する柔道整復師を正式に登録すること」にあります。これにより、衛生面や安全面が確保された環境で施術が行われているかどうかがチェックされます。

柔道整復師法第19条では、整骨院を開設した場合、開設後10日以内に施術所の所在地を管轄する都道府県知事へ届け出ることが義務付けられています。期限内に提出しなかった場合や、無届のまま営業を行った場合、罰金や行政指導、営業停止命令などの処分を受ける可能性があります。

また、施術所開設届が提出されていない状態では、療養費の保険請求が行えなくなる点にも注意が必要です。さらに、法令を遵守していない施術所として認識されることで、地域や患者様からの信頼を損なうリスクも避けられません。

そのため、 整骨院の開業を検討している場合は、施術所開設届を最優先で確認・準備すべき重要な手続きとして捉えることが大切 です。

1-1. 施術所開設届の入手方法

 ● 施術所を管轄する保健所、または保健センターの窓口で受け取る

 ● 自治体の公式ホームページから様式をダウンロードする

施術所開設届は、施術所を管轄する保健所、または保健センターの窓口で直接受け取れますが、窓口へ行く手間を省ける点から、 公式ホームページでのダウンロードのほうが効率的 と言えるでしょう。

多くの自治体では公式ホームページ上に様式が掲載されており、PDFやWord形式でダウンロードできます。ダウンロードした様式は、パソコン上で直接入力する方法のほか、印刷して手書きで記入する方法のいずれでも対応できるケースが一般的です。

1-2. 施術所開設届の提出時に必要となるその他の添付書類

施術所開設届の提出時には、届出書1枚だけでなく、いくつかの添付書類の提出も求められます。主に必要となる書類は、下記の通りです。

 ● 施術所開設届

 ● 施術所の平面図

 ● 柔道整復師免許の原本と写し

 ● 施術管理者研修修了証の原本と写し

 ● 定款の写しと登記簿謄本(法人の場合)

 ● 賃貸契約書の写し(施術所が賃貸の場合)

なお、必要書類は自治体によって異なる場合があるため、提出前に管轄の保健所へ必ず確認しておきましょう。

2. 施術所開設届の書き方と注意点

施術所開設届には、開設年月日や施術所の名称、従事する施術者の情報、構造設備の概要、施術所平面図など、整骨院の運営に関わる基本事項を正確に記載する必要があります。

これらは単なる形式的な記入項目ではなく、施術所が法令上の基準を満たしているかを確認するための重要な情報です。記載内容に不備やルール違反があると、受理されなかったり、差し戻しとなったりする可能性があるため、各項目の記入方法と注意点をしっかり押さえておきましょう。

ここからは、施術所開設届の書き方と注意点を、特に迷いやすい項目別に紹介します。

2-1. 名称

名称欄には、開業する整骨院の正式な名称を記載します。「あはき・柔整広告ガイドライン」に沿った名称であれば使用可能ですが、 医療機関と誤認されるおそれのある名称は認められていません。

使用可能な名称例 使用できない名称例
 ● 〇〇〇施術所  ● 〇〇〇クリニック
 ● 〇〇〇整骨院(または接骨院)  ● 〇〇〇病院
 ● 〇〇〇はり・きゅう療院  ● 〇〇〇治療所(または治療院)

なお、「〇〇〇治療所」という名称は使用不可と判断される場合がある一方で、「〇〇〇鍼灸治療院」など施術の名称を前につける場合は認められるケースもあります。

名称で迷う場合は、事前に保健所へ確認しておくと安心です。

2-2. 業務に従事する施術者

「業務に従事する施術者」の欄には、開設する整骨院で施術に従事する全員の氏名、業務の種類、区分(目が見える者・見えない者)を記載します。

ここに記載した施術者については、 提出時に身分証明書や柔道整復師免許証(原本および写し)の提示・提出を求められるため、事前に全員分を準備しておく必要があります。

2-3. 構造設備の概要

構造設備の概要欄では、施術所が基準を満たしているかを確認するため、以下の内容を具体的に記載します。

 ● 専用の施術室、待合室の有無とそれぞれの面積

 ● 外気開放面積や換気装置の有無

 ● 施術に用いる器具の概要

 ● 手指や器具の消毒設備の有無と内容(消毒方法・設備の種類など)

 ● 施術ベッドの台数

なお、施術室に換気装置を設けていない場合は、 室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放できる構造であることが条件 とされています。

2-4. 施術所平面図

施術所平面図には、施術室や待合室の配置と面積が分かる図面を添付します。手書きやパソコン入力のほか、別途作成した図面の貼付でも特に問題はなく、 形式よりも「必要な情報が正確に読み取れるか」が重視されます。

平面図には、下記の点を明記しておくことが必須です。

 ● 施術室、待合室、受付など各スペースの配置

 ● 各部屋の寸法および面積(㎡または畳数)

 ● 手洗い設備、換気設備、窓の位置

 ● 出入口や通路などの動線

なお、施術室は6.6㎡以上、待合室は3.3㎡以上の面積が必須条件となっている点も覚えておきましょう。

3. 【整骨院】施術所開設届を提出する際のポイント

施術所開設届は、書類を提出すれば必ず受理されるものではありません。施術所開設届の内容に漏れや誤りがあった場合は、受理されず差し戻されてしまいます。また、内容に問題がなくても、提出のタイミングによっては受理されない場合がある点にも注意が必要です。

何らかの理由で施術所開設届が受理されず、予定していた日に提出できなくなると、開業スケジュール全体に影響が出る可能性もあります。そのため、事前に注意点を把握し、余裕をもって準備を進めることが重要です。

ここからは、整骨院が施術所開設届を提出する際に、特に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

3-1. 開設前に図面を役所へ持参して相談・確認しておく

たとえ施術所開設届の必要書類がそろっていても、店内の構造設備基準を満たしていなかったり、記載内容に不備があったりすると、保健所の窓口で受理されない場合があります。

特に、施術室や待合室の面積、換気や動線の取り方などは、自治体ごとに確認が厳しく行われる傾向があります。

また、保健所によっては、事前に建築・内装の図面を確認していない施術所については、開設届自体を受け付けないという運用を行っているケースもあります。

そのため、 内装工事が完了してから相談するのではなく、開業前の段階で図面を持参し、構造設備基準を満たしているかを確認してもらうことが重要 です。

事前相談を行っておくことで、後から大きな修正が必要になるリスクを避けられるほか、開設届の提出もスムーズに進めやすくなります。

3-2. 開設後は10日以内に各自治体の保健所に提出する

施術所開設届は、柔道整復師法により、開設後10日以内に施術所所在地を管轄する保健所へ提出することが義務付けられています。期限を過ぎてしまうと、行政指導の対象となる可能性があるため注意が必要です。

なお、 健康保険を取り扱う場合は、さらに注意が必要 です。保健所へ施術所開設届を提出しただけでは、受領委任の取扱いは開始できません。

受領委任の申請には、保健所の受領印が押された施術所開設届の写しが必要となるため、「いつから保険診療を開始したいか」を踏まえたスケジュール管理が重要になります。

【施術所開設届の提出スケジュール例】

健康保険を取り扱わない場合 開設後10日以内に開設届を提出
健康保険を取り扱う場合 開設届提出 → 受領印の取得 → 受領委任申請

上記のような流れを想定し、 開設届の提出時期を逆算して準備しておくと安心 です。

3-3. 控えが必要な場合は施術所開設届一式を2部用意しておく

施術所開設届は、提出後も受領委任の申請や各種行政手続きにおいて、「すでに届出を行っていること」を証明する書類として使用する場面があります。そのため、控えの保管は非常に重要です。

実務上は、 施術所開設届と添付書類を含めた一式を、提出用と控え用の2部用意しておくのが基本 となります。多くの保健所では、提出用・控え用の両方に受領印を押してもらえるため、押印済みの控えが後の手続きで使用できる正式な写しとなります。

届出書だけでなく、「どの書類を提出したのか」が分かる形で一式を保管しておくことで、その後の手続きをスムーズに進めることができるでしょう。

4. 整骨院の開業に必要な施術所開設届以外の届出・手続き

整骨院を開業する際は、施術所開設届の提出だけでなく、いくつかの届出・手続きもあわせて行わなければなりません。主に必要となる届出・手続きは、下記の通りです。

●開業届
事業の開始時に税務署へ届け出る書類です。提出しなくても罰則はありませんが、屋号名義での口座開設ができない、青色申告などの税制上のメリットを受けられないといった不都合が生じるため、実務上は提出が必須と言えるでしょう。

●受領委任の取扱いに関する申請
健康保険を取り扱う場合に必要となります。受領委任の取扱いに関する申請を行うことで、患者さんが窓口で自己負担分のみを支払う保険施術が可能となります。施術所開設届と併せて、これらの手続きを漏れなく進めることが重要です。

まとめ

整骨院を開業した際は、開業後10日以内に施術所開設届を提出しなければなりません。内容の漏れや不備によって届出が受理されない場合、開業や保険施術の開始時期に影響が出る可能性もあるため、事前準備を心がけましょう。

また、整骨院の開業時には開業届や受領委任の取扱いに関する申請など、施術所開設届以外の手続きも忘れずに行う必要があります。

全国統合医療協会では、整骨院の開業・運営に関する一貫したサポートを提供しております。スムーズに整骨院を開業したい人や、開業後の整骨院運営にも不安がある人は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長