【整骨院の経営】賃貸借の保証契約に定められた「追い出し条項」に関し最高裁の判断が出ました

23-04-24 経営関係

★弁護士監修
★患者さんとの話題にご活用ください!!

賃貸住宅を借りる際に賃貸借契約書や保証契約書の内容を確認していますか?
今回は、賃貸借の保証契約書に定められた条項が、消費者の利益を一方的に害すると判断した直近の最高裁判例を一つご紹介します。

この事案では、賃貸借の保証契約書において、借主が一定期間分の賃料等を滞納した場合で、一定の条件を満たしたときには、連帯保証人(家賃保証会社)が、①借主に無断で賃貸借契約を解除することができ、また、②借主が物件を明け渡したものとみなすという条項が定められており、この二つの条項の違法性(消費者契約法違反)が問題になりました。

最高裁は、①については、賃料等の滞納が3か月分以上に達した場合に、連帯保証人が何ら限定なく賃貸借契約を借主に無断で解除できるとする条項は、借主に滞納した賃料の支払いについて最終的な考慮の機会を与えることなく、無断で解除できてしまうものであるため、借主の利益を一方的に害する条項だとして、違法だと判断しました。
また、②については、賃料等の滞納が2か月以上あり、借主本人と連絡が取れない状況にあることや借主が物件を相当期間利用していないと認められることなどの条件を満たした場合に、借主が物件を明け渡したとみなす条項は、実際には、賃貸借契約が続いていて、借主が賃貸住宅を使用する権利があるにもかかわらず、連帯保証人の一存で、借主の物件を使用する権利が制限されることになるなどの理由から違法だと判断しました。

この最高裁判例は、連帯保証人(家賃保証会社)によって借主を追い出すような契約(「追い出し条項」)をすることに歯止めをかける点に意義があります。

今回紹介した最高裁判例は、借主が消費者(事業者ではない個人)のケースについて判断したものです。借主が事業者であるケースでは、消費者契約法が適用されないため、必ずしもこの「追い出し条項」が違法となるわけではありません。
しかし、このような借主に不利な条項は、事業者同士の賃貸借契約の場面においても存在することがあります。賃貸借契約や保証契約締結の際には、契約書の内容を十分に確認することが大切です。
契約書のリスクを判断するために、法律の専門家に相談されることも検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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監修:工藤法律事務所
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