柔道整復師に求められる倫理と不正請求のリスク

柔道整復師に求められる倫理と不正請求のリスク

柔道整復師が関与する保険金詐欺や療養費の不正請求は、重大な刑事処分および行政処分の対象となります。不正が発覚すると、処分内容が公表されるため、信用を失い、今後の業務継続が困難になる可能性が高まります。本コラムでは、具体的な事例を挙げながら、不正行為のリスクについて詳しく解説します。

※下記はあくまで一例ですべての事案に当てはまるわけではありませんが、処分が下されると院名も名前も公表されますので、絶対に止めましょう!

不正請求の主な事例と処分内容

以下の表は、過去に発覚した不正請求の事例と、それに対する刑事処分および行政処分の内容をまとめたものです。

事例 不正請求額 刑事処分 行政処分
患者と共謀して交通事故の偽装、通院日数の水増し 1,241万5,065円 懲役4年 免許取消
患者と共謀して通院日数を水増 131万6,370円 懲役2年6月・執行猶予5年 免許取消
患者と共謀して通院日数を水増 633万970円 懲役3年・執行猶予5年 業務停止5年
柔道整復師が単独で患者の通院日数を水増(詐欺未遂) 懲役2年・執行猶予4年 業務停止3年
患者と共謀して通院日数を水増 5万3,260円 懲役1年6月・執行猶予3年 業務停止2年
柔道整復師法違反(国家試験漏洩) 懲役1年・執行猶予3年 業務停止3年
療養費不正請求 業務停止3月~
施術所内でわいせつ行為 免許取消
施術所外でわいせつ行為 業務停止6月~

不正請求の影響

不正請求が発覚した場合、以下のような深刻な影響が生じます。

1. 刑事処分による社会的信用の喪失

詐欺罪に問われると、懲役刑が科せられることがあります。執行猶予がついた場合でも前科がつくため、今後の業務に大きな影響を与えます。

2. 行政処分による業務停止・免許取消

不正請求が発覚すると、行政処分として業務停止や免許取消が行われます。免許取消となると、再取得は極めて困難です。

3. 院名および個人名の公表

処分が下されると、厚生労働省や都道府県のホームページに院名・個人名が公表されます。これにより、社会的信用を大きく失うことになります。

4. 損害賠償請求の可能性

保険会社から不正に受け取った療養費の返還を求められるほか、場合によっては損害賠償請求を受けることもあります。

不正防止のためにできること

柔道整復師として適正な請求を行うために、以下の点に注意しましょう。

1. 適正な記録管理

・カルテやレセプトの正確な記録を徹底する。 ・患者の来院記録を偽造しない。 ・領収書の発行を適切に行う。

2. 患者との適切な関係の維持

・患者からの不正請求の依頼に応じない。 ・金銭目的での不正請求を提案しない。 ・患者に適正な請求方法を説明する。

3. コンプライアンスの徹底

・最新の法改正情報を把握し、遵守する。 ・同業者と情報交換を行い、適正な業務運営を意識する。 ・定期的に法的リスクについての勉強会を実施する。

 

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まとめ

柔道整復師としての信頼を守るためには、売上や利益率を考えながら適正に療養費請求を行うことが何よりも重要です。不正請求は発覚した際のリスクが非常に高く、刑事処分・行政処分だけでなく、社会的信用の喪失や損害賠償請求など、多大な影響を及ぼします。日々の業務の中で、適切な記録管理とコンプライアンス意識を徹底し、不正行為に手を染めることのないよう努めましょう。

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この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長