柔道整復師・鍼灸師・按摩指圧マッサージ師の保健所の開設届について
こんにちは。全国統合医療協会のスタッフブログです。
柔道整復師・鍼灸師・按摩指圧マッサージ師の業務を行う際は、施術所を開設し開設後10日以内に保健所に対し開設届を提出する必要があります。
開設届・廃止届を提出する際に必要となるものは各都道府県、指定都市、中核市、その他政令で定める市又は特別区によって異なっています。
この記事では、例を交えながら説明していきます。今回は、東京都保健医療局東京都南多摩保健所の定める開設届を例として挙げていきます。
目次
開設届の手続きについて
必要書類
・「柔道整復」と「あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう」では様式が異なりますので、それぞれに開設届が必要です。
・業務に従事する施術者の免許証の写し 本証照合のため、本証も必要です。
・平面図
・案内図
下記2つは法人の場合
・定款(寄付行為)の写し
・法人の登記事項証明書発行後6か月以内のもの。
以上のものが開設届を提出する際に必要となってきます。
定款(寄付行為)とは?
定款(寄付行為)は、一般財団法人などの定款に相当するもので、法人の基本的規則を定める意思表示を意味します。法人を設立する行為自体を「寄附行為」と呼ぶ場合もあり、この場合は法人を設立する目的で一定の財産を提供すべき旨を表示するとともに、法人の基本的規則を定める意思表示をいうものを指します。
法人の登記事項証明書とは?
法人の登記事項証明書は、法人の登記簿に記載されている基本事項を証明する公文書です。正式名称は「登記事項証明書」ですが、「登記簿謄本」や「履歴事項全部証明書」とも呼ばれ、登記事項証明書には、商号、所在地の住所、設立目的、役員、本店などの情報が記載されています。会社設立後の社会保険や労働保険の加入手続き、融資や補助金・助成金の申請、新規取引の際の与信チェックなど、さまざまな場面で必要になるものです
(参照:多摩保健所https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/minamitama/youshiki/shinryoujotou/sejutsusho.html)
注意事項
初めは柔道整復取り扱いで施術所を開設し、その後鍼・按摩指圧マッサージを追加したいときも変更届ではなく、上記にあるように柔道整復同様に鍼灸・按摩指圧マッサージの施術所開設届が必要になってきます。
開設届は資格保有者以外でも提出できるのか?
結論可能です。
施術所の開設は国家資格を保有していなくても開設ができます。
施術に従事する施術者が、柔道整復師・鍼灸師・按摩指圧マッサージ師の国家資格を保有していれば業務が可能となります。
資格がない方でも開設いただいて、柔道整復師・鍼灸師・按摩指圧マッサージ師の方を雇うことで施術を行えます。
しかし、注意点もあります。施術所を開設し、世間一般の保険施術には受領委任の届出が厚生局に必要となり、その際は、柔道整復師・鍼灸師・按摩指圧マッサージ師にも実務経験期間証明書・施術管理者研修終了証が必要になります。
こちらの実務経験期間証明書・施術管理者研修終了証については、下記URLにて詳しく記載しておりますので、ご覧ください。
(https://zenkoku-iryo.com/column/knowledge/howto-treatmentmanager)
開設届の流れ
保健所での事前確認・相談
(予定している施術所のレイアウトを記載した平面図、その他ご用意できている開設に必要な提出書類)
↓
設備工事・施設の完成
↓
開設(開設後10日以内に保健所に必要書類の提出が必要になります。)
↓
届出(保健所保管分と施術所保管分が必要になりますので、正副2部が必要となり、副本については後日交付されます。)
↓
実査(保健所の監視員が確認に来ます。)
事前確認が必要な理由
保健所へ開設届を提出した際に、書類の不備や構造設備基準の不備によって受取をしてもらえず、届出ができない恐れがあります。また保健所によっては、事前相談の際に建築・内装などの図面の確認を行っていない場合に、開設届の受理を認められない場所もあることを把握しておきましょう。こういったケースは各保健所によって異なってくるため事前に確認を行い、必要に応じて相談を行うことが予定通り開設を行うためには重要になってきます。
使用できる施術所名称も規定がありますので、規制の対象でないかを事前確認いただく必要がございます。
認められていない名称例
施術所で認められていない名称例 |
医療法に関わる名称 (例:○○クリニック、○○治療院など) |
「科」の文字を使用すること |
医師法に抵触する名称(例:鍼灸医○○、中国鍼医○○など) |
施術所で認められていない医業類似行為の名称を使用すること (例:○○鍼灸整体院、○○エステティックマッサージ院など) |
平面図(構造設備基準に準じているもの)
記載内容(施術所内の部屋ごとの用途、専用の施術室・待合室の面積、外気に開放しうる窓などの設備又はそれに代わる換気設備・位置、施術ベットの数、手指等の消毒設備の位置を記載したもの)
構造設備基準
・6.6 ㎡以上の専用の施術室を有すること。
・施術室は、室面積の 1/7 以上に相当する部分を外気に開放し得ること。 ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りでない。
・施術室内に施術台を2台以上設置する場合には、各々カーテン等で仕切り、患者のプライバシー に配慮すること。
・3.3 ㎡以上の待合室を有すること。
・施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること。
・施術所は住居、店舗等と構造上及び機能上独立していること。
※構造設備基準の専用の施術室について、カーテンで個室になるように対応することが求められる保健所やパーティションで簡易的遮るのみ等のケースもあるが、専用性の確保のため他の部屋との区切りを固定壁やパーティション等で上下左右全てを完全に区切り、出入り口も完全に固定されている扉に限るなどもある。
待合室についても柔道整復・鍼灸・按摩指圧マッサージを行っている施術所でそれぞれの専用の施術室に直接通じている必要があるなどのケースもみられる。
また、消防法の関係上天井から〇〇mは空間を開けるなど様々な基準があるため工事等を入れる前に、各都道府県、指定都市、中核市、その他政令で定める市又は特別区確認しておくことが重要となってくる。
衛生上必要な措置
・常に清潔に保つこと
・採光、照明及び換気を十分に行うこと。
開設届は、上記をすべて満たしている必要がありますので開設の際はよくご確認ください。個別相談は下記からご相談ください
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案内図
施術所の所在が分かるものを提出します。
(手書きの場合は目印となるものを含めわかりやすく見えるもの又は地図等の写しでも可能な保健所もあります。)
施術所廃止届
施術所廃止届とは、施術所を廃止した際に提出するものになります。
閉院の際は、施術所廃止届を出すことが必要になります。しかし、注意してほしい点があります。下記のような場合も、施術所廃止届が必要となってきます。
・施術所を移転する場合
・施術所の開設者を変更する場合
このようなケースでは、施術所廃止届をした後に改めて施術所開設届を保健所に提出が必要になってきますので注意が必要になります。
出張施術業務開始届
鍼灸・按摩指圧マッサージで多い出張施術についても別で届け出が必要になってきますので、訪問での施術・施術所での施術両方を行おうと検討している方はこちらの出張施術開始届も忘れないよう注意ください。
まとめ
保健所に届出を行うものには、各都道府県、指定都市、中核市、その他政令で定める市又は特別区によって異なってきてしまうため、同じ都道府県内であっても開設する市・特別区によって変わってきます。開設の際は各保健所に確認後に手続きを進めることがスムーズな開設に繋がってくるでしょう。とはいえその整骨院の状況によって手続きが異なるため、手続きには注意が必要です。
確認しながらすすめたものの、手続きが誤っていて請求が全返戻になった整骨院も少なくありません。これから整骨院を新規開業する方や、移転を考えている場合は、年間100件以上整骨院の開業支援をしている全国統合医療協会へ、是非ご相談ください。
この記事の監修者