接骨院で保険請求をするには?請求までの流れと必要書類について解説

2023.09.19
接骨院で保険請求をするには?請求までの流れと必要書類について解説

そもそも療養費とは?

柔道整復師や鍼灸按摩マッサージ師(以下、治療家)が取り扱える健康保険は医療機関と大きく異なります。

医療機関では、「療養の給付」といい、保険証を提示すれば医療サービスを受けられます。

一方、治療家の施術は「療養費」という呼び方をします。

先ず患者自身が治療家に治療費を全額支払い、後から保険者より一部負担金額を除き給付を受ける償還払いが基本になります。

ただし、この「療養費」の取り扱いは患者さんにとって使い勝手がよくありません。そのため、柔道整復師の施術には「受領委任」が認められています。

「受領委任」は、患者さん自身が一部負担金を柔道整復師に支払い、治療家が被保険者に代わって保険請求を行うので、医療機関(保険医)と同様の形での取り扱いが可能になります。

ただし、被保険者に代わって保険請求を行うので療養費支給申請書(レセプト)にサインをいただく必要があります。

保険請求をするための必要手続き書類と提出先について(表)

(作成:全国統合医療協会)

接骨院で保険請求する前の必要手続き

健康保険を取り扱うには「受領委任契約」をする

「受領委任」を取り扱うには、申請手続きが必要ですが、受領委任契約には大きく分けて2通りの方法があります。

社団法人会員になる

社団法人の会員になる事で受領委任の取り扱いが可能です。

その他の請求団体等に加入する

個別で地方厚生局、都道府県知事と契約を結ぶ事ができます。

現在では開業をする多くの治療家が個別で受領委任契約を選んでいます。

個別で受領委任契約をする場合は、届け出を提出する場所をご自身で調べる必要があります。届け出が必要な管轄は下記の通りです。

個別で受領委任契約を行う場合に必要な手続き

・地方厚生局

・共済組合(公務員の健康保険取扱い)

・防衛省(自衛官の健康保険取扱い)

・労災指定(労災保険の取扱い)

・生活保護指定(生活保護受給者の取扱い)

等があります。詳しい必要書類などは各管轄のホームページで確認が可能です。

 

 

受領委任取り扱いの詳しい手続きや受領委任を取り扱う施術管理者の要件については下記をご覧ください。

【13STEP】整骨院開業の具体的な流れ・手順|成功に向けたポイントも

 

施術管理者とは?業種別の要件と共通点・相違点を徹底解説!

接骨院の保険請求に必要な手続き

地方厚生局

個別で地方厚生局・都道府県知事と契約を結んでいる場合は、保険者に保険請求を行う際に契約記号番号が必要です。注意点としてはこの番号は受領委任制度に関係しています。

・確約書(様式第1号)

・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱に係る届け出・申し出(様式第2号)

・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る届け出・申し出(同意書)(様式第2号の2)(施術者以外に柔整整復師がいる場合)

・誓約書(様式第2号の3)(令和2年6月1日から適用)

・施術所開設届又は変更届の写し

・柔道整復師免許証の写し(勤務柔整師を含む)

・施術管理者選任証明(施術管理者と開設者が異なる場合に必要)

・実務経験期間証明書の写し

・施術管理者研修修了証の写し

※契約を結んでいない場合ない場合は保険請求ができなくなるため注意が必要です

共済組合・防衛省に必要な手続きと提出書類

共済組合

・柔道整復師免許書(写)(該当する柔道整復師のもの)

・申請書(様式第1号)

・確約書(様式第2号)

防衛省

自衛隊関係の保険者に請求をする時は、防衛省に申請をする必要があります。必要な書類は4つです。

・柔道整復師免許書(写)(該当する柔道整復師のもの)

・申出書(様式第1号)

・確約書(様式第2号)

・通知書(様式第3号)

※共済連盟番号は一度取得したら、その後開設場所を変更されても新たに申請をする必要はありません。

※変更等の手続きは必要です。

その他生活保護・労働災害・通勤災害に関しては、別途手続きが必要です。

労働局

整骨院を労災の指定機関として指定を受けたい場合は各管轄の労働基準局への申請が必要です。必要な書類は7つです。

・申出書(様式第1号)

・確約書

・「指定・指名機関登録(変更)報告書」

・保健所開設届(施術所の確認ができるもの)

・施術所の平面図

・施術所の周辺図

・柔道整復師免許書の(写)(該当する柔道整復師のもの)

書類に不備がなければ1~3か月後には施術所に通知書が届きます。

不備がなければ約1~3か月後に通知書によって施術所へ通知されます。

生活保護(福祉事務所)

接骨院で生活保護の指定機関として指定を受けるためには、労働局での手続きと同様、管轄の福祉事務所へ申請する必要があります。必要な書類は4つです。

・指定助産機関・施術機関指定申請書

・誓約書(指定助産機関・施術機関指定関係)

・柔道整復師免許書の(写)(該当する柔道整復師のもの)

・契約書2通(協定を締結している団体に所属していない方)

※都道府県により上記以外の書類の提出を求められるものがありますので、手続き前にご確認をお願いします。

保険請求を始められる時期はいつ?

受領委任契約については、受理された日から有効のため、保険請求は受理された日より取り扱いが可能です

後日治療家あてに「承諾通知書」が通知されます。

その他の保険取り扱いについても、締日により始められる日が異なるため、取り扱いをする際は、提出する期限を予め十分に確認する必要があります。

(注:施術所が開設しているという条件の元でのみ手続きができます。仮に同時に保険請求を始める場合、管轄の保健所ならびに厚生局にお問合せください。

まとめ

近年は最初から個人請求を行い、請求団体には加入しないケースもございますが、

手続きが複雑なため、いざ治療を開始しようと思った時に手続きに不備が生じて請求や開業が遅れたため、問合せがある事もございます。その場合手続きがどこまで進んでいるかなどを二重でで確認する手間が発生し、結果的に開業が遅れるケースも少なくありません。

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この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長