【2026年療養費改定】治療院が今すぐ打つべき一手

【2026年療養費改定】治療院が今すぐ打つべき一手

2026年(令和8年度)の療養費改定は、柔道整復師・鍼灸マッサージ師にとって「過去最大級の転換点」となります。単なる単価の上下ではなく、「オンライン請求の義務化」と「算定根拠の厳格化」がセットで押し寄せるからです。

「今まで通り」が通用しなくなる中で、どのような準備をすべきか。最新の厚労省の議論に基づき、経営者が直面するリスクと具体的な生存戦略を解説します。

1. 2026年度改定の最重要トピック:オンライン請求とDX

今回の改定議論において、最も大きな柱となっているのが「療養費のオンライン請求」への完全移行です。これまで紙や電子媒体(USB等)で提出していたレセプトを、ネットワークを通じて直接送信する仕組みへの転換が急ピッチで進められています。

なぜ今、DX(デジタルトランスフォーメーション)なのか?

財務省や厚生労働省の検討会では、以下の3点を理由にオンライン化を「待ったなし」の課題としています。

1.審査の透明化とスピード向上: 不正請求の自動チェック機能を強化し、適正な支払いを行う。

2.事務コストの削減: 紙の仕分けや配送、手入力によるミスを排除する。

3.データ活用: 施術内容をデータ化し、医療費抑制の根拠として活用する。

治療院が直面する「マイナ保険証」の壁

2024年12月の健康保険証廃止以降、治療院における「マイナ受付」への対応は、もはや努力目標ではなく「選ばれる院」の最低条件となりました。2026年改定では、オンライン資格確認を導入していることが、療養費算定の前提条件となる可能性すら浮上しています。

参照:厚生労働省:柔道整復師等の施術に係る療養費の検討専門委員会

2. 算定基準の厳格化と「長期・頻回」へのメス

「適正化」という名の下に、審査の目は年々厳しくなっています。特に2026年改定では、以下の2点について具体的な規制が強化される見込みです。

柔整:長期理由書の「証拠能力」

5ヶ月を超える長期施術や、月10回〜15回を超える頻回施術に対しては、これまで以上に詳細な「負傷原因」と「改善のプロセス」が求められます。AIによるレセプトチェックが導入されれば、「毎回同じ文言」の理由書は即座に返戻(差し戻し)の対象となる可能性が高くなることが考えられるでしょう。

あはき:施設内施術の「囲い込み」対策

特定の有料老人ホーム等に居住する患者に対し、効率重視で大量の施術を行うモデル(いわゆる囲い込み)に対し、往療料・訪問施術料の算定基準や同一建物内での点数を引き下げる案が議論されています。「移動コストがかからないなら、往療料・訪問施術料は不要ではないか」という厳しい視線が注がれています。

【比較表:従来と2026年以降の管理体制の差】

項目

従来の管理(~2025年)

2026年以降の予測

請求方法

紙・電子媒体が混在

原則オンライン請求へ集約

本人確認

保険証目視(なりすましリスク)

マイナ保険証による厳格な確認

長期理由書

形式的な記載で通る場合も

画像や検査データに基づく根拠が必須化

多部位算定

比較的容易に3部位算定

3部位目以降の逓減率強化・チェック厳格化

3. 治療院が取るべき「3つの生存戦略」

① 「自費メニュー」の確立(脱・保険依存)

療養費が抑制される中で、保険売上だけに頼るモデルは経営上のリスクが大きすぎます。

・混合診療の明確化: 保険(急性外傷)と自費(慢性痛・姿勢改善)の境界を明確にし、患者に納得感のある提案を行います。

・「時間」ではなく「価値」を売る: 10分いくらのマッサージではなく、AI姿勢分析などを活用した「根本改善プログラム」として高単価(5,000円〜8,000円)を実現させます。

② 医科連携による「同意書」の安定取得

あはき経営の生命線である「同意書」の取得を、医師との対立ではなく「連携」で解決します。

・報告書の質の向上: 医師に対し、「現在の施術状況」と「今後の見通し」を医学的根拠に基づいて報告し、信頼関係を築きます。

③ 生成AIとデジタルマーケティング(AEO対策)

GoogleのSGE(生成AI回答)などに対応するためには、院独自の「一次情報」を発信し続けることが不可欠です。

・MEO(Googleマップ対策): 地域名+治療院で検索された際、マイナ受付対応や自費メニューの詳細が正確に表示されるよう、最新の状態を保ちます。

・AEO(AI検索最適化): 院長自身が「療養費改定についてどう考え、どう患者を守るか」をブログ等で発信することで、AIに「権威ある発信者」として認識されます。

4. 結論と行動提案

結論:2026年改定は、「アナログで不透明な運営を続ける院」を淘汰し、「デジタル活用と自費移行を両立させる院」を優遇する内容になります。

根拠:厚労省の議論は一貫して「データの可視化」と「エビデンスの強化」に向かっており、この流れが逆行することはありません。

今後の行動提案:

1.レセコンの確認: 今すぐメーカーに対し、「オンライン請求対応のスケジュール」を確認してください。

2.患者への周知: マイナ保険証への切り替えを促し、院としての「ホワイトな姿勢」をアピールしましょう。

3.自費メニューの開発: 保険収入が2割減っても、自費で補填できる収益構造を今月から構築し始めてください。

 

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この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長