整骨院の開業準備と手続きガイド

目次
はじめに
整骨院の開業を考えたとき、「まず何をすればいいの?」「どんな順番で準備すればいいの?」と悩む方は少なくありません。
開業には夢がありますが、一方で、流れを誤ると余計なコストやトラブルを招いてしまうこともあります。
そこで今回は、これから整骨院を開業したい方向けに、実際の開業の流れをステップごとにわかりやすく解説していきます。
はじめての方でも「次にやるべきこと」がすぐにわかる、保存版のガイドです。ぜひ参考にしてください。
開業の流れは「構想→準備→申請→運営」の4ステップ
整骨院の開業は、大きく4つのステップに分けて進めていくのが基本です。
1.開業の構想を固める
2.資金と物件を確保する
3.届出・申請を行う
4.内装・オープン準備・運営開始
それでは、順番に見ていきましょう。
STEP1|開業の構想を固める:方向性と戦略を明確に
まず最初に取り組むべきは、「どんな整骨院を開業したいのか」というビジョンづくりです。
これは、すべての準備の出発点であり、今後の方針を決める大切な工程です。
たとえば──
〇地域密着型か、それとも専門特化型か
〇対象とする患者層は誰か(スポーツ選手、高齢者、産後ママなど)
〇自費施術を重視するか、保険診療を軸にするか
これらの点を明確にしておくことで、内装や設備、スタッフ採用、広告戦略など、すべてに一貫性を持たせることができます。
次に、市場・競合をリサーチする
方向性が固まったら、次は市場調査を行いましょう。
具体的には──
〇開業予定エリアの人口
〇近隣の競合整骨院の数や特徴
〇想定される患者層のニーズ
このような情報を把握することで、たとえば「スポーツクラブが多い地域ならスポーツ障害専門にしよう」といった具体的な戦略につなげることができます。
STEP2|資金と物件を確保する:いよいよ現実的な準備フェーズ
方向性が固まったら、次は実際の準備に入ります。
ここでは、主に「資金の準備」と「物件の選定」が中心となります。
まずは、開業に必要な資金を把握しよう
整骨院の開業に必要な費用は、一般的に300〜800万円程度が相場です。
内訳としては──
〇物件取得費(敷金・礼金など)
〇内装・看板・設備工事費
〇レセプトソフトなどのシステム導入費
〇広告宣伝費
〇開業後3〜6ヶ月分の運転資金 など
では、資金調達はどうする?
自己資金だけで足りない場合は、日本政策金融公庫などの公的融資を活用するのが一般的です。
なお、融資を受けるためには「事業計画書」の提出が必要なので、なるべく早めに作成に取りかかりましょう。
続いて、物件選びと契約へ
内装工事や各種申請に進むためには、物件を早めに決定しておくことが肝心です。
良い物件を見極めるためのポイントとしては──
〇通行人からの視認性はあるか
〇駐車場やエレベーターの有無
〇診療スペースやスタッフの動線が確保できるか
〇競合との距離や、地域内の人口動態
また、家賃は月の売上の20%以内に収めるのが、安定経営のための目安です。
STEP3|届出・申請を行う:法的に「整骨院」として認められる手続きを
物件が決まったら、次はいよいよ各種届出や申請に移ります。
このステップを疎かにすると、開業が遅れたり、保険請求ができなかったりと大きなトラブルにつながるため、慎重に進めましょう。
主な届出・申請内容
書類名 | 提出先 | 補足 |
---|---|---|
施術所開設届出書 | 保健所 | 管理柔道整復師の選任が必要 |
開業届(個人事業) | 税務署 | 開業から1ヶ月以内に提出 |
労災保険指定申請 | 労働基準監督署 | 労災対応を行う場合に必要 |
健康保険取扱申請 | 地方厚生局等 | 保険請求を行う場合に必須 |
雇用・社会保険関連 | ハローワーク・年金事務所 | スタッフを雇用する場合 |
提出先・期限・様式に不備があると、後々のトラブルになります。
必要に応じて、専門のサポートサービスの利用も検討すると安心です。
あわせて、レセプトソフトの導入も
保険請求業務を効率化するために、業界特化型のレセコン(レセプトコンピュータ)を導入することも重要です。
整骨院向けに最適化された機能があるものを選びましょう。
STEP4|内装工事・機器導入・オープン準備へ:いよいよ開業直前!
申請が終わったら、いよいよオープン準備に入ります。
まずは内装工事から
工事において重視したいポイントは──
〇プライバシーの確保(カーテンや仕切りの設置)
〇患者導線とスタッフ動線の分離
〇バリアフリー対応
〇看板や外観の視認性
さらに、「保健所の施設基準」を満たしたレイアウトにすることが前提です。
次に、機器や備品の購入
〇施術ベッド、低周波・超音波機器などの治療機器
〇受付設備(PC、POSレジなど)
〇名刺・診察券・カルテ用紙・掲示物などの備品
ただし、最初からすべてを揃える必要はありません。
オープン時は「最低限必要なもの」だけに留め、必要に応じて追加購入するのが賢明です。
開業後すぐにやるべきこと
オープン告知・集客活動
〇SNS(InstagramやXなど)での発信
〇Googleビジネスプロフィールへの登録
〇ポスティングや地域情報誌への掲載
〇体験会や地域イベントの参加
とくに、開業の1ヶ月前から告知を始めておくと、初月の集客に大きな差が出ます。
院内マニュアル・ルールの整備
〇受付・電話対応の統一ルール
〇レセプト業務の流れと担当分担
〇クレーム・キャンセル対応のガイドライン
こうした“院内の型”を決めておくことで、スタッフ教育やトラブル対応がスムーズになります。
よくある失敗例とその対策
〇「申請が間に合わず、開業が遅れた」
→ 提出期限や必要書類は、開業初期に一覧化して管理を。サポートサービスの活用も◎。
〇「設備にお金をかけすぎて、運転資金が足りなくなった」
→ 開業資金と運転資金は別枠で確保を。見栄えより、経営の持続可能性を優先しましょう。
〇「広告宣伝が後手に回った」
→ 開業前から戦略的にPR活動を。SNSや地域チラシを活用して、“開けたらすぐ来てもらえる”状態をつくることが重要です。
まとめ|整骨院開業の成功は「準備と順番」がカギ
整骨院を開業するには、やるべきことが本当にたくさんあります。
しかし、全体の「流れ」を理解し、正しい順番で着実に進めていけば、理想の開業は必ず実現できます。
開業とは「始める」ことではなく、「継続していくこと」が本当の目的です。
だからこそ──
〇無理のない計画
〇信頼できるパートナー
〇最新の情報の収集
この3つが成功の鍵を握ります。
「一人で悩まず、経験豊富な団体に相談したい」という方は、ぜひ全国統合医療協会へお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
