【柔道整復師向け】受領委任制度の取扱いに必要な実務経験と施術管理者研修について
こんにちは。全国統合医療協会スタッフブログです。
今回は、新規開業の際よくお問い合わせいただく受領委任制度の取扱いに必要な実務経験と施術管理者研修についてご紹介します。
目次
柔道整復師が整骨院で受領委任制度を取り扱うためには厚生局への申請を行います
提出する書類
・実務経験期間証明書
・施術管理者研修修了証
という2つの書類があります。この記事ではこちらの書類に関する説明をしたいと思います。
柔道整復師として独立した施術所を開設し、受領委任制度を活用するためには、一定の実務経験が求められます。受領委任制度は、患者が健康保険を適用して治療を受ける際に、柔道整復師が直接保険者に治療費を請求できる制度です。これにより、患者の負担が軽減されるだけでなく、柔道整復師にとっても経営の安定につながります。
受領委任制度とは?
受領委任制度は、患者が一時的に治療費を立て替えることなく、柔道整復師が保険者に直接請求できる仕組みです。この制度は、柔道整復師と患者の双方にとって利便性が高く、患者が必要な治療を受けやすくする役割を果たします。
受領委任制度を利用することで、柔道整復師は保険請求業務をスムーズに行えるだけでなく、患者の治療費負担を軽減し、療養の利用を促進することが可能です。また、施術所の経営面でも、安定した収益を確保しやすくなるというメリットがあります。
実務経験期間について
申請に必要な実務経験期間
受領委任制度を利用するためには、柔道整復師としての実務経験が重要な要件となります。具体的には、以下の条件が必要です。
勤務柔整師としての実務経験:柔道整復師が施術管理者として受領委任制度を取り扱うためには、3年以上の実務経験が必要です。この期間は、資格取得後に実際に受領委任を取り扱っている整骨院で勤務柔整師として厚生局に登録されていた期間を指します。
整骨院以外の保険医療機関(整形外科など)での勤務経験も最長2年までは実務期間として認められますが、整骨院での1年以上の期間と併せて3年の勤務期間が必要となります。
また、受領委任の取扱いをしていない整骨院での勤務期間はこの実務経験期間には該当しません。
1つの院で連続して3年間勤めなくてはいけない訳ではなく、複数院での合計の勤務期間が合算で3年を超えていれば必要期間を満たすことになります。
ただし同時期に複数院で勤務者として働いていた場合は期間を合算する事は出来ません。
例外規定
3年の実務経験が必要とされるのは原則ですが、特定の例外はありません。施術管理者の役割を担うためには、必ずこの経験期間を満たすことが前提となります。この要件は、施術所の運営を適切に行い、保険請求におけるトラブルを未然に防ぐための重要な基準です。
実務期間証明書について
前にも述べましたが厚生局への受領委任の申請をする際、実務経験を証明するための実務経験証明書の提出が必要です。
実務経験証明書とは、施術管理者としての3年以上の実務経験を証明する書類で自身が勤務していた整骨院の開設者、又は管理柔道整復師が記載するものです。
自身が施術管理者を行っていた場合は自分で自分を証明する事も可能です。
よくあるトラブルについて
勤務していた整骨院の開設者が保健所、厚生局に勤務者登録をしておらず勤務期間が認められない。
前の整骨院が廃業していて連絡が取れず実務経験期間が書いてもらえない
整形外科で10年以上働いていたが整骨院に勤務した経験がない。
この様な場合は実務経験が認められず受領委任の取扱いが出来ない場合もあります。
その為にも開業をお考えの先生は早めに準備をしましょう。
受領委任制度まとめ
柔道整復師が受領委任制度を利用するためには、3年以上の施術管理者としての実務経験が必要です。この要件を満たすことで、柔道整復師は保険請求業務を円滑に行い、患者に対してより良いサービスを提供することができます。これから独立を目指す柔道整復師にとって、この経験期間を着実に積み上げることが重要なステップとなるでしょう。
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柔道整復師の施術管理者研修
現場に求められるスキルとその重要性
柔道整復師として施術所を開設・運営するためには、技術的な知識や経験だけでなく、管理者としての能力が求められます。この役割を担うための基礎を築くのが「施術管理者研修」です。施術管理者研修は、柔道整復師が効果的に施術所を管理し、適切に保険請求を行うために必要なスキルを身につけるための研修です。この記事では、この研修の重要性や内容について詳しく解説します。
施術管理者研修とは?
施術管理者研修は、柔道整復師が施術所の管理者として必要な知識とスキルを習得するためのプログラムです。この研修は、厚生労働省や関連団体が主催しており、施術所の運営に関わる様々な側面をカバーしています。
公益財団法人 柔道整復研修試験財団のホームページより申し込むことができ、ほぼすべての研修がオンラインによる開催です。
研修は土日の2日間、それぞれ8時間の合計16時間で参加費用は25,000円となっています。
研修の目的
施術管理者研修の主な目的は、柔道整復師が単に施術を行うだけでなく、経営者としての視点や管理者としての責任感を持つことです。これには、以下のような要素が含まれます。
- 施術所の運営管理:スタッフの管理、患者対応、設備の維持管理など、施術所の円滑な運営に関わるスキル。
- 法令遵守:柔道整復師として守るべき法律や規則についての知識を深めること。
- 保険請求業務の適正化:保険請求に関する正しい手続きを学び、不正請求を防ぐための知識を得ること。
研修内容
施術管理者研修では、以下のような内容がカバーされます。
- 医療法や柔道整復師法などの法的知識:施術所の開設や運営に関する法的基準を理解し、適切な手続きを行うための知識を習得します。
- 保険請求の実務:保険者との契約手続きや、受領委任制度の適用方法、正しいレセプトの作成方法などを学びます。
- リスクマネジメント:施術中の事故やトラブルに対処する方法、患者とのトラブル回避策などを学び、施術所の安全運営に貢献します。
- コミュニケーションスキル:患者との信頼関係を築くためのコミュニケーション技術や、スタッフ間の協力を促進するためのマネジメントスキルを学びます。
研修受講のタイミング
施術管理者研修は随時行われていますが、申込期間から開催までに時間がかかります。今日申し込んで今月受講できる、と言ったものではありませんので柔道整復研修試験財団のHPから日程を確認してください。
研修のメリット
施術管理者研修を受講することで、柔道整復師は以下のようなメリットを得ることができます。
- 信頼性の向上:法令遵守と正しい保険請求の知識を持つことで、患者や保険者からの信頼を獲得しやすくなります。
- 経営の安定化:施術所の運営に関する包括的な知識を得ることで、経営の安定性が増します。
- トラブルの予防:リスクマネジメントの知識を活用し、施術中のトラブルや不正請求による問題を未然に防ぐことができます。
施術管理者研修修了証について
施術管理者研修を受講すると修了証が2週間後くらいに届きます。受領委任の申請にはこの書類が必要となります。また、修了証には有効期限があり、研修受講から5年間となっています。
この5年間の有効期限と言うのは受領委任契約を結ぶ際に修了証が有効な期限となっており、ひとつの整骨院で継続して受領委任を取り扱っていく場合は5年後に再度受講が必要と言うわけではないのでご安心下さい。
研修後の展望
研修を修了した柔道整復師は、施術所の開設や運営に必要なスキルを備えたプロフェッショナルとして、患者に安心して施術を受けてもらえる環境を提供することができます。また、経営者としての視点を持つことで、施術所の発展に貢献できるでしょう。
施術管理者研修まとめ
施術管理者研修は、柔道整復師が受領委任制度を取り扱う上で不可欠な研修です。法的知識、保険請求の実務、リスクマネジメントなど、施術管理者として求められる多岐にわたるスキルを学ぶことで、柔道整復師はより高いレベルの施術所運営を目指すことができます。これから施術所を開設しようと考えている柔道整復師にとって、この研修はキャリアの重要なステップとなるでしょう。
これから開業を考えている先生方で実務経験期間や施術管理者研修についてわからない方がいましたら全国統合医療協会までお気軽にご相談ください。
この記事の監修者