整骨院の開業に欠かせない「看板」の役割と種類|製作時のポイントも

2025.10.30
整骨院の開業に欠かせない「看板」の役割と種類|製作時のポイントも

整骨院を開業する際、多くの人が重視するポイントが「施術の質」や「設備」です。しかし、たとえ施術の質を高めたり優れた設備を取り入れたりしても、通行人に院の存在を伝える看板がなければ集客は難しいでしょう。

看板は、いわば集客の入口という重要な役割を果たします。そのため、施術の質や設備と同じくらい大切と言っても過言ではありません。しかし、看板の種類やデザイン、設置方法によって院に対するイメージは大きく変わることから、ただ設置すれば良いというわけではない点にも注意が必要です。

そこで今回は、整骨院の看板の主な種類や製作時のポイント、デザイン上の注意点から規制に関する情報まで、開業時に役立つ内容を詳しく紹介します。

1. 整骨院の開業に欠かせない!看板の主な種類4つ

整骨院の看板は、施術の質や設備と同じくらい重要な役割を果たします。通行人に院の存在を知らせるだけでなく、信頼感や安心感を与えられることもあり、集客の入口として非常に有効です。

看板と一口に言ってもさまざまな種類があり、設置場所や目的に応じて使い分けることで、より効果的に整骨院の存在や特徴をアピールできます。そこでまずは、整骨院でよく用いられる4種類の看板について紹介します。

●ファザード看板

ファザード看板は建物の正面や入口上部に取り付ける大型看板で、院の前を歩く・正面を向く通行人からの視認性が高いのが特徴です。院名やロゴを大きく掲示できるため、初めて通りかかる人にも存在を強く印象づけられます。夜間でも見えるように照明を組み合わせるケースも多く、集客効果の高い基本的な看板と言えます。

●突き出し看板(袖看板)

突き出し看板は建物から道路側に突き出して設置される看板で、院のある道沿いを歩く通行人から視認しやすいのが特徴です。通り沿いに面していない店舗でも目立たせやすく、昼夜問わず通行者に存在をアピールできます。ファザード看板と併用することで、さらに集客効果を高めることが可能です。

●プレート看板

プレート看板は建物の壁面や入口横に設置する小型の看板で、院の名前や営業時間、施術内容などを簡潔に伝えるのに適しています。コンパクトながらも情報を整理して掲示できるため、初めて来院する人に安心感を与える役割を担います。デザイン次第で院の雰囲気や専門性も伝えやすい点が特徴です。

●ウィンドウサイン

ウィンドウサインは窓ガラスや入口扉に貼る看板で、院のロゴや営業時間、施術メニューを表示できます。ファザード看板と併用されることが多く、建物の外観を活かしてより多くの情報を視覚的に伝えられる点が魅力です。また、透明感やデザイン性を工夫することで、院の印象を洗練されたものにすることも可能です。

2. 【整骨院開業】看板製作時におさえておきたい基本的なポイント

整骨院の開業にあたって看板を制作する際は、まず基本となる下記2つのポイントを押さえておくことが重要です。

●看板に記載する情報は最低限にとどめる

看板には院名や営業時間、電話番号など必要最低限の情報だけを記載し、情報過多にならないようにしましょう。情報を詰め込みすぎると通行人が内容を瞬時に理解できず、集客効果がかえって低下してしまう可能性があります。

●一目で分かるシンプルなデザインを心がける

看板は通行人の目に留まる「第一印象」の役割をもつため、情報量とデザインのバランスを意識して製作することが重要です。カラーやフォント、装飾は多用せず、通行人が瞬時に院の存在や特徴を把握できるような「見やすい・分かりやすいデザイン」を心がけましょう。

3. 整骨院の看板デザインに関するポイント

整骨院の看板は、単純に院の存在を知らせるだけでなく、院の雰囲気や主な施術内容、信頼感を通行人に伝える重要な役割を担います。院付近を歩く通行人に強く印象づけるためには、カラーやフォント、素材、配置方法などの要素をバランス良く整えることが大切です。

ここでは、整骨院の看板を制作する際に押さえておきたい具体的なデザインのポイントを紹介します。

3-1. カラー

看板のメインカラーは、「通行人に安心感や信頼感を与えられるか」を意識して選定しましょう。

白や青、緑などの落ち着いた色は、整骨院のイメージに適しています。また、ターゲット層に合わせてカラーを選ぶこともポイントです。例えば、子ども連れや若年層を対象にする場合は明るめの色を、シニア層をメインにする場合は落ち着いた色味を基調にすることで、院の印象を効果的に伝えられます。

なお、競合の看板のカラーをチェックしておくことも大切です。周囲の整骨院と色が被ってしまうと独自性が失われ、通行人の印象に残りにくくなります。差別化を図るために、落ち着いた色をベースにしつつも、少し珍しい色やアクセントカラーを取り入れるのも1つの方法です。

3-2. フォント

整骨院の看板においては、フォント選びとサイズ調整で情報の伝わりやすさが大きく変わります。

使用するフォントはゴシック体や明朝体など、太さにメリハリがあって読みやすく、かつ清潔感のあるものが適しています。加えて、院名をはじめとした重要な情報は通行人が一目で分かるよう、フォントサイズを大きめに設定しておきましょう。また、看板に複数のフォントを使いすぎると視認性が下がるため、1~2種類に抑えるのが基本です。

3-3. 素材

看板は一度設置したら長期間使用するもので、数年おきに定期的に作り替えるものではありません。また、屋外に設置されるため、常に紫外線や雨風にさらされることとなります。そのため、耐久性の高い素材を選ぶことが不可欠です。

防水・防錆加工やUVカット加工が施された素材は、長期間にわたり劣化を防ぎ、メンテナンスの手間をより減らせます。また、軽量で施工がしやすい素材を選ぶことで設置費用を抑えられる場合もあります。

耐久性に優れた代表的な素材としては、アルミ複合板やステンレスなどが挙げられます。 アルミ複合板は耐久性と軽さを兼ね揃えており、コストパフォーマンスも高いことから、多くの整骨院の看板に用いられています。ステンレスも耐久性に優れているほか、錆びにくいという特性をもつことから、雨や雪が多い地域には特に適しています。

3-4. その他

看板の製作時におけるその他の細かいポイントとしては、下記が挙げられます。

●重要な情報は通行人の「目線の高さ」に配置する

院名や診療内容、主な施術内容、電話番号といった重要な情報は、通行人が自然に目にする高さに置くことが重要です。「目線の高さ」は、地上1.5~2メートルが目安となります。この高さに合わせて重要な情報を配置するだけでなく、フォントの種類やサイズも工夫すると良いでしょう。

●ライトを活用して夜間の看板の視認性を高める

整骨院の看板は昼間だけでなく、夜間でも通行人の目に留まることが重要です。ライトを活用して、夜間の看板の視認性を高めましょう。

ライトアップには、看板全体を照らす方法、文字部分をスポットで強調する方法、バックライトで柔らかい光を当てる方法などさまざまあります。看板の種類や設置場所に応じて、適切に使い分けることがポイントです。

4. 整骨院の看板を制作する際は「規制」に注意!

整骨院の看板には、法律に基づき掲載できる内容が明確に定められています。掲載可能なのは、下記の項目に限られます。

  • ● 整骨院の名前
  • ● 住所
  • ● 電話番号
  • ● 営業時間
  • ● 施術内容(柔道整復師法やあはき法で認められた範囲内)
  • ● 届出や保険療養費申請の可否
  • ● 夜間・休日の施術の実施
  • ● 出張施術の実施
  • ● 駐車場に関する事項

一方で、「治療」「治す」といった表現や、病名・症状名、誇大表現、過剰な広告文句は使用できません。例えば「ぎっくり腰」「ヘルニア」「交通事故専門院」といった文言はNGです。また、施術内容として書く場合も、法律で認められた施術のみを正確に記載し、誤解を招く表現は避ける必要があります。

広告規制を理解しておかなければ、看板製作後に法令違反が発覚し、依頼費用を無駄にしてしまうおそれもあります。そのため、業者を選ぶ際は「整骨院の看板製作実績が豊富で、広告規制に詳しいか」をチェックしておくと良いでしょう。

まとめ

整骨院の開業にあたっては、看板が集客や院の印象に大きく影響します。看板の種類やデザイン、配置方法、カラーや素材の選び方、夜間の視認性確保まで、さまざまなポイントをおさえることが重要です。また、広告表現や施術内容の記載には法律上の規制があり、誤った表記は信頼の低下や罰則のリスクにつながるため注意が必要です。

全国統合医療協会では、整骨院の開業支援や看板制作のアドバイス、広告規制への対応など、実務に即したサポートを提供しています。整骨院の独立開業を検討している方や自院の経営改善を目指している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長