整骨院・鍼灸院におけるネーミングの重要性|名前の付け方と注意点も

2025.05.28
整骨院・鍼灸院におけるネーミングの重要性|名前の付け方と注意点も

整骨院・鍼灸院の開業に向けて、店舗の名前をどうするか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。店舗の名前は集客にも影響するため、安易に決めるのではなくしっかりと考えた上で付けることが大切です。自院のイメージを的確に表現できて、なおかつ他院との差別化につながる名前を付けましょう。

今回は、整骨院・鍼灸院におけるネーミングの重要性と名前の付け方について詳しく解説します。店舗名を決める上で知っておくべき注意点にも触れるため、ぜひ参考にしてください。

1. 整骨院・鍼灸院におけるネーミングの重要性

整骨院・鍼灸院にとって、屋号(店舗の名前)は非常に重要です。院の顔になるだけでなく、開業後の集客やお客さんに与える印象にも大きく影響します。

以下では、整骨院・鍼灸院におけるネーミングの重要性について解説します。

1-1. 機会損失が発生しにくくなる

機会損失を防ぐ上でも、しっかりと考えて店舗の名前を決めることが大切です。

機会損失とは、営業の機会を逃して本来得られるはずの利益を失うことを意味します。整骨院・鍼灸院をイメージできない名前を付けてしまうと、お客さんが間違って来店したり他院に客足が流れたりします。

潜在顧客の取りこぼしは長期的なビジネスチャンスを逃すことになるため、整骨院・鍼灸院だとすぐに分かる名前を付けましょう。

1-2. チラシやDMでの集客効果が高まる

情報の多くは視覚から得ると言われています。「何の店舗なのか」「どこにあるのか」が一目で伝わる名前であれば、チラシやDMでの集客効果が高まります。

特にインパクトのあるネーミングは、お客さんの印象に残りやすく認知度アップが期待できるでしょう。覚えやすい名前やユニークな名前は、整骨院や鍼灸院を利用したいと思ったときに思い浮かべてもらいやすくなります。

1-3. インターネット検索で有利となる

整骨院・鍼灸院の名前を工夫することで、インターネット検索でヒットしやすくなります。PCやスマホで情報を集める人が多いため、インターネット検索でページの上位に表示されることは重要です。

整骨院・鍼灸院と関連性の低い名前や他院と似た名前を付けてしまうと、検索エンジン上での上位表示がされにくくなったり他院に埋もれたりして、「ユーザーに認知されるための入り口づくり」の段階で不利になるおそれがあります。

集客のチャンスを減らさないためにも、好みや直感だけで名前を決めることは避けましょう。

2. 整骨院・鍼灸院の名前(店舗名)の付け方・コツ4つ

整骨院・鍼灸院の名前(店舗名)は、含める言葉によってお客さんに与える印象やインターネット検索における有利・不利に差が出ます。ネーミングによるメリットを最大限に引き出すためにも、効果的な付け方とコツをチェックしておきましょう。

ここでは、整骨院・鍼灸院の名前(店舗名)の付け方とコツを紹介します。

2-1. 検索結果の上位に表示されやすい内容を含める

SEO対策として、検索結果の上位に表示されやすい内容を含めることがポイントです。SEO対策とは、自院が運営するサイトを検索エンジンで上位表示させ、多くのアクセスを集めるための取り組みです。

インターネットで整骨院・鍼灸院を探す人は、「整骨院 ○○(地域)」「鍼灸院 ○○(駅名)」などのキーワードで検索します。地域名や駅名が名前に入っていると、潜在顧客へのアピールがしやすくなります。

また、マップ検索から店舗情報にアクセスさせるMEO対策にも効果的です。マップ上に名前が表示されるため、「整骨院」「鍼灸院」が入っていれば一目で整骨院・鍼灸院であることが分かります。

2-2. シンプルで分かりやすい名前を付ける

多くの人に自院の存在を知ってもらうには、名前の分かりやすさも大切です。

長すぎる名前やドイツ語・フランス語・スペイン語などを取り入れた名前はおしゃれですが、覚えにくい上に何の店舗かイメージすることが難しくなります。幅広い年齢層に受け入れられるシンプルな名前であれば、お客さんからの口コミも広まりやすくなるでしょう。

地名や駅名の漢字が難しい場合は、ひらがなやカタカナにするのも1つの方法です。インターネット検索で表示されないような旧字体や難読漢字を使うと、集客効果が下がる可能性があるため注意しましょう。

2-3. 施術内容や施術効果が分かる言葉を含める

施術内容や施術効果を表す言葉を含めることで、お客さんは整骨院・鍼灸院を利用するメリットをイメージしやすくなります。

「リラクゼーション」「リラックス」などの言葉を入れることで、施術を受ける目的や施術後の状態をイメージしやすくなります。ただし、くだけすぎた表現はエステサロンやリラクゼーションサロンと間違われる可能性があるため、「整骨院」「鍼灸院」と組み合わせることがポイントです。

ターゲット層にピンポイントでアピールしたい場合は、「肩こり」「腰痛」などの症状を取り入れるのもおすすめです。

2-4. 経営者や代表の苗字を入れる

整骨院・鍼灸院の名前に経営者や代表の苗字を入れるケースも多く見られます。経営者や代表をイメージしやすく、親しみを感じやすいというメリットがあります。

苗字の漢字が難しい場合や一般的な読み方と異なる場合は、ひらがなやカタカナを使ってわかりやすさを重視しましょう。また、商圏内に同じ名前の整骨院・鍼灸院がないか確認しておくこともポイントです。

店舗展開を考えている場合は、2号店・3号店の店舗管理者の名前と一致しなくなります。混乱を招くおそれがあるため、慎重に検討しましょう。

3. 整骨院・鍼灸院の店舗名を決めるときの注意点

すでに実在する整骨院・鍼灸院と同じ名前を付けると、トラブルを招いたりインターネットで上位検索されにくくなったりする可能性があるため注意しましょう。

また、あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)では、お客さんが正しい情報をもとに店舗を選べるように店舗名にルールを設けています。

整骨院・鍼灸院の店舗名は、下記の内容を認知できる名称にしなければなりません。

● 国家資格保有者によるあはき・柔整の業態である

● 法令に基づき都道府県に届けられ適法である

● 医療機関と紛らわしい名称を用いていない

出典:厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドラインの概要」

お客さんが医療機関と誤認するおそれがあるため、「診療所」「メディカル」「クリニック」「リハビリ」などの言葉を使うことはできません。

また、2023年に開かれた「第9回あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」では、柔道整復師が開業する場合に店舗名に「整骨院」の使用を不可とする内容で合意されました。

ところが、2024年に開かれた「第11回あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」では、一転して従来通り「整骨院」の名称を使用できることになりました。方針が変更となった背景には、全柔協を中心とした存続署名活動が行われたことが影響しています。

「整骨院」の使用可否をめぐる話し合いは、6年間にわたって行われました。あはき・柔整広告ガイドラインの発出により、「整骨院」の使用可否が近いうちに再び二転三転する可能性はほとんどないでしょう。

しかし、完全に使用が認められたわけではなく、ガイドラインにも内容は掲載されていません。中長期的に検討することで話し合いが終了しているため、今後もルールが変わる可能性はゼロではありません。整骨院の開業を予定している場合は、最初から「接骨院」として名前を付けておくのも1つの方法です。

まとめ

整骨院・鍼灸院のネーミングは、集客や経営にさまざまな影響を与えます。

整骨院・鍼灸院の名前には、検索結果の上位に表示されやすい内容を取り入れることがポイントです。また、シンプルで分かりやすい名前を意識することで、幅広い年齢層のお客さんに認知してもらいやすくなります。

店舗名が思い浮かばない場合は、専門家に相談するのもおすすめです。全国統合医療協会では、店舗名の相談はもちろん運営面の相談にも対応しています。整骨院・鍼灸院の開業を予定している方は、ぜひ全国統合医療協会へご相談ください。

この記事の監修者

user

中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長