整骨院の顧客管理ツールとは?主な種類・導入メリット・選び方も

2025.09.27
整骨院の顧客管理ツールとは?主な種類・導入メリット・選び方も

整骨院における「顧客管理」は、直接の利益を生む業務ではないものの、運営の裏側を支える重要な役割を担っています。そもそも顧客管理と一口に言っても、具体的な作業内容は多岐にわたり、非効率だとスタッフの負担増加や顧客満足度の低下を招くおそれがあります。

顧客管理の効率を高める方法として注目されているのが、特化ツールの導入です。整骨院に特化した顧客管理ツールを導入することで、業務効率化はもちろん、顧客との信頼関係の構築やリピート率の向上が期待できるでしょう。

そこで今回は、整骨院向け顧客管理ツールの概要や基本の4タイプから、導入メリット、導入ツールの選び方まで詳しく紹介します。

1. 整骨院向けの「顧客管理ツール」とは?

整骨院の「顧客管理ツール」とは、顧客情報や予約状況、施術記録などを効率的に管理するためのソフトウェアやアプリケーションのことです。

顧客管理ツールに搭載される主な機能としては、顧客の基本情報の登録、予約管理、電子カルテの作成・保存、会計処理や売上分析が挙げられます。

現在ほどデジタル化が発展する前の整骨院では、紙やExcelによる顧客管理が主流でした。しかし、紙やExcelによる顧客管理は検索や更新に時間がかかるほか、情報の紛失や入力ミスといったリスクが避けられませんでした。

しかし、顧客管理に特化したツールを導入することで、日々の事務作業を効率化できるようになります。データを活用した施術提案やリピート率の向上にもつながることから、顧客管理ツールは整骨院経営を支える重要な仕組みと言えるでしょう。

2. 整骨院に適している顧客管理ツールの主な4つのタイプ

整骨院に導入される顧客管理ツールにはいくつかの種類があり、代表的なものとしては大きく「レセコンシステム」「電子カルテ」「予約管理システム」「POSレジ」の4タイプが挙げられます。それぞれ特徴や役割が異なるため、整骨院の規模や運営スタイルに応じて適切な顧客管理ツールを検討することが大切です。

ここからは、整骨院における主な4タイプの顧客管理ツールを、それぞれ概要・機能・どのような整骨院に適しているのかとともに詳しく紹介します。

2-1. レセコンシステム

レセコンとは、レセプト(診療報酬明細書)の作成といった保険請求業務の効率化を目的としたシステムです。

健康保険(保険施術)を取り扱う整骨院にとって、保険請求は欠かせない業務です。しかし、レセプトには診療内容や負傷原因、施術回数などさまざまな情報を正確に記入する必要があり、紙での記入や確認作業は膨大な手間と時間がかかります。

レセコンを導入することで、診療内容を入力するだけでレセプトが自動的に作成され、請求業務の正確性が大幅に向上します。さらに、電子カルテ機能と連携させれば顧客ごとの施術記録や来院履歴といった情報を一元管理できます。

保険診療を中心に行っている整骨院や、顧客数が多く請求業務の負担が大きい整骨院には特に適しています。

2-2. 電子カルテ

電子カルテとは、施術内容を含む顧客ごとの診療記録をデジタルデータとして一元的に管理できるシステムです。

整骨院では、施術内容や経過観察の記録を継続的に残す必要があります。しかし、保険請求業務と同様、紙カルテでの管理では紛失や記入ミスの可能性が避けられません。また、複数のスタッフで情報を共有する際にも、探す手間がかかり業務の流れを滞らせてしまいます。

電子カルテを導入すれば、施術記録を瞬時に検索・参照でき、必要に応じて画像データやメモを追加することも可能です。保険診療だけでなく、自費施術や美容メニューなど幅広いサービスを提供している整骨院や、複数のスタッフで効率的に情報を共有したい整骨院に適しています。

2-3. 予約管理システム

予約管理システムとは、顧客の予約受付やスケジュール管理を効率化するためのシステムです。電話や紙媒体での予約管理ではダブルブッキングや入力ミスが発生しやすく、顧客満足度の低下につながるリスクがあります。

予約管理システムを導入することで、空き枠の自動反映やキャンセル待ち機能、オンライン予約への対応などが可能となります。顧客はスマートフォンから24時間いつでも予約でき、スタッフ側もスケジュールを一目で把握できるようになります。さらに、リマインドメールやLINE連携機能を備えたものも多く、無断キャンセルの防止にも役立ちます。

予約件数の多い整骨院や複数スタッフで予約を分担している整骨院にとっては、非常に有効なツールとなるでしょう。

2-4. POSレジ

POSレジとは、会計処理と同時に売上や在庫をデータとして記録・管理できるシステムです。従来のレジでは会計処理しか行えませんが、POSレジなら「誰が・いつ・どのサービスを利用したか」といった顧客情報を会計データと紐づけて管理できます。

整骨院では、保険診療と自費施術、物販など異なる形態の売上を扱うことも多いため、POSレジを活用することで売上の内訳を正確に把握しやすくなります。また、電子カルテや予約管理システムと連携させれば、顧客ごとの来院履歴や施術履歴と合わせて売上データを一元化でき、経営分析にもつなげられます。

自費施術を積極的に取り入れている整骨院や、サプリメント・健康グッズなどの物販を行っている整骨院に特に適しています。

3. 顧客管理ツールを導入するメリット

整骨院が顧客管理ツールを導入することには、主に「業務効率のアップ」「人件費の削減」「顧客満足度の向上」といったメリットがあります。

ここからは、それぞれのメリットについて詳しく説明します。

3-1. 業務効率がアップする

顧客管理ツールを活用すれば、予約管理・カルテ作成・会計処理といった日常業務を大幅に効率化できます。

例えば、予約管理機能を兼ね備えたシステムであれば、顧客の来院状況や次回予約、経過記録を1画面でまとめて確認できます。インターネット予約との自動連携やリマインド通知機能によって、ダブルブッキングや予約漏れも防止可能です。

さらに、電子カルテ機能を利用すれば、顧客情報を素早く検索・共有でき、スマホやタブレットから施術記録を入力・保存することも容易です。システムによっては住所データからワンタップで地図検索ができる機能もあり、往診業務にも役立ちます。

3-2. 人件費を削減できる

顧客管理ツールを導入することで、業務の自動化が進み、人件費の削減にもつながります。

従来は電話での予約受付やキャンセル対応にスタッフを配置する必要がありましたが、オンライン予約機能があればそのぶんの人件費を抑えることが可能です。

また、紙カルテを使用していた場合には保管用のバインダーや印刷物などの消耗品コストもかかりますが、電子カルテならこうした費用負担も軽減されます。

業務効率化とコスト削減を同時に実現できる点は、特に人員が限られている整骨院にとって大きなメリットと言えるでしょう。

3-3. 顧客満足度の向上につながる

顧客管理ツールは、顧客一人ひとりに寄り添った施術やフォローを可能にします。電子カルテに蓄積したデータをもとに、症状の経過や施術効果を画像付きで確認・共有できるため、納得感のある説明がしやすくなります。

また、クラウド型システムなら外出先からでもカルテを確認できるため、出張施術・往診業務の際にも迅速に対応可能です。

さらに、自動リマインド機能や回数券の有効期限通知を活用すれば、顧客に継続を促進できます。こうした仕組みの構築は継続率や客単価の向上につながり、顧客満足度の向上が期待できます。

3-4. 新規・リピート顧客へのアプローチを強化できる

顧客管理ツールには、アフターフォローや新規顧客獲得に役立つ機能も備わっています。

来院後の顧客にメッセージを送信したり、次回来院日を自動提案したりすることで、リピート率を高められます。カルテに保存した施術前後の写真を活用して変化を共有すれば、顧客のモチベーション維持にもつながるでしょう。

また、ポータルサイトやSNSなどの複数媒体と連携できるシステムを導入すれば、予約を一元管理できるため手間やミスを減らせます。さらに、Googleマップと連携して口コミ管理やMEO対策を強化できるサービスもあり、集客面でも大きなメリットを発揮します。

4. 整骨院に導入する顧客管理ツールの選び方

顧客管理ツールを導入する際は、「何を管理したいのか」「どこまで自動化したいのか」といった目的をまず明確にした上で、自院に合った機能を備えたソフトを選ぶことが大切です。

顧客管理ツールを選ぶときにチェックしておくべきポイントとしては、下記が挙げられます。

 ● 現状の課題を解決できる機能・特性が備わっているか

 ● スタッフ全員が使いこなせるか

 ● 導入しやすい価格帯か

 ● サポート体制は十分か

顧客管理ツールの導入コストは、製品によって大きく異なります。しかし、費用の安さだけを重視して選ぶのは注意が必要です。

たとえ安価でも、自院にとって必要な機能やサポートが不足していれば結局使い物にならず活用しなかったり、より適したツールに買い替える必要が生じたりするなど、無駄なコストが発生する可能性があります。

導入にあたっては、サービス内容と費用のバランスを確認し、最適なツールを選ぶことを心がけましょう。

まとめ

整骨院向けの顧客管理ツールは、予約管理や電子カルテ、POSレジなどの機能を備え、日々の業務効率化や顧客満足度向上に役立ちます。適切なツールを選ぶことで、スタッフの負担軽減や新規・リピート顧客へのアプローチ強化が期待できます。

全国統合医療協会では、開業から日々の運営まで幅広く整骨院経営をサポートしております。レセコンの導入支援も行っているため、日々の顧客管理や請求業務の改善に悩んでいる整骨院経営者の方はぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長