整骨院の回数券とは?導入のメリット・注意点と販売時のポイントも

2025.12.25
整骨院の回数券とは?導入のメリット・注意点と販売時のポイントも

整骨院の黒字経営に向けては、「安定した来院・売上をいかに継続させるか」が重要なポイントとなります。こうした長期的な経営基盤をつくるためには、施術の技術はもちろん、通いやすい環境づくりやサービス設計が欠かせません。

数ある施策の中でも、多くの整骨院で注目されているのが「回数券」の導入です。回数券は複数回の施術をまとめてお得な料金で購入できるチケットを指します。リピート率の向上や売上の見通し改善につながる一方で、運用方法を誤るとトラブルや利益率の低下を招く可能性もあります。

そこで今回は、整骨院における回数券の概要から、導入のメリットと注意点、さらに回数券を効果的に販売するためのポイントまで詳しく解説します。

1. 整骨院経営の安定化につながる「回数券」とは?

多くの整骨院では、施術の継続利用を促すために「回数券」を取り入れています。

回数券とは、 複数回分の施術をまとめて購入できるチケットのこと です。基本的に、保険適用外の自費施術が対象となり、都度払いで通うよりも1回あたりの料金が安くなります。

また、回数券は有効期限が設定されていることも多いです。そのため、姿勢矯正や慢性症状のケアといった一定期間の継続が重要な施術の通院リズムを整えやすくする有効な仕組みと言えるでしょう。

整骨院側にとっても重要な収益源となるだけでなく、リピート率の向上にもつながるなど、経営面のさまざまなメリットを受けられる施策となります。

2. 整骨院に回数券を導入するメリット

整骨院に回数券を導入することには、多くの経営メリットがあります。売上の底上げだけでなく、通院の継続率向上や顧客満足度の強化にもつながるため、安定した運営を目指すうえで有効な施策と言えるでしょう。

そこで次に、整骨院に回数券を導入するメリットを3つ紹介します。

2-1. 売上の増加につながる

回数券は複数回分の施術料金をまとめて支払ってもらう仕組みのため、単月ベースでの売上増加が期待できます。通常の都度払いでは来院ごとに売上が発生しますが、 回数券の場合は数回分の料金が一度に入金されるため、キャッシュフローが安定しやすい点が大きな特徴 です。

さらに、まとまった売上が確保できることで次の施策に投資しやすくなります。例えば、新たなメニューの導入、治療機器の購入、院内環境の改善、広告費の投入など、成長のためのアクションに踏み切りやすくなり、結果として経営の好循環につながります。

2-2. リピート率・継続率の向上が期待できる

回数券を購入したお客さんは、すでに複数回分の料金を支払っているため、 「せっかく買ったのだから通院しよう」という心理が働き、継続利用につながりやすくなります。

整骨院では、肩こり・腰痛などの慢性症状や姿勢改善など、多くの施術が定期的な通院を前提にしています。単発の施術だけでは症状の緩和が難しいケースが多いため、継続的な施術が受けられる回数券は、お客さんに「続ける必要性」を理解してもらうきっかけにもなります。

回数券を購入し、定期的に通ったお客さんは施術による体の変化を実感しやすくなり、結果としてリピート率の向上につながります。

2-3. 顧客満足度の向上が期待できる

回数券により来院頻度が増えると、「ザイオンス効果(単純接触効果)」が働きやすくなります。これは、 接触回数が増えるほど相手への好感度が高まるという心理的効果のこと です。

施術者とのコミュニケーション回数が増えることで信頼関係が築かれ、「この整骨院なら安心して通える」「ここで施術を続けたい」と感じてもらえるようになります。

結果として、回数券が終了した後も引き続き利用してもらえるケースが増え、長期的な関係構築につながります。こうした継続的な関係は、顧客満足度だけでなく紹介・口コミの増加にも寄与し、整骨院全体の評価向上にもつながる点が大きなメリットです。

3. 整骨院に回数券を導入する際の注意点

整骨院に回数券を導入することには多くのメリットがある一方で、注意しておくべきポイントも存在します。事前にこれらの注意点を把握しておかなければ、回数券を有効に活用できないどころか、かえってキャッシュフローの不安定化を招くおそれがあります。

ここからは、整骨院に回数券を導入する際の注意点を3つ紹介します。

3-1. 利益率の低下や売上の不安定化につながるおそれがある

回数券は割引が前提となるため、1回あたりの利益率が下がる傾向があります。割引率を大きく設定すると、施術単価が下がりすぎて利益を圧迫する可能性が高まります。

また、回数券は購入時に複数回分の支払いを受け取れる反面、 販売月に売上が集中しやすく、翌月以降の売上が落ち込むケースも少なくありません。

そのため、短期的な売上アップがそのまま安定収益につながるとは限らず、販売数に依存した経営になってしまうリスクも考慮する必要があります。

3-2. 返金対応をめぐるトラブルが発生するおそれがある

回数券を購入したお客さんの中には、「途中で通院をやめてしまった」「施術効果に満足できなかった」という理由で、返金を求める人も一定数いるでしょう。

返金ルールを事前に定めていない場合、「どの程度返金するのか」「未使用分の扱いはどうするのか」といった点で揉めることがあり、トラブルに発展する可能性もあります。

返金トラブルの発展を避けるためには、 あらかじめ有効期限や返金可否を明確にし、説明・同意を得ておくことが不可欠 です。

3-3. 過度な営業が信頼低下につながるおそれがある

回数券を導入した整骨院の中には、積極的に販売しようとするあまり過度な営業になってしまうケースも少なくありません。しかし、過度な営業はお客さんに「押し売りされている」と感じさせてしまうおそれがあります。

一度でもお客さんに不信感を抱かれてしまうと、以降の継続利用は難しくなるだけでなく、口コミでネガティブな評価を書かれる可能性もあります。これにより、新規顧客の獲得や院のイメージに悪影響が出ることも考えられるでしょう。

そのため、 あくまでも「症状改善のための選択肢」として丁寧に紹介し、無理な提案を避ける姿勢が求められます。

4. 回数券を効果的に販売するためのポイント

前述の通り、整骨院が回数券を導入することにはメリットだけでなくいくつかのデメリット・リスクもあり、必ずしも売上の向上やリピート率の向上につながるとは限りません。

回数券を効果的に販売するためには、事前のプラン設計やルール策定、提案のタイミングなど、販売の過程をしっかり整えることが大切です。

最後に、回数券を効果的に販売するためにおさえておきたい3つのポイントを、それぞれ詳しく説明します。

4-1. 目的に合わせたプラン設計と価格設定を行う

回数券を導入する際は、まず利用者のニーズに合ったプラン内容と価格設定を明確にすることが重要です。「急性症状向け」「慢性症状向け」「メンテナンス向け」など、 目的・ニーズ別にプランを分けることで、より最適な通院頻度や期間を提案できます。

また、設定する回数には根拠をもたせ、「なぜこの回数が必要なのか」を説明できるようにしておくことも大切です。

回数券の割引率については、整骨院業界では5〜10%程度が一般的とされています。 割引を大きくしすぎると利益が圧迫される可能性があるため、施術1分あたりの単価(分単価)を意識しながら、無理のない範囲で価格を決めるようにしましょう。

4-2. トラブル防止に向けたルールを策定する

回数券は使い方や条件を巡って誤解が生じやすいため、事前のルール設定が不可欠です。具体的には、 「有効期限」「本人以外の利用可否」「返金の可否」などを明確にし、スタッフ全員が同じ説明ができる状態に整えておく必要があります。

また、口頭で伝えるだけでは認識の食い違いが起こりやすいため、回数券や同意書、利用規約に記載して明示しておくと安心です。後々のトラブル防止につながり、顧客との信頼関係を損なわないためにも、ルールの可視化は欠かせません。

4-3. セールスタイミングを見極める

どれだけ内容の良い回数券でも、提案するタイミングを誤ると「営業されている」と感じられ、逆に信頼を損ねることがあります。例えば、初めて来院したお客さんに施術前の説明段階でセールスを行うと、警戒心を与えてしまうケースが多く見られます。

効果的なタイミングとしては、 初回の場合は施術を受けて満足度が高まった直後、2回目以降の場合は施術前の料金説明時など が挙げられます。お客さん自身が「この施術なら続けたい」と感じている状態で提案することで、自然に受け入れられやすくなります。

押し売り感を出さず、あくまで「症状改善のための1つの選択肢」として紹介すること が、回数券販売を成功させる大きなポイントです。

まとめ

整骨院の回数券は、継続的な通院を促しながら売上の安定化にもつながる仕組みです。メリットが多い一方でデメリットや注意点もあるため、より効果的に活用するためにも、事前にプラン設計やルール策定など、販売の過程をしっかり整えることが大切です。

全国統合医療協会では、整骨院の開業支援から経営改善まで包括的にサポートしております。これから整骨院の開業を考えている方や整骨院経営に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長