【鍼灸院開業ガイド】開業の流れから必要資金まで徹底解説!

2023.03.10
【鍼灸院開業ガイド】開業の流れから必要資金まで徹底解説!

はり師・きゅう師の国家資格を取得し、鍼灸師としての実務経験を重ねた人の中には、独立開業を検討する人も多いでしょう。国家資格取得の他に1年間の実務経験と施術管理者研修の受講を終えれば、開業の最低条件はクリアできます。しかし、鍼灸院の開業をスムーズに進めるためには、事前準備が重要です。

当記事では、新規に鍼灸院を開業する際の流れと、開業時に必要となる資金の概要を解説します。鍼灸師として独立開業を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

鍼灸院を開業する際の流れ

鍼灸院の開業には、計画性が大切です。まずは、鍼灸院開業までの流れを掴んでおきましょう。

STEP1 開業エリアの選定
鍼灸院の開業には、「施術管理者」の届け出が必須です。管轄する地方厚生局は地域によって異なるため、まずは開業予定のエリアを決定しましょう。
STEP2 「施術管理者」の届け出
開業地域を管轄する地方厚生局へ、「施術管理者」の届け出を行います。
STEP3 資金を調達する
鍼灸院の事業計画・資金計画を練り、資金調達の目途を立てましょう。
STEP4 テナントの選択
届け出を行った地域内で、開業場所を探します。鍼灸院を開く場合は、テナントが「設備構造基準」をクリアしなければならない点に注意が必要です。
STEP5 鍼灸院の名称決定
鍼灸院では、病院と勘違いされるような名前をつけられない・流派や技術などをうたってはならないといった命名ルールがあります。看板などを作った後に名称変更が必要になると余計な出費となりかねません。必ずルールに則った名前をつけましょう。
STEP6 テナントの改装
「設備構造基準」を満たした上で、鍼灸院のコンセプトに沿った内装・外装に整えます。開業時に必要な施術機器や設備だけでなく、開業後の業務追加も見据えて余裕あるレイアウトを選ぶことが大切です。この時点で一度保健所に相談しておくと、不備が出にくくなります。
STEP7 開業届の提出
新しく鍼灸院を始める際は、開業場所を管轄する保健所に開業届を提出しなければなりません。開業日から10日以内の届け出が基本です。
STEP8 広告の準備
鍼灸院の開業日には、店舗の存在が地域住民に認知されている必要があります。チラシや折り込み広告、ホームページの制作などは早めに済ませておきましょう。
STEP9 開業許可の取得
開業届の受理後、保健所の監視員による施設の査察が行われます。「構造設備要件を満たしているか」「防火設備・廃棄物の管理、セキュリティ対策が十分か」「広告に違反がないか」などが審査対象です。
STEP10 開業する
保健所の査察で問題がなければ開業が認められます。正式な開業前にプレオープン日を設けて、地域の人たちにアピールしてもよいでしょう。

以上が一般的な鍼灸院開業の流れです。開業日に間に合うよう、逆算して準備を進めることが大切です。

鍼灸院の開業時に必要となる費用一覧


鍼灸院開業の初期費用(初期投資)は、500万~800万円程度は必要になると言われています。鍼灸院開業にかかる初期費用の内訳は、下記の6項目です。

物件取得費用
施術機器代
ツール・システム導入費用
人件費
広告宣伝費
開業後1~3か月分の運転資金

ここでは、鍼灸院の開業時に必要となる費用を、項目ごとに解説します。

物件取得費用

鍼灸院開業にあたり、初めに押さえておかなければならないのが開業場所です。開業エリアや立地、施設のスペースによって相場は変わりますが、初期費用として50万〜400万円程度は必要になると考えましょう。

物件取得費用の内訳は、下記の通りです。

【物件取得費用の内訳例】

土地・建物取得費
内装・外装工事費用
前家賃・契約金
保証金
敷金・礼金
管理費
共益費
仲介手数料
駐車場・駐輪場契約

なお、鍼灸院は「設備構造基準」を満たさなければ開業できません。いくら賃料が安くても、大がかりな内装工事が必要になると一気に必要経費が跳ね上がります。物件取得費用を抑えたい場合は、もともと鍼灸院や整骨院といった同様の基準が課せられる業種の居抜き物件を探してみるとよいでしょう。

施術機器代

施術機器や備品は、何をどの程度のグレードで揃えるかによっても金額が大きく異なる項目です。初期費用の中でも比較的大きな金額を占めるケースが一般的であり、100万~300万円程度が相場となります。

施術機器・備品代の内訳は、下記の通りです。

【施術機器・備品代の内訳例】

施術台
各種施術器具
消毒用機材
感染性廃棄物専用ゴミ箱
シーツ・タオル・カーテンなど
棚・椅子・机・スリッパなどの備品
コピー用紙・各種ファイル・トイレットペーパーなどの消耗品

開業時は安価なものやレンタル品を利用し、安定して利益を出せるようになってから充実させていくと無理のない経営がしやすくなります。

ツール・システム導入費用

現代では、鍼灸院の経営にも各種ツール・システムの導入が不可欠です。会計を行うレジスターや患者さんの予約状況を管理するパソコンなども、ツール・システムに該当します。導入するツールやシステムによって異なりますが、数万~数十万円程度が相場です。

鍼灸院で導入されることの多いツール・システムには、下記のようなものがあります。

【ツール・システムの内訳例】

電子カルテ対応費用
レジスター・パソコンなどの機器導入費用
予約表・予約管理システムの構築費用
予約・問い合わせ対応のオンラインシステム構築費用

中古・レンタル品を活用し、自分でシステムを構築できれば出費を抑えることも可能です。

人件費

比較的規模の大きな鍼灸院を開く、馴染みの患者さんがたくさんついて来てくれるなど、1人で切り盛りできない場合はスタッフを雇う必要が生じます。スタッフの人数や雇用形態によって異なるものの、1か月あたり20万〜100万円は見ておきましょう。

人件費の内訳は、下記の通りです。

【人件費の内訳例】

スタッフの給与
社会保険料
各種手当

継続雇用の場合、人件費は毎月の固定費として大きな額を占めます。雇用側の都合で簡単に切り詰められない部分のため、慎重に検討しましょう。

広告宣伝費

鍼灸院の開業が周囲に認知されなければ、患者さんのコンスタントな来院は期待できません。開業時の投資としては、30万~100万円程度を想定しておきましょう。有料口コミサイトへの登録は1か月あたり5,000~1万円程度、Webサイト制作の依頼は1件につき5万~数十万円が相場となります。

広告宣伝費の内訳は、下記の通りです。

【広告宣伝費の内訳例】

看板製作費用
Webサイト制作費用
ポータルサイト登録費用
Web広告出稿費用
チラシ・折り込み広告制作・配布費用
診察券・回数券製作費用
クーポン券配布費用

鍼灸院の立地やターゲット層によって、効果的な広告宣伝方法は異なります。費用対効果を検証しながら、自院に合った販促方法を見つけることが大切です。

開業後1~3か月分の運転資金

鍼灸院の経営が軌道に乗るまでには、数か月~半年かかるケースも珍しくありません。最低でも1か月、可能であれば半年先までの運転資金を用意しておきましょう。テナント料や鍼灸院の規模によっても異なりますが、1か月あたり100万円程度が一般的な目安となります。

運転資金の内訳は、下記の通りです。

【広告宣伝費の内訳例】

テナントの家賃
人件費
水道光熱費
消耗品
広告宣伝費
通信費

収益が足りない間も鍼灸院を維持できるよう、十分な資金を用意しておくと安心して開業できます。

独立開業には「訪問鍼灸」という手段もある!


鍼灸師の独立開業では、鍼灸院の解説以外に患者さんの自宅に訪問して施術を行う、「訪問鍼灸」も選択できます。訪問鍼灸はテナントを借りたり高額な機器を購入したりする必要がないため、比較的低予算で開業が可能です。

鍼灸院開設・訪問鍼灸のどちらにしても、開業の流れに即した準備や資金の確保だけでなく、開業手続き・集客・施術における幅広い知識の習得が必須となります。しかし、開業準備で慌ただしい日々の中、余裕をもって準備を進めるのが難しい人もいるでしょう。

「全国統合医療協会」では、会員さま向けに充実した開業・運営支援を提供しております。スムーズな開業に向けて専門家の意見を取り入れたい方は、ぜひ当協会にご相談ください。

まとめ

鍼灸院の開業には、十分な資金を用意してから望むことが大切です。開業エリアや院のコンセプトによっても、準備すべき開業資金や当面必要な運転資金の相場が異なるため、しっかりとリサーチして計画を練りましょう。資金調達に不安がある場合は、訪問鍼灸もおすすめです。

自分ですべての準備を整える時間を取りづらい場合や、事業・資金計画に不安がある場合は、専門家の支援を受けることも視野に入れてみてはいかがでしょうか。鍼灸院の開業から運営まで、一貫したサポートをお望みの場合は「全国統合医療協会」へご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長