【令和6年度版】整骨院における療養費改定|これまでの歴史について

2024.07.16
【令和6年度版】整骨院における療養費改定|これまでの歴史について

令和6年4月26日に開催された「第29回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会」にて柔道整復療養費の令和6年料金改定(案)について議論がされ、料金改定案が示されています。整骨院の療養費改定は、そもそもなぜ行われるのでしょうか。療養費改定の趣旨やこれまでの主な出来事についてポイントを解説していきます。

令和6年 柔道整復療養費の料金改定の内容

5月10日時点での決定事項(概要)

・電療料・初検料の引き上げ

・明細書交付義務化対象の拡大

・長期・頻回受療(6か月目以降の長期逓減)の料金見直し

・患者ごとに償還払いに変更できる事例の追加

※このうち「電療料・初検料の引き上げ」については6月1日より、2〜4については10月1日より適用開始となります。

令和6年6月1日より適用される内容

柔ー1_柔道整復療養費の令和6年改定(案)より抜粋

資料の内容にあるように【電療料】【初検料】の料金が引き上げられます。

電療料

現行30円→6月1日改定後 33円(3円増)

初検料

現行1,520円→6月1日改定後 1,550円(30円増)

令和6年10月1日より適用される内容

・明細書交付義務化対象の拡大

・長期・頻回受療(6か月目以降の長期逓減)料金見直し

・患者ごとに償還払いに変更できる事例の追加

こちらの参考資料よりご確認下さい

(参考:柔道整復療養費の令和6年料金改定(案))

令和6年 あはき療養費の料金改定の内容

令和6年4月26日に開催された「第32回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」にてあはき療養費の令和6年料金改定(案)について議論がなされ、料金改定案が示されました。

※第32回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会配布資料はこちらからご確認いただけます。

令和6年6月1日より適用される内容

(1) 往療料の距離加算の廃止

(2) 離島や中山間地等の地域に係る加算の創設

(3) 往療料の見直し及び訪問施術料の創設

(4) 料金包括化の推進(患者ごとに償還払いに変更できる事例の追加

(5) 同一日・同一建物への施術

※令和6年10月1日より適用される内容については、下記資料よりご確認下さい。

あん摩マッサージ指圧

施術料の引き上げになっています。

(参考:「あー1 あはき療養費の令和6年度料金改定(案))

はり・きゅう

初検料及び施術料の引き上げになっています。

(参考:「あー1 あはき療養費の令和6年度料金改定(案))

療養費改訂の目的

不正請求や過剰診療を防ぐため、療養費の適正な算定基準を設けることで、医療費の無駄を削減する目的で行われています。施術の質を維持、向上させるために、適切な報酬を設定し医療従事者のモチベーションを高めると共に、整骨院同士の不公正な競争を防ぎ、患者さんに対する公平なサービス提供を促進する目的もあります。
また、患者さんが適切な医療サービスを受けられるようにし、不当な高額請求から保護します。

療養費改定の主な出来事

2024年(令和6年) 最新の療養費改訂が予定され、さらなる報酬基準の見直しと不正請求防止策の強化が進められる見込み
2022年(令和4年) 療養費のさらなる適正化とデジタル化の推進。電子請求システムの導入が拡大

柔道整復師

往療料(片道4㎞超)算定基準見直し

施術の必要性を確認すべき患者に対する施術は償還払いに変更可能

一部施術所は明細書の患者への交付義務化/明細書発行体制加算を新設(施術所の要件による)

2020年(令和2年)

新型コロナウイルスの影響で一部施術に対する特別措置が講じられる

柔道整復

初検時相談支援料の要件強化と引き上げ・整復料(骨折、脱臼)、固定料(不全骨折)、後療料(骨折、不全骨折、脱臼)の引き上げ

鍼灸あん摩マッサージ

技術料(はりきゅう)・施術料(マッサージ)の引き上げ

往療料の距離加算の減額、施術報告書交付料の引き上げ

施術報告書に施術頻度を記載。療養費支給申請書等の様式変更

2018年(平成30年)

柔道整復療養費のさらなる適正化が進められ、請求手続きの厳格化

施術管理者について研修受講や実務経験を要件とする仕組みの導入(施術管理者研修)

※鍼灸の施術管理者研修はこちら

「急性・亜急性」の文言削除。再検料の引き上げ。柔道整復運動後療料の算定。金属副子等の包括化。2回目・3回目の算定が可能

2014年(平成26年)

療養費の引き下げが実施され、報酬体系が再度見直される

2010年(平成22年)

柔道整復療養費の算定基準が大幅に見直され、適正な報酬体系の確立が図られる

後療料等、施術部位が3部位以上の料金算定方法について変更(3部位目を所定料金の70%で算定4部位目を所定料金の0%)

3部位以上の請求は部位ごとに負傷の原因を記載する

打撲、捻挫の後療料の引上げ

領収証および希望者への明細書の発行を義務づける

不正等が合った場合、施術所関係者の責任も問うことができるなどの見直し

2006年(平成18年)

正請求の防止策強化。療養費請求に関する監査が厳格化

初検料、往療料の引き下げ

再検料の引上げ、温罨法加算の引き下げ

往療距離が片道8㎞を超えた場合、一律定額の加算に変更

施術料金等の改定に伴って療養費支給申請書の様式の一部が変更

2002年(平成14年)

柔道整復療養費の適正化のため、請求の透明性と詳細化が求められるようになる

往療料と再検料の引き下げを行うとともに、施術部位が3部位以上の場合、後療料、温罨法、冷罨法、電療料について、4部位目は所定料金の100分の33(従来は100分の45)に相当する額で算定

「柔道整復施術療養費支給申請書」様式の一部改定

健康保険法等の改正に伴って、柔道整復の施術所において患者から受領する一部負担金の割合が変更される。

「柔道整復施術療養費支給申請書」の様式の一部が改定されている。

1992年(平成4年)

柔道整復師の施術所が療養費の直接請求を開始

温罨法、電療料に係る待機期間、冷罨法に係る算定制限が一部緩和

療養費請求の適正化の観点から、多部位または長期にわたる施術について逓減制導入

骨折等の応急施術の場合の保険医療機関への紹介に関わっている施術情報提供料が新設

1984年(昭和59年

柔道整復療養費の請求方法や報酬基準の見直し。初診料・再診料の新設

後療料について重点的に引き上げした

まとめ

整骨院の運営において、療養費の改定ポイントをおさえる事で患者さんにとって良い施術を試行錯誤したり、経営の方針・計画を設計しなおすことができるでしょう。

患者さんへのアナウンスを予め行い、「なぜか最近の支払金額が増えているな…」とご心配をおかけしないようにしましょう。

私たちは療養費請求代行サービスを始め、これから開業を考えている方や開業した後の運営に必要な運営支援をご相談無料で行っています。

整骨院を初めて開業する方や、経営の見直しをお考えの方、運営に係る情報が入ってこない。返戻レセプトが溜まっている等お悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長