接骨院(整骨院)の運動療法とは?目的・算定方法・主な種類も
接骨院(整骨院)が提供できるメニューの中には「運動療法」があります。接骨院を経営していて、「お客さんに運動療法を提供したい」と考える経営者の方も多いのではないでしょうか。
接骨院のお客さんは運動療法を必要とするケースが多く、高いニーズがあるサービスです。ニーズを理解して適切なメニューを提供できれば、収益アップが期待できるでしょう。
今回は接骨院の運動療法とは何かを説明した上で、運動療法の目的と料金の算定方法、主な種類などを解説します。
目次
接骨院(整骨院)の運動療法とは?
そもそも運動療法とは、運動を行って身体的な健康状態や心理的な状態を改善させるアプローチのことです。
特に接骨院における運動療法は、お客さんの動作・姿勢に見られる問題に対処することで、身体機能の悩み・症状の緩和を目指す施術を指します。お客さんに正しい身体の動かし方を伝えて、実践を通じて動作を修正していくなどが、運動療法の例です。
また、運動療法と意味が近い言葉に、「リハビリ(リハビリテーション)」があります。
リハビリとは一般的に、運動機能や生活機能の回復を目指す活動のことです。リハビリで行われる療法は大きく分けて「理学療法」「作業療法」「言語療法」の3つがあります。
運動療法は、理学療法の一種です。運動療法とリハビリには大きな違いがないものの、意味合いとしては若干の違いがあります。
接骨院における運動療法の目的
接骨院における運動療法にはさまざまな目的があります。
運動療法の目的は施術を受けるお客さんによって異なるため、ニーズを把握するためにも主な目的を理解しておきましょう。
ここからは、接骨院における運動療法の目的を4つ挙げて、どのようなお客さんが対象となるかも解説します。
一時的に低下した筋力の回復・再発リスクの軽減
運動療法では、筋力低下や再発リスクがある身体状態に対して、運動療法で筋力の回復・再発リスクの軽減を図ります。主な対象は、スポーツや事故によってケガをした方や、骨折・脱臼の症状で施術を受けた方です。
ケガによって骨折・脱臼などの状態になった場合、安静にしているとケガをした部位がうまく動かせなくなり、筋力低下につながります。脱臼は再発性が高いため、同じ部位を繰り返し脱臼するケースもあるでしょう。
運動療法はベッドの上で行える方法があり、早い段階から行うことで筋力の回復や再発リスクの軽減ができます。
生活習慣病の予防
運動療法は運動を通じて行うアプローチであり、生活習慣病の予防を目的として提供されることがあります。主な対象は、生活習慣の乱れによって高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの内科疾患を患っている方です。
肥満を例に挙げると、運動によって中性脂肪や体脂肪を減少させることで改善につなげられます。運動は脳や骨にも刺激を与えられるため、脳萎縮や骨粗鬆症の予防も期待できるでしょう。
移動動作の維持・改善
運動療法にはお客さんの歩き方・立ち方・手足の動かし方といった「移動動作」に着目して、正しい動作の維持・改善を目指すアプローチがあります。主な対象は、老化によって日常生活動作(ADL)が低下している高齢者の方や、ケガや病気によって移動動作が困難となっている方です。
お客さんに正しい移動動作を伝え、実践してもらい、間違った動作をしないよう修正していきます。お客さんが運動療法を通じて正しい移動動作を理解して、日常生活でも正しい移動動作ができることを目指す内容です。
ストレス解消
運動療法は脳や筋肉に刺激を与える活動であり、ストレス解消に役立ちます。ストレス解消を目的とする運動療法の主な対象は、精神疾患を患う方や、イライラ・無気力などのストレス反応が起きている方です。
例を挙げると、筋肉を柔軟に動かす「ストレッチ」がストレス解消の運動療法として行われる施術です。簡単な運動は気分転換に適していて、仕事や家庭で感じるストレスの解消が期待できます。
運動療法料の算定方法
お客さんに運動療法を行った接骨院は、労災や交通事故施術の請求時に「運動療法料」を請求できます。運動療法料として請求できる料金は、2024年2月時点で1日あたり「380円」です。
運動療法料の請求条件は、下記の2つを満たす必要があります。
(1)1週間に1回程度、暦月で1か月に5回を限度として、後療時に算定すること
(2)部位や回数に関係なく1日380円として、運動療法を20分程度行うこと
(1)の「1週間に1回程度、暦月で1か月に5回を限度」とは、例を挙げると下記のような施術間隔です。
初検日:4月2日
施術日:4月9日・16日・23日・30日
ただし、算定は後療時であるため、基本的に初検日は算定できません。
また、(2)の「運動療法を20分程度行う」は、運動器具を使う場合のみが対象となっています。ストレッチのみを20分以上行っても、条件を満たしたことにはならない点に注意してください。
(出典:厚生労働省「労災保険柔道整復師施術料金算定基準」)
接骨院で行う運動療法の主な種類・メニュー
一般的な運動療法は有酸素運動や無酸素運動などが基本ですが、接骨院で行う運動療法はストレッチや筋力トレーニングが主となります。近年では物理療法を組み合わせた運動療法も人気です。
接骨院で行う運動療法の主な種類・メニューとして、3つのメニューを紹介します。
ストレッチ
ストレッチは、筋肉や関節の柔軟性を高め、可動域を広げることを目的としたメニューです。ケガなどで安静にしていて筋肉がこわばっている方や、移動動作・日常生活動作が低下している方、ストレスを抱えている方に適しています。
ストレッチには下記の2種類があります。
●静的ストレッチ
筋肉を伸ばした状態で静止し、反動をつけずに行うストレッチです。関節や筋肉への負荷が軽く、リラックス効果も期待できます。
●動的ストレッチ
反動をつけてリズミカルに筋肉を動かすストレッチです。筋肉に刺激を多く与えられ、関節の可動域を広げられます。
筋力トレーニング
筋力トレーニングは、筋力の維持・向上を目的としたメニューです。スポーツや事故のケガによって筋力が低下した方や、生活習慣病の予防をしたい方におすすめです。
筋力トレーニングには2種類の方法があります。
●等張性運動
等張性運動は関節の動きを伴う、筋肉に繰り返し負荷をかけるトレーニングです。筋トレマシンを使うトレーニングは等張性運動が多く、筋肉に多くの負荷をかけて筋力向上が目指せます。
●等尺性運動
等尺性運動は関節の動きを伴わない、筋肉に負荷がかかった体勢をキープして行うトレーニングです。関節の負担や筋肉への負荷が少なく、筋力や体力が低い方に向いています。
物理療法×運動療法
物理療法では、超音波や電気刺激を与えたり、暖めたりができる専用機械の物理的刺激によって、痛みの改善や血行促進を図ります。
このような物理療法と運動療法を組み合わせたメニューを提供できると他院との差別化にもつながるため、積極的に取り入れることがおすすめです。
全国統合医療協会では、物理療法が行える専用機械として下記の2つを取り扱っています。
●ELbio(エルビオ)
ELbioは、施術用パッドから電気刺激を与えることで筋肉の収縮を誘発できる複合高周波EMSです。ELbioの複合高周波は深さ20cmまで届き、アウターマッスルとインナーマッスルを同時に鍛えられます。4つのモードが搭載されていて、お客さんの目的に合った施術を提供できる点も魅力です。
●ELcare(エルケア)
ELcareは、500,000Hzの高周波で施術部位の痛みを取り除くことができる高周波治療器です。高周波は低周波よりも皮膚刺激が少なく、施術スピードも早くできるメリットがあります。ELcareには神経による痛みを改善できるNモードと、損傷部などにアプローチできるDモードがあり、患者さんの悩みに応じた施術を行えます。
まとめ
接骨院の運動療法とは、お客さんが抱える身体機能の悩みや症状を改善するために行う施術です。施術の目的としては筋力低下の回復や生活習慣病の予防、移動動作の維持・改善などがあり、接骨院はお客さんの症状に合った施術を提供します。
接骨院で行う運動療法は主に3種類があり、近年は物理療法を組み合わせた運動療法が人気です。運動療法の導入を考えている経営者の方は、紹介した専用機器を用いたメニューをぜひ検討してみてください。
全国統合医療協会では他にもさまざまな医療機器のラインナップがあり、接骨院のコンセプトに適した機器の提案も行っております。他院との差別化を図りたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者