【2024年1月開始】電子帳簿保存法の義務化とは?整骨院によくある書類の保管方法について解説

2023.12.18
【2024年1月開始】電子帳簿保存法の義務化とは?整骨院によくある書類の保管方法について解説

そもそも電子帳簿保存法とは?図で分かりやすく解説


電子帳簿保存法は、帳簿や領収書・請求書などの書類の保存処理に係る負担を軽減するために、電子データによる保存を認めるものです。

電子帳簿保存法を理解する上で、3つのポイントを理解することが大切です。

電子帳簿保存法をわかりやすく理解するためのポイント

電子帳簿保存法について①電子帳簿等保存・②スキャナ保存・③電子取引の3つのポイントについて解説します。

(※「電子帳簿保存法」と「電子帳簿保存」が似ている言葉ですが違う意味です)

(画像:整骨院の経営の事なら全国統合医療協会)

【任意】①電子帳簿等保存
電子で作成した国税関係帳簿書類の電子保存を認めるものです。
会計ソフトやコンピューターなどにより作成した国税関係帳簿・決算関係書類・自己発行の取引関係書類については、一定の要件を満たしたときに、電子データ保存できます。

 

【任意】②スキャナ保存
自身で作成した紙書類の控えや取引先から受け取った紙の請求書などを、一定の要件のもとスキャンし、電子データ保存を認めるものです。
スキャナでのスキャンだけはなく、スマートフォンやデジカメでの撮影で保存することもできます。

 

【義務】③電子取引
注文書や契約書などの取引情報を紙ではなく、電子データで行った場合の電子保存について定めたものです。
一定の要件のもとデータで保存することが義務付けられます。

電子帳簿保存法の改正で2024年から変わることは?


2024年1月1日以降からは具体的にどのような変更点があるのでしょうか。特に電子取引データの内容が重要です。下記に詳しく解説します。

整骨院で保険請求をしている場合の対象書類について、対象の事業者ごとにご紹介します。

電子取引データ:紙保存要件が変更

対象:全事業者

電子取引データにおいて、現在は紙で印刷したものを原本保管できましたが、2024年1月1日以降は取引情報を原則データで電子帳簿保存法の要件に則って保存する必要があります。

スキャナ保存:タイムスタンプと検索要件の緩和

対象:スキャナ保存の導入を希望する事業者

タイムスタンプ付与期間が最長2ヶ月+7営業日以内に、検索要件が「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つのみに緩和されました。

電子帳簿等保存:電子帳簿の利用で紙帳簿の7年間の保管が不要になります

対象:電子帳簿等保存の導入を希望する事業者

国税関係帳簿書類に関して、一貫してクラウド会計ソフトを使用して作成する場合は、紙帳簿の保管が不要になりました。

電子帳簿保存法の対象書類


電子帳簿等保存の対象帳簿・対象書類は、会計ソフトなどコンピューターで作成している書類です。具体的にどのような方法で保存しなければならないのか?

絶対に電子で保管しなければいけない書類はどのような書類なのかポイントを解説します。

①電子帳簿等保存の対象帳簿・対象書類

電子帳簿等保存の適用については、希望者のみの対応

・国税関係帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳など)

・決算関係書類(損益計算書、貸借対照表など)

・パソコンで作成した取引関係書類を、紙で取引先に渡した際の控え(見積書、請求書、納品書、領収書など)

②スキャナ保存の対象書類

スキャナ保存の対象書類は「手書きで作成し取引相手に紙で渡す書類の写し」や「取引相手から紙で受け取った書類」です。

具体的には、決算関係書類を除く国税関係書類のうち、以下の書類が対象です。

書類 内容
重要書類 資金・物の流れに直結・連動する書類
例:契約書 納品書 請求書 領収書 預金通帳 送り状 振替依頼票など
一般書類 資金・物の流れに直結・連動しない書類
例:見積書 注文書 口座振替依頼書など

(参考: 電子帳簿保存法一問一答(スキャナ保存)|国税庁(問2参照) )

③電子取引の対象書類

電子取引の対象書類は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書など、紙でやりとりしていた場合に保存が必要な書類(スキャナ保存の対象書類)と同様です。

書類を受け取った場合だけでなく、送った場合にも保存する必要があります。

※データでやりとりしたものが対象です。紙でやりとりした書類をデータ化しなければならない訳ではありません。

電子取引の対象はメール・Webサイト・FAX・電子契約・EDI(電子的データ交換)取引などです。

整骨院において特に気を付けるべき保存方法の書類とは?

整骨院の経営において保険診療を取り扱っている方は、保険者から紙で送られる書類が多いため、他の書類も印刷して管理している方も多いと思います。

今後の流れとして、電子保管のメリット(7年の保管期間がなくなる等)を目的として手続きや事務処理が簡素化される傾向があります。

背景には人口減少の流れや正しい会計処理が考えられる一方、現場が変化に追いついていないのが現状です。

とはいえ、電子化の流れは今後も推奨される事が予想されるため、気づいた時にご自身で改正内容がわからないという事がないように私たちのコラムをお役立ていただけますと幸いです。

▼整骨院のペーパーレス化(DX化)についてはこちら▼

整骨院における保険証のオンライン資格確認|概要から導入の流れについて

まとめ

これまでは電子でやり取りした書類でも印刷して保管すれば問題なかったものの、2024年1月1日からは原則印刷をしての保管が出来なくなります。

取引先などから紙で印刷された書類を受け取った場合は現時点で任意対応にはなっていますのでご安心ください。

私たち全国統合医療協会では、各保険者の入金管理も一括して行っておりますので、各保険者ごとの書類の保管を手間に感じている方や、仕分けの数が多いなどお悩みがございましたら是非お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長