接骨院(整骨院)の人材採用は難しい?成功させるポイントも解説!
接骨院(整骨院)の経営を安定させるには、優秀な人材を確保することも大切です。しかし、人材採用にはさまざまな課題があり、思うように人材を確保できない場合もあります。スムーズな人材採用を目指すためにも、まずは接骨院(整骨院)業界の人材採用の現状を知っておきましょう。
今回は、接骨院(整骨院)の人材採用が難しい理由と採用活動を成功させるためのポイントについて解説します。優秀な人材が集まらない場合の対処法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 接骨院(整骨院)の人材採用が難しい理由
接骨院(整骨院)の経営を安定化させるには、顧客を増やしたり対応できる施術を増やしたりするのが効果的です。顧客数や対応できる施術を増やすには、優秀な人材を採用する必要があります。
しかし、接骨院(整骨院)における人材採用には課題も多く、決して簡単に実現できるわけではありません。
そこでまずは、接骨院(整骨院)の人材採用が難しいと言われる理由を詳しく解説します。
1-1. 柔道整復師を求める施設の幅広さ
就職先の選択肢が多く人材が分散されやすいことは、接骨院の人材採用が難しいと言われる理由の1つです。
柔道整復師は、接骨院に限らずさまざまな分野で求められる人材です。医療分野や介護分野、スポーツ分野など多くの施設で柔道整復師の求人募集を行っています。
接骨院以外の柔道整復師の主な就職先は、下記の通りです。
病院や医療機関
介護施設
スポーツジム
スポーツチーム
「外傷の臨床経験を積みたい」「柔道整復師の活動の幅を広げたい」など目指す目標がある人は、特化した分野で就職するケースが多く見られます。人材採用を成功させるには、自院の魅力をアピールする力が必要です。
1-2. 個人事業主の多さ
柔道整復師は、個人事業主として働く人が多いことも特徴です。雇われる形ではなく自分で経営をするケースが多く、接骨院の人材採用の難しさにつながっています。
柔道整復師は独立開業が認められている国家資格であるため、接骨院で数年働いて経験を積んだら独立開業ができます。省スペースでの開業が可能である点も、独立開業の多さに影響していると言えるでしょう。
人材採用をしても数年の経験を積んだら辞めてしまう可能性もあるため、長期にわたって働いてもらえるような対策を講じる必要があります。
1-3. 技術習得の難しさ
柔道整復師の技術習得には時間がかかります。新卒スタッフは経験や技術力が劣るため、一人前として働いてもらえるようになるには育成期間が必要です。
新卒スタッフを雇用する場合、必ずしも顧客の増加や対応できる施術の開拓につながるとは限りません。できるだけ早く戦力として働いてもらえるように、技術を身につけるための教育カリキュラムを整えることが大切です。
2. 接骨院の人材採用活動を成功させるためのポイント4選
厚生労働省が運営する「職業情報提供サイト jobtag」の情報によると、2023年度の柔道整復師の有効求人倍率は3.58です。
(参考:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「柔道整復師-職業詳細」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/173)
求職者1人に対して3件以上の求人があることからも、接骨院に人材が集まりにくくなっていることが分かります。
接骨院の人材採用が難しい中でできる限り優秀な柔道整復師を多く集めるには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
ここでは、接骨院の人材採用活動を成功させるためのポイントを解説します。
2-1. 求職活動を行う柔道整復師の利用率が高い媒体で採用活動を進める
接骨院の求人採用では、柔道整復師の利用率が高い媒体を利用するのが効果的です。
さまざまな採用媒体がある中で、柔道整復師の利用率が特に高いのが転職サイトです。柔道整復師を含む職種の求職者の約47%が転職サイトを利用しています。次いで多いのが職業安定所で約30%、さらに人材紹介会社が約24%です。
利用率が高い採用媒体でしっかりアピールすることで、優秀な人材に出会える確率が高くなります。
2-2. 求人票に施術メニューや主な客層をあらかじめ示しておく
求人票に提供する施術メニューや主な客層など詳細な情報が記載されていれば、求職者は自分に適した職場かどうか判断しやすくなります。求人内容から働き方をイメージできるかどうかが重要なポイントです。
求人票の情報が薄いと、メインとなる業務や客層が伝わらず応募が集まりにくくなります。また、マッチング率の低い求職者からの応募が殺到して、求めている人材の取りこぼしが起こるリスクもあります。
マッチング率の低い柔道整復師を採用した場合、早期退職につながることもあるため注意しましょう。早期退職が発生すれば、採用コストや育成コストのムダが発生します。経営の安定化を目指すためにも、コストを抑えて効率良く採用活動を行いましょう。
2-3. 専門学校とのつながりをつくって新卒を採用する体制を整える
多くの専門学校では、接骨院や各分野の施設と提携して卒業後の就職サポートを行っています。新卒スタッフの採用も視野に入れているのであれば、専門学校とのつながりをつくっておくことも大切です。
新卒スタッフを一人前にするには、時間と育成コストがかかります。しかし、「自院のビジョンや理念が伝わりやすい」「採用コストを抑えられる」などのメリットもあります。
専門学校のホームページをチェックして、採用担当者向けのページから新卒スタッフの募集を行っている旨をアピールしましょう。
2-4. 教育制度の充実度をアピールする
接骨院に就職または転職するにあたり、将来性に不安を抱く求職者も少なくありません。どのような教育制度があるのかをアピールすることで、「求めている経験や実績を積めるか」「目指す将来のイメージに近づけるか」など具体的にイメージしやすくなります。
接骨院における教育制度には、育成マニュアルの作成や評価制度の導入などが挙げられます。
3. 優秀な柔道整復師がなかなか集まらない場合の対処法2選
接骨院の人材採用活動を成功させるためのポイントをおさえても、即戦力となり得る柔道整復師を雇用できるとは限りません。地域性や周辺の競合院の存在などが理由で、なかなか求めている人材が集まらないケースもあります。
対策を講じても優秀な柔道整復師が集まらない場合は、未経験者やブランクがある人材の積極的な雇用も検討しましょう。柔道整復師にこだわらず、関連する職種の人材を採用するのも1つの方法です。
ここからは、優秀な柔道整復師が集まらない場合の対処法を具体的に解説します。
3-1. 未経験者やブランクのある人材を積極的に雇う
採用活動が上手くいかない場合は、未経験者やブランクのある人材の採用も検討しましょう。柔道整復師の資格を持っているものの、現在は他の職種についているという人も少なくありません。
「未経験歓迎」「ブランクOK」などの文言は求職者の注目を集めやすいため、積極的に記載しましょう。未経験歓迎の求人を出すことに対して、人材育成の手間やコストを懸念する経営者もいますが、実際にはやる気に満ち溢れた若手からの応募が集まるケースもあります。
効率良く優秀な人材として育てるためには、研修制度を整えることも大事です。研修制度が充実している点をしっかりとアピールして、人材採用につなげましょう。
3-2. はり師・きゅう師(鍼灸師)を採用する
はり師・きゅう師(鍼灸師)を採用するのも1つの方法です。2023年度における鍼灸師の有効求人倍率は0.86と低く、柔道整復師に比べて採用活動の難易度も低いと言えるでしょう。
(参考:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「はり師・きゅう師-職業詳細」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/175)
ただし、鍼灸師は柔道整復師とは別業種であるため、柔道整復師が行う施術は対応できません。接骨院で採用する場合、鍼灸師としての施術をメインで任せることになります。
近年、美容鍼灸やスポーツ鍼灸など鍼灸分野が注目されているため、針灸メニューを導入することで集客アップが期待できます。鍼灸師を採用する場合は、自費施術メニューの導入や教育制度の充実など事前準備が必要です。
まとめ
接骨院(整体院)業界は、柔道整復師を求める施設の幅が広く個人事業主が多いことから、人材採用が難しいと言われています。優秀な人材を採用するには、柔道整復師の利用率が高い求人媒体を利用したり求人票の記載内容を充実させたりといった対策が必要です。
求める人材をなかなか採用できない場合は、未経験者やブランクがある人材を雇用するのも改善策の1つです。また、はり師・きゅう師(鍼灸師)を採用するという方法もあります。
人材採用を成功させる方法はさまざまあるため、今できることから始めてみましょう。
全国統合医療協会では、鍼灸整骨院の経営相談や運営相談が無料でできます。
お気軽にお問い合わせください
この記事の監修者