整骨院における物販の意義|メリット・販売できるもの・ポイントも

2024.12.27
整骨院における物販の意義|メリット・販売できるもの・ポイントも

整骨院経営を安定させる方法として「物販」の活用は欠かせません。物販は単なる収益向上にとどまらず、お客さんの健康管理をサポートする手段としても重要です。しかし、物販に抵抗を感じる方や、「何を売ればいいのか」「法律的な問題はないのか」と、不安に感じる方もいるでしょう。

当記事では、物販の意義や経営者・お客さん双方にとってのメリット、販売できるもの・できないもの、さらに物販を成功させるためのポイントを解説します。物販を取り入れて、整骨院経営にさらなる可能性を見つけましょう。

1. 整骨院(接骨院)における物販の意義

物販とは、商品を仕入れて顧客に販売することです。近年は、整骨院(接骨院)においても、施術に関連するアイテムや日常生活のサポート用品を取り扱うケースが増えてきました。物販には次の2つの意義があります。

(1)施術の補助として
(2)利益を生む1つの部門として

物販は単なる商品販売にとどまらず、施術の補助という重要な役割を果たします。たとえば、姿勢矯正グッズやサポーターの提案により、施術後のケアや日常生活の質を高めるサポートが可能です。施術効果の維持や向上にもつながり、お客さんの満足度や信頼度を高められるでしょう。

また、物販は経営面でも大きな意義があります。施術サービスだけに頼るのではなく、物販を1つの収益部門とすることで安定した売上を確保しやすくなります。リピーターが増えれば増えるほど、収益基盤がより強固になるでしょう。ただし、施術と無関係な商品や不要な押し売りは信頼を損ねるため注意が必要です。

2. 【立場別】整骨院で物販を行うメリット

施術サービスに重点を置き、自分の腕に自信と誇りをもつ反面、物販に苦手意識をもつ方もいるでしょう。しかし、整骨院での物販は、経営者とお客さんの双方にメリットがあるサービスです。

以下では、整骨院で物販を行うメリットを、経営者とお客さんそれぞれの立場で解説します。

2-1. 経営者にとってのメリット

物販は整骨院経営において多くの恩恵をもたらします。代表的なのが、以下の5点です。

効率的に売り上げを伸ばせる
リピーターの再来院につなげられる
お客さんとの信頼関係を深められる
顧客単価を向上させられる
経営の安定化につながる

物販のメリットの中でも、「効率的に売り上げを伸ばせる」という点は特に大きな魅力です。たとえば、5人に1人が5,000円分の商品を購入してくれれば、10人の来院で10,000円の追加売上が見込めます。物販商品は比較的利益率が高いため、施術時間を増やすよりも短時間で顧客単価を上げられます。

また、リピーターの再来院にもつながりやすいのもメリットです。たとえば自宅でのケア用品を提案した場合、「次回来院時にその効果を確認しましょう」といった形で自然に通院を促せます。さらに、商品販売を通じて会話が弾めば、お客さんとのコミュニケーションも深まり、信頼関係の構築にも役立ちます。

施術だけに依存しない収入源を確保できれば、経営の安定化も可能です。特に自費施術と物販の組み合わせをうまく活用すれば、安定的な収益基盤を築けるでしょう。ただし、過剰な売り込みはお客さんに不信感を抱かせるため、必要な商品を適切に提案することが重要です。

2-2. お客さんにとってのメリット

物販は、お客さんにとっても以下のようなメリットがあります。

施術後の状態を維持しやすい
自宅でのセルフケアが可能になる
健康意識が高まる

施術後の身体の状態を維持するには、日常生活でのケアが不可欠です。たとえば、姿勢矯正ベルトやストレッチ用品を活用すれば、整骨院に通えない日でもセルフケアが可能になります。

また、物販を通じて健康意識が高まり、身体への意識が日常的に向けられれば、再発予防にもつながります。このように、物販は整骨院の施術を補完し、お客さんの健康をサポートする有効な手段です。

3. 整骨院の物販で販売できるもの・できないもの

整骨院で物販を始める際には、法的に販売が認められている商品と禁止されている商品を理解することが重要です。知らずに販売すると法律違反で摘発されかねません。

以下では、整骨院の物販で販売できるもの・できないものを紹介します。

3-1. 販売できるもの

整骨院で販売できるのは、主に健康維持や施術効果の向上に関連する商品です。基本的に、「第二類医薬品」「第三類医薬品」「家庭用医療器具」に分類される製品が対象で、以下のようなものが代表的です。

サポーター類
コルセット類
健康食品(サプリメントなど)
医薬部外品(一部の湿布や軟膏など)
ストレッチ用品や姿勢矯正グッズ
ボディケア用品(マッサージクリームなど)

これらの商品は、整骨院の施術効果を維持・補助する目的で販売が認められています。

たとえば、サポーターやコルセットは関節や筋肉をサポートし、日常生活での負担軽減に役立ちます。また、健康食品やストレッチ用品などは、施術効果のサポートが期待できる商品です。

ただし、あくまで整骨院の施術を補完する目的で販売することが重要です。健康に関係ない商品や過度な販売は、お客さんの支持を失いかねません。

3-2. 販売できないもの

以下に該当する商品は、整骨院での販売が禁止されています。

医薬品(一般用医薬品および医療用医薬品)
医療機器(家庭用医療機器を含む)
アルコール類

医薬品や医療機器は、医薬品医療機器等法により厳しく規制されている商品です。販売には資格や許可が必要で、整骨院での取り扱いは認められていません。たとえば、市販の湿布でも「医薬部外品」であれば販売が可能ですが、「医薬品」に該当するものは販売不可です。

4. 整骨院の物販を成功させるためのポイント3つ

最後に、整骨院の物販を成功に導くためのポイントを3つ紹介します。売上向上はもちろん、お客さんの満足度向上にもつながる工夫を取り入れましょう。

4-1. POPやディスプレイで商品の認知度を高める

物販を成功させるには、まず商品が目に入るような工夫が欠かせません。受付や待合室など、お客さんが必ず目にする場所に商品をディスプレイしましょう。たとえば、姿勢矯正ベルトやサポーターを目立つ場所に配置し、効果や使い方を簡潔に伝えるPOPを添えると、興味を引きやすくなります。

また、季節やキャンペーンに合わせてディスプレイを変えるのも効果的です。たとえば、冬には冷え対策グッズ、夏には汗をかいた後のケア商品を並べることで、「今、必要だ」と感じてもらえます。手書きのPOPや院長・スタッフのおすすめコメントを加えると、安心感や信頼感を与えられるでしょう。

4-2. 実際の施術に組み込む

施術中や施術後に自然な形で商品を提案できれば、物販の成功率は高まります。無理に売り込むのではなく、お客さんの悩みに寄り添った提案をするのがポイントです。

たとえば、サポーターや湿布を実際に施術で使用し、「この商品を使って日常の負担が軽くなったというお客様も多いですよ」などと説明すれば、効果を実感した上で購入を検討してもらえるでしょう。施術者自身がその商品を使用しており、効果に自信をもっていることも、説得力を高める要素です。

4-3. お試しサービスを行う

お試しサービスも、商品のよさを直接体感してもらう有効な手段です。整骨院の物販では直接身体に触れたり飲んだりする商品も多く、不安を感じるお客さんが少なくありません。

販売する商品のお試しサービスは、その不安を解消する効果があります。たとえば、コルセットやサポーターを数日間貸し出せば、「効果があったから購入しよう」と感じてもらえる可能性が高まります。

また、待合室に試供品やサンプルを置く方法もおすすめです。POPやディスプレイと組み合わせると、お試しサービスの存在に気付いてもらいやすくなります。「試してみませんか?」と手書きでPOPに書き添えるだけでも、購買意欲を引き出せるでしょう。

まとめ

整骨院の物販は、施術の補助としての役割や収益向上の手段として重要です。販売できる商品とできない商品を理解した上で、適切に取り扱いましょう。また、POPやディスプレイの工夫、施術への自然な組み込み、お試しサービスの提供が物販成功のポイントです。

全国統合医療協会では、開業を検討している整骨院の先生方を対象に、開業支援や運営サポートを行っています。資金調達や届出書類のサポート、施術機器の紹介、経営支援までトータルで支援が可能です。物販導入や整骨院経営にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長