柔道整復師が年収1,000万を達成するためのコツ5選

2024.07.09
柔道整復師が年収1,000万を達成するためのコツ5選

接骨院(整骨院)などで働く柔道整復師の中には、収入アップを目指している方も多いのではないでしょうか。収入アップは働くモチベーションアップにつながる要素の1つです。

「月収〇万円アップ」「年収1,000万円達成」など具体的な目標があると、仕事への向き合い方に変化が生まれます。

年収1,000万円を目指している方は、実際に目標を達成している方の働き方や成功のコツを参考にしてみましょう。

今回は、柔道整復師の平均年収や年収1,000万円を達成するためのコツを解説します。

1. 柔道整復師が年収1,000万越えを目指すのは可能?

柔道整復師として働く方の中には、「年収1,000万円越えを目指したいけど、そもそも実現できるかどうかすら分からない」と考えている方も多くいるのではないでしょうか。

結論から述べると、柔道整復師が年収1,000万円以上を実現するのは決して不可能ではありません。しかし、その難易度は非常に高く、達成できるのはごく一部の柔道整復師だけと言っても過言ではないでしょう。

厚生労働省が公表した調査データによると、日本柔道整復師会の会員のうち、売上高が1,000万円を越える柔道整復師は全体の21.9%です。

(参考:厚生労働省「柔道整復師について」/https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000694909.pdf

しかし、これはあくまでも売上高であり、ここから家賃や人件費、税金などを差し引いた額が純利益となります。純利益は、下記の計算方法で算出できます。

純利益 = 営業利益 - 税金(税率×営業利益)

営業利益とは、売上高から売上原価と販売費を差し引いた金額のことです。損益計算書上に表される「主な事業活動によって生まれた利益」を示しており、営業利益の売上高に対する比率は「売上高営業利益率」、いわば企業の収益性を見る指標としても使われます。営業利益を用いた売上高営業利益率は、下記の計算方法で算出できます。

売上高営業利益率 = 営業利益率 ÷ 売上高 × 100

日本政策金融公庫によると、「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所」、いわゆる接骨院(整骨院)などの平均売上高営業利益率は「18.5%」でした。

(出典:日本政策金融公庫「業種別経営指標-あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所」/https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings2_202302_09b.pdf

上記を参考に、「合計の税率が20%の場合における、1,000万円の純利益を達成するために必要な売上高」を下記に算出します。

(1) まずは、純利益1,000万円を達成するために必要な営業利益を算出します。
営業利益 = 1,000万円 ÷ 0.8 = 

1,250万円

(2) 次に、純利益1,000万円を達成するために必要な売上高を算出します。
売上高 = 1,250万円 ÷ 0.185 = 

約6,756万円

つまり、年収1,000万越えを実現させるためには最低でも6,756万円の売上が必要です。しかし、上記の営業利益は税率のみを考慮した計算式で算出しています。実際には税金のほかに家賃や人件費、広告費などさまざまな事業支出が生じるため、「売上高7,000万円以上」を目安にすると良いでしょう。

2. 柔道整復師の平均年収

柔道整復師の平均年収は約459.3万円です。月給に換算すると、約38.2万円となります。とは言え、実際の年収は、地域やスキルなどによって異なることも覚えておきましょう。

(出典:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「柔道整復師」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/173

そして、一般的なサラリーマンの平均年収は約458万円と、柔道整復師の年収と大きな違いがありません。一般的なサラリーマンが年収1,000万円を目指すのは難しいことを考えると、柔道整復師が年収1,000万円を目指すハードルの高さをより実感できるでしょう。

(出典:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」/https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2022.htm

3. 年収アップのカギは「独立開業」にある?

柔道整復師の平均年収や年収1,000万円越えが予測できる柔道整復師の割合から分かるように、年収1,000万円を達成するのは決して簡単ではありません。

しかし、独立開業することで収入が青天井となり、年収アップのハードルが低くなると言われています。収益のほとんどは自分の収入になるため、効率良く稼げるでしょう。自分のスキルや考えを直接経営に反映し、うまく経営すれば高収入を見込めます。

実際に、年収1,000万円を稼ぐ柔道整復師のほとんどが、独立開業の道を選んでいます。年収1,000万円を目指したい方は、独立開業も視野に入れてみましょう。

以下では、独立開業した場合の柔道整復師の平均年収を解説します。

3-1. 【ケース別】独立開業した柔道整復師の平均年収

独立開業は、繁盛して経営がうまくいくケースもあれば、なかなか予約が埋まらずに経営難に陥るケースもあります。独立開業を検討する上で、ケース別の平均年収をイメージしておくことも大切です。

独立開業した柔道整復師のケース別平均年収は、下記の通りです。

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開業1年目の平均年収 開業3年目以降の平均年収
繁盛する接骨院 約400万~600万円 約800万以上
予約が埋まらない接骨院 約300万~400万円 約300万~500万円

開業1年目の段階で、繁盛する接骨院と予約が埋まらない接骨院では平均年収に約100万~200万円の差が出ます。せっかく独立開業しても、十分な集客ができなければ年収は雇用される場合と大きく変わりません。

接骨院が繁盛した場合、開業3年目以降に年収1,000万円を実現する柔道整復師もいます。一方で、予約が埋まらない接骨院は、何も対策を講じない限り年収は開業3年目以降も開業1年目とほぼ横ばいか、多くても約50万~100万円上がる程度です。

万が一経営が悪化すれば、開業1年目や雇用されていた時代より年収が下がるおそれもあります。

独立開業は年収アップにつながる有効な手段ではあるものの、必ずしも年収が上がるわけではありません。年収1,000万円を達成するために独立開業をするのであれば、スキルやノウハウの習得などに力を入れましょう。

4. 柔道整復師として年収1,000万円を達成するためのコツ

柔道整復師として年収1,000万円を稼ぐには、集客につながる取り組みを徹底して接骨院を繁盛させる必要があります。施術の腕前はもちろん、経営に関する知識を深めることも大切です。

ここからは、収入を安定化させて年収1,000万円を達成するためのコツを5つ紹介します。

4-1. 技術力の向上を図る

柔道整復師としての技術力が高いほど、お客様の満足度は向上します。柔道整復師は国家資格であることから専門知識がそもそも必須ですが、高収入を得るには知識だけでなく優れた技術力も必要です。

柔道整復師になるために学んだ知識や技術だけで施術をしていると、お客様が物足りなく感じたり競合に劣ったりする原因になります。柔道整復師に求められる知識や技術は、日々新しいものが開発されているため、勉強会やセミナーに参加するなど常に向上心を持ってアップデートしましょう。

お客様の満足度が高まれば、リピーター率の向上にもつながります。

4-2. 顧客管理を徹底する

高収入を稼ぐ柔道整復師は、顧客管理能力に優れています。お客様一人ひとりに適した施術を提供できるように、施術前にはカウンセリングを行い、健康状態や体の不具合を確認しましょう。

カウンセリング内容や施術内容は、お客様ごとにデータにまとめておくことがポイントです。お客様との信頼関係の構築にも役立ちます。

お客様の数が多くなるほど、顧客管理の徹底が難しくなります。情報管理システムを導入するなど、顧客管理の仕組みを整えることも大切です。

4-3. 専門分野を極める

柔道整復師の主な職場となる接骨院は、供給過剰によって飽和状態にあります。そのため、いかに競合との差別化を図れるかが重要なポイントです。専門分野を極めることで、コアな客層を獲得しやすくなります。

競合との差別化やキャリアアップにつながる主な関連資格は、下記の通りです。

・鍼灸師(はり師・きゅう師)
・理学療法士
・パーソナルトレーナー
・アスレティックトレーナー

柔道整復師として働く上で必須資格ではないものの、取得しておくと専門性をアピールできます。「スポーツをする方向け」「女性の産後ケア」など、ターゲット層に関連する知識を深め、技術を磨きましょう。

4-4. 施術以外の付加価値をつける

年収1,000万円を安定して稼ぐには、休みなく働いて売上を増やすより客単価を上げるほうが効果的です。しかし、客単価が高くなるとお客様が来なくなる可能性もあります。安易に料金調整で客単価を上げるのではなく、施術以外の付加価値をつけることも意識しましょう。

仕事帰りに利用できるように営業時間を遅くしたり、オプション施術メニューを用意したりするのも1つの方法です。施術単価が高くても十分なメリットが得られれば、お客様はコンスタントに足を運んでくれます。

付加価値は競合にはないオリジナルなものであるほど、売上アップにつながります。

4-5. 経営に必要な知識を習得する

独立開業する場合、単に施術がうまいだけで年収1,000万円を目指すのは困難です。経営を軌道に乗せて売上を維持するには、マーケティング戦略をはじめとするビジネススキルが必須です。

経営に必要な知識が不十分な状態で開業をするのではなく、経営者に求められることをしっかり習得してから独立しましょう。経営に関する不安がある場合は、接骨院の開業支援やサポートを受けるのがおすすめです。

全国統合医療協会では、接骨院の開業・運営支援を行っています。専門家によるサポートが受けられるため、1人で不安な方はぜひ相談してみましょう。

まとめ

柔道整復師の平均年収を考えると、年収1,000万円を実現するのはハードルが高いと言えます。年収1,000万円を達成している柔道整復師の多くは独立開業をしているため、高収入を目指したい方は独立も視野に入れましょう。

ただし、独立開業するだけで年収1,000万円を手にできるとは限りません。柔道整復師としての技術力だけでなく、経営に必要な知識やノウハウを身につけることも大切です。

全国統合医療協会には、柔道整復師の独立開業をサポートする体制が整っています。顧客管理の徹底や経営に関する知識の習得など、独立開業に関する不安があれば、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長