接骨院(整骨院)でも電子カルテの活用は可能?主な活用例も紹介!

2024.08.23
接骨院(整骨院)でも電子カルテの活用は可能?主な活用例も紹介!

接骨院の経営において、業務の効率化は大きな課題です。近年、医療業界における電子カルテの普及率は上昇傾向にあります。接骨院においても紙カルテから電子カルテに切り替えるケースが増えています。これから開業しようと考えている方も、電子カルテの導入を検討してみましょう。

今回は、電子カルテと紙カルテの基礎知識と電子カルテを導入するメリット・デメリットについて解説します。接骨院で活用できる電子カルテの種類や活用例も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

そもそも「電子カルテ」とは?

電子カルテとは、患者さんに関する治療情報を電子化してまとめた診療録であり、その情報を管理するシステムでもあります。

コンピュータ上で情報を管理するため、パソコンやタブレットで情報を把握できます。治療記録や検査結果はもちろん、紹介状といったデータの一元管理が可能です。業務の効率化を図れることもあり、電子カルテを導入する接骨院は非常に増えています。

まずは、電子カルテと紙カルテの違い、接骨院における電子カルテの役割と必要性について解説します。

電子カルテと紙カルテとの違い

電子カルテと紙カルテの違いは、下記の通りです。

電子カルテ 紙カルテ
記録方法 データ入力 手書き
複数人での同時確認 ×
管理方法 データ管理 カルテ庫で保管

紙カルテは、手書きで情報を記載する従来型のカルテです。紙とペンさえあれば停電時でも問題なく記入や管理ができる一方で、誰かが紙カルテを使用している間は記入や管理ができないほか、保管スペースが必要となります。

電子カルテは停電やシステム故障には弱いものの、同時に操作したり情報共有をしたりできるため効率的となるほか、紙カルテに比べて管理がしやすいことも特徴です。

接骨院におけるカルテの役割・必要性

接骨院では、患者さんの情報をカルテにまとめて保存することが法律で義務付けられています。カルテの保存期限は5年間です。

接骨院におけるカルテには、下記の役割があります。

・レセプト作成時に必要な施術録の確認
・患者さんの状態の把握
・カルテ開示への対応

患者さんがどのような施術を受けたのかを記録しておくことで、療養費の請求を確実に行えます。患者さんの施術履歴や症状の推移を把握する上でも重要です。

患者さんから施術録の開示請求をされた場合や厚生労働省から保険の取り扱いについて説明を求められた場合にも、カルテがあれば適切に対応できます。

接骨院で電子カルテを活用するメリット&デメリット

接骨院で電子カルテを活用することには、メリットとデメリットの両面があります。電子カルテの導入を検討する場合は、デメリットへの対応策もしっかり確認しておきましょう。

ここでは、接骨院で電子カルテを活用するメリットとデメリットを解説します。

メリット

電子カルテを活用する主なメリットは、下記の通りです。

【電子カルテ活用のメリット】

・情報の検索性と共有性が高まる
・物理的な保管スペースが不要になる
・業務の効率化につながる

電子カルテは、日付やキーワードを指定して情報検索ができます。紙カルテは手作業で検索しなければならず時間がかかりますが、電子カルテなら必要な情報を速やかに見つけられます。共有性にも優れており、スタッフとの情報共有もスムーズです。

電子カルテはコンピュータ上で情報管理ができるため、カルテ庫を設ける必要がありません。省スペースで開業や運営ができることもメリットの1つと言えます。

情報の検索性と共有性が高まり、カルテ管理がしやすくなれば、業務の効率化にもつながります。

デメリット

電子カルテを活用する主なデメリットは、下記の通りです。

【電子カルテ活用のデメリット】

・コストがかかる
・停電時に利用できなくなる
・個人情報が流出するリスクがある

電子カルテを活用する場合、システム導入費用だけでなくアップデートやメンテナンスなどの維持費用もかかります。運用にかかるトータル費用を見積もった上で、導入を検討しましょう。

さらに、コンピュータ上で管理するため停電時に利用できなくなる可能性があります。停電で利用できなくなった場合は、一時的に紙カルテを利用するなどの対策が必要です。個人情報の流出リスクに備えて、セキュリティ対策も徹底しましょう。

接骨院で活用できる電子カルテの主な種類

接骨院で活用されている電子カルテは、「オンプレミス型」「クラウド型」の2つが主流です。近年では、レセプト作成機能も併せ持つ「レセコン一体型」も注目されています。

以下では、電子カルテの種類別に概要とメリット・デメリットを解説します。

(1)オンプレミス型

オンプレミス型は、治療院の中にサーバーを設置して独自のネットワークで運用する方法です。サーバーやネットワーク機器の選択肢が多く、自院のニーズに合わせてシステム運用ができます。

オンプレミス型は、システム運用の自由度が高くサポート体制が充実していることがメリットです。システム設計次第で、セキュリティ環境を強固にすることもできます。ただし、独自のネットワークで運用するには莫大なコストがかかります。

(2)クラウド型

クラウド型は、インターネット上のサーバーを経由して運用する方法です。電子カルテの活用に必要なサービスが業者から提供されるため、サーバーの設置やシステム設計を自院で行う必要がありません。

クラウド型は、インターネット環境とブラウザがあれば、手軽に電子カルテを導入できます。大規模なシステム構築の必要がなく、初期費用を抑えられることもメリットの1つです。ただし、リソースは業者が提供するものに限られるため、オンプレミス型に比べると自由度が劣ります。

(3)レセコン一体型

レセコン一体型は、インターネット上のサーバーを経由して電子カルテの管理とレセプト作成を1つの端末で行う方法です。

1つの端末でデータ管理と操作を行うことで、業務効率化や待ち時間の短縮につながります。リソースは業者が提供するものに限られるため、セキュリティ対策はしっかり確認しておく必要があります。

1人接骨院やスタッフが少ない接骨院の場合は、電子カルテとレセコンをそれぞれ単独で導入する方法よりもレセコン一体型の電子カルテの方が効率的です。

全国統合医療協会では、電子カルテ機能も併せ持つレセコンシステム「メディネス」を取り扱っています。導入費用無料で始められるため、コストを抑えつつ電子カルテを導入したい方におすすめです。

レセコン導入支援についてはこちらをご覧ください。

接骨院における電子カルテの活用例

電子カルテを効果的に活用できれば、回転率を上げたり競合院との差別化を図ったりすることができ、経営の安定を目指しやすくなります。

以下では、接骨院経営の安定につながる電子カルテの活用例を紹介します。

●業務効率化を目的に活用

電子カルテには、業務の効率化に役立つ機能が豊富です。スキャンで保険証情報を登録したり自費メニューに対応したり、煩雑な業務を一元管理できます。レセコン一体型であれば、レセプトも端末で簡単に作成できるため業務にかかる手間と時間の短縮が可能です。

患者さんがスマホから問診票を入力できる機能や返戻対応をしてくれるシステムもあるため、提供内容をチェックして業務負担を軽くしましょう。

●患者の満足度向上を目的に活用

電子カルテには、患者さんの氏名・住所・連絡先の他に治療歴や来院理由なども登録されます。必要な情報をすぐに取り出せるだけでなく、ターゲット層にマッチしたクーポンを配布できるようになります。施術後のアフターフォローもしやすくなり、患者さんの満足度向上につながるでしょう。

施術のクオリティが高く快適な接骨院だと認知してもらえれば、リピーターとして定期的に足を運んでもらいやすくなります。

まとめ

治療院におけるカルテには、患者さんの状態の把握やレセプト作成時に必要な施術録の確認などさまざまな役割があります。

近年は、端末でカルテの管理やレセプト作成ができるレセコン一体型の電子カルテが人気です。電子カルテは、業務効率化や患者さんの満足度向上など経営の安定化につながります。

全国統合医療協会では、接骨院の開業相談や運営支援に力を入れています。個別相談への対応やレセコン導入支援なども行っているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

user

中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長