【整骨院DX化】主な取り組み・推進メリット・課題を徹底解説!

2025.02.26
【整骨院DX化】主な取り組み・推進メリット・課題を徹底解説!

近年、整骨院業界でもDXの重要性が高まってきました。業務の効率化やコスト削減、顧客満足度の向上を実現するため、多くの整骨院がデジタル技術を活用した経営改革に取り組んでいます。しかし、「どのような施策を進めれば良いのか」「費用対効果は見込めるのか」といった悩みを抱える方も少なくありません。

当記事では、整骨院DX化に向けた具体的な取り組み例や導入のメリット、推進時の課題について解説します。DX化に興味がある方や、一歩を踏み出せずにいる方はぜひ参考にしてください。

1. そもそも「DX」とは?

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称です。デジタル技術を活用して、ビジネスや生活をより良いものへと変革する取り組みを指します。単なるデジタル化にとどまらず、従来の常識や慣習を超えて新たな価値を生み出すことが目的です。

IT化がアナログ業務をデジタル化して効率を高める取り組みであるのに対し、DXはデジタル技術を基盤に新たなビジネスモデルや価値を創造する点で異なります。デジタル化の先にある包括的な変革がDXの本質と言えるでしょう。

2. 整骨院DX化に向けた主な取り組み3選

整骨院のDX化を進めることで、業務効率化や顧客満足度の向上が期待できます。さまざまな導入・推進方法がありますが、以下では特に効果が高いとされる取り組みを3つ紹介します。

2-1. 予約システムの導入

DX化に向けた取り組みとして代表的なのが、予約システムの導入です。予約システムを導入すれば、従来の電話や手帳での管理からオンライン予約へ移行できます。これにより、予約の重複や記載ミスなどのトラブルが起こりにくくなるため、スムーズな予約管理と受付業務の負担軽減が実現するでしょう。

お客さんは24時間いつでもスマートフォンやパソコンから予約が可能になるため、院内が忙しくても、予約を取り損ねません。さらに、リマインド機能を活用すれば、お客さんの予約忘れを防止でき、無断キャンセルのリスクも低下します。院内の業務効率向上とお客さんの満足度向上の両面で効果を発揮する取り組みです。

2-2. 電子カルテの導入

電子カルテを導入すると、患者情報をデジタルデータとして一元管理できるようになります。紙カルテでは、必要な情報を探すのに時間がかかる上、紛失リスクもありましたが、電子カルテではタブレットやパソコンから瞬時にアクセス可能です。施術中の確認作業がスムーズになり、お客さんごとの施術計画も正確に記録できます。

また、クラウド対応のシステムなら、往診時にもタブレット1台でカルテを確認できるため、外出先での業務効率も向上するでしょう。データは暗号化されるため、情報漏洩のリスクも低減できます。

2-3. AI(人工知能)姿勢分析ツールの導入

AI姿勢分析ツールは、お客さんの身体の歪みを短時間で可視化し、数値データとして提示できるシステムです。

施術前にお客さんの全身をタブレットで撮影するだけで、骨格のズレや姿勢の乱れをAIが正確に分析します。施術効果を視覚的に説明できるため、お客さんの納得感が高まり、リピート率の向上につながります。

また、施術者による見解の差を減らし、経験の浅いスタッフでも安定した評価が可能になるため、お客さんが担当者の当たりはずれを感じにくくなるのも大きな利点です。

3. 整骨院DX化を進めるメリット

整骨院DX化は、院内業務の効率化だけでなく、お客さんの利便性向上や経営面での利益拡大にもつながる取り組みです。

ここからは、業務効率の向上やコスト削減、集客力の強化など、DX推進によって得られる代表的な5つのメリットを紹介します。

3-1. 業務効率化を実現できる

予約受付やカルテ管理、会計処理などの事務作業をデジタル化できるのが、DX化によるメリットの1つです。オンライン予約システムを導入すれば、電話対応の手間が減り、受付業務が大幅に効率化されるでしょう。さらに、予約状況や売上分析もリアルタイムで把握でき、経営戦略の立案にも役立ちます。

また、電子カルテを活用するとお客さんの施術履歴や症状を即座に確認できるため、施術計画の立案や申し送りもスムーズになります。データ連携により、予約から施術、会計まで一貫して管理できる点も、業務効率化につながるポイントです。

3-2. 各種コストを削減できる

DX化は、業務効率向上と同時にコスト削減にも効果を発揮します。予約システムや電子カルテを導入すると紙の診察券やカルテが不要になり、印刷費や保管スペースのコスト削減が可能です。オンライン問診や決済システムを取り入れれば、手続きの簡略化により無駄な作業時間も減らせます。

さらに、業務のデジタル化によってミスが減り、修正対応にかかる時間とコストも抑えられ、結果的に経営全体のコストパフォーマンスが向上するでしょう。業務の自動化により受付や事務作業の負担が軽減されれば、人件費の最適化も期待できます。

3-3. 集客力がアップする

DX化を進めると、集客力アップが期待できる点もメリットの1つです。予約システムを活用すれば、営業時間外でもオンライン予約を受けつけられます。オンライン上で施術の空き状況をリアルタイムで確認できたり、直接電話をかけずにキャンセルできたりすれば、お客さんの利便性が高まります。

ホームページやSNSで施術内容や健康に役立つ情報を発信し、施術者の専門性や人柄を伝えることにより、信頼性の向上も可能です。ホームページと予約システムを連携すれば、お客さんが情報を得た流れで簡単に予約でき、来院につながる機会を逃しません。

3-4. 顧客満足度の向上につながる

DX化は、顧客満足度の向上にも直結します。オンライン予約や事前問診を導入すると、来院前に必要な情報を把握できるようになり、受付や施術までの流れもスムーズに進むでしょう。来院時の待ち時間短縮につながり、お客さんのストレスを軽減できます。

また、AI姿勢分析ツールを活用し、身体の状態を画像や数値で分かりやすく説明すれば、施術内容に対する理解と納得感を高めることが可能です。さらに、施術前後の変化を可視化して提示すれば施術の効果を実感しやすくなり、信頼感と満足度も向上します。

3-5. 施術レベルの向上・平準化につながる

DX化は、施術レベルの向上と平準化にも効果を発揮します。AI姿勢分析ツールを活用すれば、お客さんの身体の歪みや筋肉の負担が数値化や可視化されるため、客観的なデータに基づいた評価が可能です。施術者の経験に依存せずとも状態を正確に把握でき、施術の質を一定に保ちやすくなるでしょう。

電子カルテを活用してお客さんごとの施術経過を院内で共有することで、担当者が変わっても一貫した施術を提供できる環境が整います。データに基づいた施術計画を共有できると、お客さん自身が改善の進捗を実感しやすい点もメリットです。

4. 整骨院DX化の課題

整骨院DX化には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。

まず、DXの推進にはITやデジタル技術に精通した「DX人材」の確保が不可欠です。しかし、中小規模の整骨院ではIT専門の担当者の採用は難しく、DX推進を担う人材が不足しているケースが少なくありません。

次に、既存のスタッフには、デジタル技術を活用できるスキルの習得が必要です。予約システムや電子カルテなどの操作には基礎的なITリテラシーが求められるため、現場の理解とスキルアップに向けた教育を行わなければなりません。

さらに、DX推進には多額のコストがかかる点も大きな課題です。特に小規模な整骨院では、システム導入にかかる初期費用や運用コストの確保が難しい場合があります。加えて、自院に適したシステムを見つけるのも簡単ではありません。

これらの課題解決には、適切なシステム導入や運用に関するコンサルティングを受けるのも1つの選択肢です。全国統合医療協会のような「整骨院経営を総合的に支援する団体」に相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

整骨院のDX化は、予約管理や電子カルテ、AI姿勢分析ツールの導入により、業務効率化やコスト削減、集客力の向上を実現するでしょう。さらに、お客さんへの丁寧な対応が可能となり、施術レベルも平準化できます。一方で、DX人材の確保や育成、多額の導入コストなどの課題も無視できません。

全国統合医療協会では、整骨院の開業支援や運営のサポートを行っています。適切なシステム導入やDX推進に関する相談も可能です。DX化に関心がある方は、ぜひ一度全国統合医療協会にお問い合わせください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長