整骨院におけるキャッシュレス決済導入と注意点|競争が激化する中で差別化する為には?

2023.07.12
整骨院におけるキャッシュレス決済導入と注意点|競争が激化する中で差別化する為には?

キャッシュレス決済がすすむ理由と現況

整骨院に関わらず、保険を取り扱う医療機関においては全体的にキャッシュレス決済が進んでいない傾向があります。

世の中でキャッシュレス決済の導入が進んでいる理由は、スマートフォンやモバイル端末の普及、インターネットの高速化など、技術の進歩や個人が手軽に電子決済を利用できるようになった事や、財布から現金を取り出す手間やお釣りの管理の必要性がなくなり支払い手続きが迅速で簡単であるため、利便性が高いとされているからです。

日本での現況

日本政府は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げ、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいます。 この目標の実現に向け、キャッシュレス決済比率を定期的に算出・公表しています。 2022年のキャッシュレス決済比率は、36.0%となりました。

スマートフォン決済や電子マネーが一般的になってきた事が読み取れます。

 

日本におけるキャッシュレス決済額及び比率の推移(2022年)

決済額及び比率の内訳の推移

(出典: 経済産業省)

世界での現況

日本でのキャッシュレス決済は、諸外国と比較してどのような状況なのでしょうか?普及度合いを示すいくつかの具体例を挙げてみましょう。

これからご説明する事は一部の国や地域に関する情報ですが、キャッシュレス決済の普及は世界的に進行しており、その利用率は年々増加していると言われています。

ただし、データによって定義や範囲が異なるため、正確な普及率を絶対的に示すことはできません。目安として参考にしましょう。

スウェーデン

スウェーデンでは、現金を使わずに支払うことが一般的となり、キャッシュレス決済が非常に普及しています。実際、スウェーデンの小売業の約80%以上がキャッシュレス決済を受け入れているとされています。

中国

中国では、スマートフォン決済が非常に普及しており、多くの人々がWeChat PayやAlipayを利用して支払いを行っています。中国では、現金を使用せずに日常生活のさまざまな支払いを行うことが一般的となっており、キャッシュレス決済が非常に一般化しています。

アメリカ

2021年時点でのアメリカのキャッシュレス普及率については、複数の統計データがある為、正確な数値は異なる場合があり、約50%~80%以上がキャッシュレス決済を利用している。

 

整骨院において保険請求分の支払いにもキャッシュレス決済が使えます。

整骨院でも一部の負担金をキャッシュレスで支払うことは可能です。公的な健康保険や民間の健康保険による負担金の一部を、キャッシュレス決済で支払うことができます。

一部負担金のクレジットカード・電子マネー等でのキャッシュレス決済は、支払いの利便性を向上させる目的であり、経済上の利益の提供に当たらないためやむを得ないものとして認められています。

特に新型コロナウィルスに対する代表的な対応策として、キャッシュレス決済を導入する治療院が増え、患者側も世代に関係なくキャッシュレス決済を希望する方が多くなっています。

整骨院・鍼灸院は競争が激化している中で、キャッシュレスへの対応だけでなく時代の流れに沿って変化に対応していけるかが、今後、整骨院や鍼灸院が生き残るための鍵になるでしょう。

整骨院で使用できる電子決済の種類は?

整骨院において一部負担金をキャッシュレス決済で支払う方法をご紹介します。

先にご説明した通り、基本的に整骨院におけるキャッシュレス決済は可能です。

クレジットカード|デビットカード

健康保険証を提示し、診療費の一部をクレジットカードやデビットカードで支払うことができます。整骨院が対応している決済方法やカードブランドによって異なる場合があります。

ブランドはビザ、マスター、アメリカンエキスプレスなどです。

病院でのクレジットカード決済導入は、総務省などの行政も推進している為、病院に加えて整骨院や鍼灸院でも今後導入する院が増えていくと考えられます。

(出典:総務省 カードによる支払い方式の拡大 )

 

電子マネー

健康保険証を提示し、電子マネーサービス(例: Suica、iD、QUICPay、nanaco、Edyなど)を利用して一部の負担金を支払うこともできます。事前に整骨院が対応している電子マネーサービスを確認する必要があります。

QRコード決済

健康保険証を提示し、QRコード決済サービス(例: PayPay、LINE Pay、メルペイなど)を利用して一部の負担金を支払うことも可能です。整骨院がQRコード決済を導入しているかを確認してください。

 

整骨院で使用できない電子決済方法

・ビットコインなどの仮想通貨

・付与したポイントでの決済(Tポイント、楽天ポイント、dポイント、Ponta など)

※ポイントは健康保険施術以外は可能。

 

整骨院キャッシュレス決済における注意点3選

キャッシュレス決済導入の際には、整骨院側が対応している決済手段やサービスをよく確認することが重要です。また、健康保険の適用範囲や負担割合は地域や保険種別によって異なる場合があるため、具体的な支払い方法や負担金の詳細については、整骨院や保険会社にお問い合わせすることをおすすめします。

金融機関によって一部取り扱えないメニューも

回数券・プリペイドカードなど施術費用を先行しての決済は、大半の金融機関で取り扱いが出来ません。弊社から使用できる金融機関をご提案できますので、ご相談ください。

お問い合わせは こちら

領収証は現金同様に発行が必要

キャッシュレス決済も現金決済と同様に整骨院において領収証発行義務があります。

例えば、PayPayでの決済ではPayPayからの領収証発行はありません。

領収書を何故発行しなければならないかについては こちらのリンク(参考:全国統合医療協会 整骨院の運営と経営 発行義務がある領収書と明細書について詳しく解説)からご覧ください。

 

広告の規制について

整骨院の広告においては、様々な決まりがあります。キャッシュレスであることを大々的に宣伝してはいけないとされている為、チラシ等に大々的に宣伝することは規制の対象です。

表示の取り扱いには注意が必要です。

整骨院のキャッシュレス決済導入におけるメリット・デメリット

整骨院においてキャッシュレス決済を導入するにあたり、メリットとデメリットを総合的に考えて、最終的に判断する必要がありますね。

患者と整骨院に分けてそれぞれ解説します。

整骨院側のメリット・デメリット

メリット

整骨院や鍼灸院にとっては、現金管理コストの削減や他院との差別化・競争力強化など、様々なメリットが期待できます。
例えば、患者が治療に行きたいと思った時に手持ちの現金では足りない場合、わざわざATMに足を運んでから100%同じ治療院に出向く人はどれくらいの割合でしょうか?

近所にあるキャッシュレス決済が可能な整骨院や整体院、リラクゼーション店舗などに院に行ってしまう可能性などがあげられます。

患者である利用者側も、手持ちの現金を気にする必要がないため、患者一人当たりの平均単価が上る可能性もあります。

また、訪日外国人旅行者へも対応することが可能です。
滞在中に予期せぬケガで施術を受けたものの、現金が足りずに未払いになるケースも発生しています。キャッシュレス決済できれば、訪日外国人旅行者も受け入れやすく、料金も未払いにならずに済む可能性が高くなります。

デメリット

デメリットは、キャッシュレス決済時の手数料です。決済手数料は1~4%程度が標準です。キャッシュレス決済が行われると決済手数料がかかり、整骨院や鍼灸院の利益が減ります。

但し、上記でご紹介した管理コストと比較して、ストレスや手間を手数料で完結するという考え方もあります。

どうしても手数料が気になる人は、メニュー価格の見直しを行ったり、消費税や物価上昇などに併せて順次対応していくのが良いでしょう。

方法や手法についてもご相談が可能です。

患者側のメリット

キャッシュレス決済は、患者にとっては、現金を持たずに通院が可能になることや、紛失等のリスクが現金に比べて少ないことがメリットです。

 

まとめ

整骨院におけるキャッシュレス決済導入は、金銭に係る事であり経営に直接影響することも多い為、総合的に判断するのは難しいところもあります。

全国統合医療協会では、整骨院におけるすべてのメニューに対応できるキャッシュレス決済の方法や、幅広い選択肢でのご相談が可能です。

現在では、場所を選ばない決済端末(Square等)も増加し、選択肢が増えています。

最終判断は、経営をしているご自身で行う必要はあるものの、キャッシュレスにどう対応していいかわからない。何から始めていいのかわからない。他院と差別化したい。導入したいがあまり費用はかけたくない等、私共がこれまでサポートしてきた経験をもとに、お悩みにそってご提案致します。

 

 

 

 

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長