【接骨院(整骨院)向け】事業計画書の書き方|作成時のポイントも
接骨院(整骨院)の開業には、事業計画書の作成が必要になります。特に金融機関から融資を受けて開業する際は、事業計画書が重要な役割を果たします。接骨院(整骨院)の開業を検討している方は、事業計画書の概要について理解しておきましょう。
今回は、接骨院(整骨院)における事業計画書の概要と必要性、書き方について詳しく解説します。事業計画書を作成する際におさえておくべきポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 接骨院(整骨院)の事業計画書とは?どんなときに必要?
接骨院(整骨院)の事業計画書とは、開業後にどのようなビジネスを行うかを分かりやすくまとめた書類です。創業動機や事業の概要、資金調達の方法などを詳しく記載します。
事業計画書を作成する主な目的は、次の2つです。
事業計画の矛盾や欠けている要素の発見に役立てる
融資の審査に用いる
ビジネスを成功させるには計画性が重要であり、事業計画書の作成は開業に向けた第一歩です。計画の矛盾や見落としは準備段階や開業後のトラブルの原因となるため、事業計画書を作成してイメージを具現化しましょう。
また、金融機関から融資を受けるには、事業計画書の提出が必須です。融資担当者は、事業計画書の内容を参考に融資の可否を検討します。事業計画書は、開業に必要な資金確保やスムーズな運営のために欠かせない重要な資料です。
2. 【項目別】接骨院における事業計画書の書き方と記入例
金融機関からの融資の可否には、事業計画書の内容が大きく影響します。金融機関が注目するのは、融資した資金を確実に回収できるかどうかです。事業計画書の項目を確認し、返済能力を総合的に見極めます。
金融機関からの融資をスムーズに受けるには、必要な項目を正しく埋めることが大切です。
以下では、接骨院における事業計画書の書き方と記入例を項目別に解説します。
2-1. (1)創業の動機
創業の動機では、「どのような目的なのか」「なぜ開業したいのか」を文章にして記載します。
創業の動機の記入例は、以下の通りです。
開業を考えた目的と理由が伝わるように、簡潔に分かりやすい言葉でまとめることがポイントです。
2-2. (2)経営者の略歴等
経営者の略歴等は、名前の通り経営者の経歴や職歴を把握するための項目です。卒業した専門学校名や勤務先名を時期が分かるように記載します。
経営者の略歴等の記入例は、下記の通りです。
年月 | 内容 |
---|---|
平成◯年△月 | ××専門学校 卒業(柔道整復師免許 取得) |
平成◯年△月 | ××株式会社 入社・施術、売上管理、スタッフ育成等に従事 |
令和〇年△月 | 個人事業主として開業予定 |
柔道整復師免許を取得した時期は必ず記載します。運営やスタッフ育成に関わっていた場合は、従事内容も記載してアピールしましょう。
2-3. (3)取扱商品・サービス
接骨院における取扱商品と提供するサービス内容を、構成比率とともに伝える項目です。
取扱商品・サービスの記入例は、下記の通りです。
保険診療(健康保険、自賠責保険、労災等):売上シェア〇%
自費診療:売上シェア〇%
セールスポイント欄には、商品とサービスの詳細を文章で記載します。商品とサービスの魅力、さらに経営者の強みも記載してアピールしましょう。ターゲット層や販売戦略欄では、「20~40代」「オンラインプラットフォームの活用」など具体例を挙げるのがポイントです。
2-4. (4)取引先・取引関係等
取引先・取引関係等は、販売先と仕入先について説明する項目です。販売先となる顧客は、保険診療と自費診療に分けて記載します。
取引先・取引関係等の記入例は、下記の通りです。
取引先名 | シェア | 掛取引の割合 | 回収・支払の条件 |
---|---|---|---|
一般個人(保険診療) | 〇% | 〇% | ○日〆○日回収 |
一般個人(自費診療) | 〇% | 〇% | ○日〆○日回収 |
診療費を現金で受領する際は、「即日〆即日回収」と記載します。消耗品の仕入先も、販売先と同様に取引先名やシェア率の記載が必要です。
2-5. (5)従業員
運営体制を明確にするために、予定している従業員の人数と雇用形態を記載します。
従業員の記入例は、下記の通りです。
常勤役員:0人
従業員:3人(うち家族従業員1人、パート従業員1人)
家族に運営を手伝ってもらう際も、家族従業員として人数を記載します。融資の面談では、担当者から従業員に関して職種や募集方法などを質問されることがあるため、説明できる状態にしておきましょう。
2-6. (6)お借入れの状況
お借入れの状況は、経営者の債務状況を把握するための項目です。住宅ローンや自動車ローンなど事業に関連しない借入れも含めてすべて記載します。
借入れ状況の記入例は、下記の通りです。
借入れ先 | 使い道 | 借入れ残高 | 年間返済額 |
---|---|---|---|
〇〇銀行 | 該当項目を選択 | 〇〇万円 | 〇〇万円 |
××ローン | 該当項目を選択 | ××万円 | ××万円 |
借入れの使い道は、事業・住宅・車・教育などの項目から該当するものを選択します。
金融機関は、信用情報の照会により借入れの状況を把握できます。借入れの内容を偽ると、担当者の心象を悪くするおそれがあるため正確に記載しましょう。
2-7. (7)必要な資金と調達方法
必要な資金と調達方法は、金融機関に対して資金の用途と借入れ希望額を伝える重要な項目です。開業に向けて必要な資金と調達方法を記載します。
必要な資金と調達方法の記入例は、下記の通りです。
必要な資金 | 見積り先 | 金額 | 調達方法 | 金額 | |
---|---|---|---|---|---|
設備資金 | ・保証金・内装費・ベッド | 〇〇会社 | 〇〇万円 | 自己資金 | ××万円 |
親族からの借入れ | ××万円 | ||||
金融機関からの借入れ | ××万円 | ||||
運転資金 | ・家賃・人件費・光熱費・通信費 | 〇〇万円 | 金融機関からの借入れ | ××万円 | |
合計 | 〇〇万円 | ××万円 |
必要な資金の合計金額と調達方法の合計金額は一致します。設備資金の金額には、裏付けとなる見積書が必要です。購入予定の会社に作成してもらい、用意しておきましょう。
2-8. (8)事業の見通し
事業の見通しは、事業の収益性や返済能力を判断する目的で参考にする項目です。売上高や経費について、開業当初と軌道に乗った後に分けて記載します。
事業の見通しの記入例は、下記の通りです。
開業当初 | 軌道に乗った後 | 計算の根拠 | ||
---|---|---|---|---|
売上高 | 〇〇万円 | ××万円 | 計算の根拠を具体的に記載 | |
売上原価 | 〇〇万円 | ××万円 | ||
経費 | 人件費 | 〇〇万円 | ××万円 | |
家賃 | 〇〇万円 | ××万円 | ||
支払利息 | 〇〇万円 | ××万円 | ||
その他 | 〇〇万円 | ××万円 | ||
利益 | 〇〇万円 | ××万円 |
「軌道に乗った後=開業から半年~1年後」を想定して記載しましょう。軌道に乗った後の利益が開業当初の利益を上回るように計画を立てることが重要です。
3. 事業計画書を作成する際におさえておくべきポイント
事業計画書を作成する際は、次のポイントをおさえておきましょう。
説得力を高めるために根拠のある数値を記載する
具体的かつ簡潔な内容を意識する
表やグラフを用いて視認性を高める
融資の面談で矛盾が生じないように整合性を保つ
取扱商品・サービスにおけるシェア率、必要な資金と調達方法の金額などは、必ず根拠を説明できるように準備しておきましょう。創業の動機や取扱商品・サービスのセールスポイント欄など文章で示す部分は、専門知識がない人でも理解できるように分かりやすくまとめることがポイントです。
融資の面談は事業計画書を確認しながら行われるため、内容と口頭による説明に不一致があると信頼性が低下する恐れがあります。矛盾が生じないようにしっかりと作り込むことも大切です。
まとめ
事業計画書は、創業動機や事業の概要、資金調達の方法などを記載した重要な書類です。金融機関から融資を受ける際には、事業計画書の提出が求められます。
全国統合医療協会では、接骨院(整骨院)の開業を考えている方のサポートを行っています。事業計画書の作成代行もサポート内容の1つです。融資が通らなくて医療機器が購入できなかった方が利用できるサービスもあるため、審査に不安を抱えている方は相談してみましょう。
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