【鍼灸整骨院とグローバル化】英語対応の必要性について解説

2024.05.14
【鍼灸整骨院とグローバル化】英語対応の必要性について解説

コロナもずいぶん落ち着き、現状の円安の影響も受け日本には様々な国から外国人の方が訪れています。2024年3月推計値で訪日外客数は約308万人で、単月だと過去最高数を更新しています。反対に、日本の総人口は約55万6千人の減少、12年連続の減少と「日本国内での日本人の割合が減っている」という状況です。

そんな中、鍼灸整骨院業界だけに着目するとこの日本の人口減少と訪日外国人の増加に対して早めの対策が必要です。私自身、医療に特化している英語を教えていることもあり、たくさんの鍼灸整骨院の方や治療院の方から最近外国人の患者さんが頻繁に来るようになっていると相談を受けます。

そのため、鍼灸整骨院が多言語対応を行うことは極めて重要です。外国人患者さんが円滑に皆さんの医療サービスを受けられるようにすることで、日本人だけでなく海外の患者さんの健康維持や治療効果の最大化につながります。

多言語対応の必要性

近年、世界各地での鍼灸や日本の施術への関心が高まっています。これは、西洋医学に限らず、東洋医学の治療法にも関心が寄せられていることを示しています。

そのため、日本国外からの鍼灸整骨院への需要が増加しています。また、日本は外国人観光客が増加しており、その中には健康や美容の目的で訪れる人も多くいます。そのため、鍼灸整骨院は外国人観光客からの需要に対応するために、多言語対応が必要です。

医療観光、ウェルネスツーリズム、もしくはメディカルツーリズムという言葉を最近聞いたことありませんか。医療観光は世界的なトレンドとなっており、日本もその一環として多くの外国人患者さんを受け入れています。

例えば、都道府県単位の例だと愛知県が「愛知の医療ツーリズムナビ」というWebページで医療ツーリズムの受入れまでの流れや医療機関の取組事例などを日本語・英語・中国語の3カ国語で掲載し、愛知県の医療ツーリズムのPRを行っています。

ですので、例え愛知県のような大きな規模ではなくとも、観光できた外国人が怪我をした時やちょっと日本の鍼灸や治療を受けたいと思ったときのために、鍼灸整骨院は多言語対応が欠かせません。

日本の鍼灸整骨院における英語対応の現状

実際、日本の鍼灸整骨院における英語対応はまだまだ普及していません。

多くの施設では、英語が話せるスタッフがおらず、身振り手振りとわずかな英語で伝えたり、スマホの翻訳機能を使ったりしてどうにか伝えようとしていますが、外国人患者さんとのコミュニケーションにおいて課題が存在しています。言語の壁が治療効果や患者さんの安心感に影響を与える可能性があります。

一つの例ですが、ある治療院では元々英語が話せるスタッフがおり、外国人の患者さんも安心して通っていたそうです。

ですが、その方が退職されたのをきっかけに、リピートに繋がる割合がかなり減ったとのことです。治療技術に関しては、すごく満足していただいているみたいですが、そういったコミュニケーションの部分で満足できておらずリピートしないのではと予想されます。

というのも、日本の鍼灸整骨院での外国人患者さんとのコミュニケーションは、言語の壁が最大の障壁です。日本語をあまり理解していない患者さんの場合、自身の症状や希望を適切に伝えることが難しくなるため、治療効果や患者満足度が低下する可能性があります。

英語対応の実施メリットについて

鍼灸整骨院が英語対応を進めることで、世界中の患者さんにサービスを提供する機会が広がります。これにより、施設の知名度が向上し、新たな顧客層を開拓することが可能になります。

また、国際的な市場に参入することで収益が増加し、施設の成長が期待されます。日本人の数が少なくなることから、日本人だけをターゲットに集客していくと人によってはだんだんと厳しくなってくる未来が見えます。反対に、外国人の患者さんを受け入れることができれば集客数は増える可能性があります。

また、言語の壁がなくなれば、外国人患者さんとのコミュニケーションが円滑になります。

患者さんが自身の症状や希望を正確に伝えることができ、医療スタッフも適切な治療プランを提供することができます。これにより、患者さんの満足度が向上し、信頼関係が築かれます。外国人患者さんに対する英語対応は、医療サービスの質を向上させることにつながります。

患者さんが自身の健康に関する情報を十分に理解し、治療に積極的に参加できるようになります。また、適切な治療を受けることで症状の改善が促進され、顧客満足度が向上します。

英語対応のための具体的な取り組み

外国語を話すスタッフや通訳者を配置し、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整えます。また、必要に応じて外国人患者さん向けの案内やサポートを行う専門のスタッフを確保することも大切です。

治療院スタッフの英語力向上は、英語対応を実現するための基盤です。ただ辞書で載っているような専門用語を言えるようになるだけでは意味がなく、皆さんが普段から日本人の患者さんに説明している時と同じように、専門用語をなるべく使わずに外国人の患者さんにも説明しなければなりません。

ただ、そういった専門用語でもなく一般的な英会話でもない英語を独学で学ぶのは大変なので、専門的に教えている方に頼むのがベストです。また、英語を習得するには時間がかかるので、医療スタッフに対する定期的な英語教育プログラムの導入が重要です。

また、外国人患者さんが施設や治療内容について理解しやすいように、ホームページなど情報提供の改善が必要です。治療内容や料金体系などの情報を英語で提供し、分かりやすく伝えることで、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整えることができます。

ウェブサイトやパンフレットなどの資料を英語化することも効果的です。最近AIの進化が凄まじく、日本語から英語への翻訳機能もだいぶ発展しています。ただ、ここでよく聞く落とし穴として、コストを削減するために自分の院のホームページをそのままAIの翻訳を使って英語化したり、ちょっと英語を勉強したスタッフが頑張って翻訳することが多いです。

ネイティブにわざわざチェックしてもらうのはお金がかかりますからね。でも、ここがあまり良くなく、我々日本人が海外で変な日本語で書いてある飲食店をわざわざ選んで行かないと思います。むしろ、そっちの方が少し怪しく感じて、英語でしか書いていないお店を選ぶ人も多いのではないでしょうか。

なので、もし英語のホームページを作るのであればできる限りネイティブにチェックを受けてください。これによるメリットは後ほど、成功例として詳しくお話しさせていただきます。

成功事例の紹介

英語対応ができるような鍼灸整骨院にしたところで本当にうまくいくのか。そして本当に外国人の患者さんを集客できるようになるのか。そこに疑問をもつ方も多いです。

日本国内でも鍼灸院など、英語対応をさせて成功した事例が存在します。ここではその中から一例を紹介し、その取り組みの詳細を見ていきましょう。

例えば、東京都品川区にある鍼灸整骨院では、外国人患者さんに対して積極的な英語対応を実施しています。この治療院では以下のような取り組みをして実際に外国人患者さんの集客に成功しています。

・治療院内で英語対応のできるスタッフを育成

・外部の力も頼り、ホームページ全体をネイティブチェックも含めた英語化

・外国人が利用しそうな複数ポータルサイトに英語で登録

このような取り組みにより「はりきゅうルーム カポス」は多言語対応のニーズに応え、外国人患者さんから高い評価を得ています。この鍼灸院の成功事例は、他の鍼灸院や鍼灸整骨院における英語対応の参考となるでしょう。

 

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課題と今後の展望

日本の鍼灸整骨院において、英語対応に関する課題がいくつかあります。まず、スタッフの英語力不足や専門用語の理解度の低さが挙げられます。

これにより、外国人患者さんとのコミュニケーションが困難になる可能性があります。この課題に対処するためには、定期的な英語教育プログラムの強化や専門用語の習得を支援する取り組みが必要です。

これらの課題に対処するためには、施設内での情報提供や専用の外国人向けサポート体制の構築が必要です。もし、治療院内でそういった体制を作るのが難しい場合は外部の専門機関に依頼する方法もあります。

日本の鍼灸整骨院がグローバルな健康産業において競争力を持つためには、英語対応の強化が不可欠です。

世界各国からの外国人患者さんを受け入れ、高品質な医療サービスを提供することで、日本の健康産業の発展に貢献することが期待されます。

今後、日本の人口が減る一方で外国人観光客や駐在員の増加により外国人患者さんの増加が予想されます。そのためには、英語対応の取り組みを積極的に推進し、グローバルな健康産業の中心としての地位を確立することが重要です。

まとめ

これからの鍼灸整骨院が英語対応することの必要性をメリットだったり成功例だったりを踏まえながらお伝えさせていただきました。

多言語対応の必要性は、国際的な需要の増加と外国人観光客の増加により、鍼灸整骨院における需要の変化が生じていることを示しています。しかし、日本の鍼灸整骨院における英語対応はまだ普及しておらず、外国人患者さんとのコミュニケーションの障壁が課題となっています。それにもかかわらず、英語対応の実施には多くのメリットがあり、グローバル市場への参入、患者さんとの円滑なコミュニケーション、医療サービスの質の向上が期待されます。

具体的な取り組みとして、医療スタッフの英語教育、外国人向け情報提供の改善、専用の英語対応サポート体制の構築が挙げられます。今後は、課題への解決策として英語教育の強化やサポート体制の充実が必要であり、日本の健康産業のグローバル展開が期待されます。

鍼灸整骨院の開業でお悩みの方は、私たちにお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長