【柔道整復師向け】レセプトが返戻される理由と再請求のポイント
整骨院を運営するにあたり、保険請求をしている治療院においては、施術した内容をレセプト用紙に記載して保険者に請求業務を行います。この記事をご覧になっている方は、患者さんの内容によって「返戻」を経験したことが一度はあると思います。今回は、レセプトが返戻される理由や再請求の時に注意すべきポイントや、柔道整復師が効率的に業務を行うためのガイドラインを提供します。
目次
レセプト返戻とは
レセプト返戻は、柔道整復師などが提出したレセプトが保険者や支払基金から差し戻されることを指します。これは、レセプトに不備や誤りがあり、そのままでは支払いができないという事を意味しています。
レセプト返戻の主な目的は、保険制度の正確かつ公正な運用を確保することであり、正確な情報が記載されたレセプトに基づいて適正な診療報酬が支払われるようにするための手段です。
柔道整復師におけるレセプト
柔道整復師におけるレセプトとは、柔道整復施術療養費支給申請書のことを指しています。医療機関で扱われるレセプトと柔道整復師が扱うレセプトではニュアンスが異なるため、混同しないように注意しましょう。
柔道整復師は、診療報酬を保険者に対して請求することはありません。柔道整復施術療養費支給申請書を患者様に代わって保険者に提出することになります。
レセプトの本来の意味とは診療報酬明細書のことであり、厚生労働省では下記のように定義されています。
返戻の影響と重要性
レセプトが返戻になるとどのような事に影響が出るのでしょうか。返戻になるという事は、資金繰りや経営全体に影響が出るという事です。具体的には賃料の支払い、ご自身や従業員の給与支払いなどに大きく影響します。返戻の主な理由について知る事で資金繰りや経営をより安定させていける事が出来れば、生活に余裕ができるため、整骨院経営において、重要な事であることは間違いなさそうです。
▼返戻の再請求は請求代行の資料請求から▼
https://zenkoku-iryo.com/document/
レセプト返戻の主な理由
基本的な不備・誤記
必須項目の記載漏れや誤字脱字などが挙げられます。月初めの来院日に、必ず患者様に保険証を提示してもらいましょう。
保険者が変更されていたり、有効期限を確認する事が大切です。保険者が同じでも、患者さんや家族に何らか変更があり、記号や番号が変更されている場合もあるため、基本的な事ではありますが、しっかりと確認するようにしましょう。
個人情報に関わる事なので、後日患者さんに電話で確認するとなると、患者さん側は院への信用を無くしかねません。それどころか連絡がつかないという事も考えられるため、レセプトの返戻を防ぐためには新患だけでなく、毎月継続して来てくれる患者さんについてもチェックすることをおすすめします。
受診する方が家族の扶養に入っている場合は、特に注意が必要です。柔道整復師療養費支給申請書には患者様自身が記名する対象欄に被保険者名を記入してもらう箇所があるためです。
被保険者名には多くの場合、世帯主を記入する必要があるため、扶養に入っている人が自分の名前を記入しないように注意しましょう。
お子様やご高齢の方、利き手にケガを負っているなどの理由で署名ができない方に対しては、柔道整復師が代筆することが認められています。
療養費の金額誤り
レセコンへの入力ミスや適用間違いなどが挙げられます。誤った請求によって、レセプトが返戻される事例が多発しています。例えば患者様の訴える負傷部位と施術箇所が一致しなかったり、誤った療養費の金額を記載している事や
患者様の来院日を誤って記載している等の場合、レセプトの返戻対象となる可能性が高くなります。提出前に、施術録(カルテ)を確認したり、レセプト自体に誤りがないか確認しましょう。長期の施術を行う場合は、施術日数が長期になる理由や詳細について説明する必要があります。
重複請求
同一内容を複数回請求することで返戻になる可能性があります。同一部位や同一負傷に対して整骨院と病院の両方で保険請求があったとします。その場合病院の請求が優先されます。
医師のもとで通院している時、患者様は医師の管理下にあると判断されています。この期間中は柔道整復師が施術を行う事自体に問題はありませんが、支払いは自費診療にしましょう。保険診療で受付をすると、行った施術に対して請求ができませんので、無償で施術をする事と変わりありません。
また、他の医療機関への通院していない場合でも、「投薬期間」が重なっている期間は、療養費が支払われない可能性が高いため注意しましょう。患者さんは、保険を利用して整骨院と病院を同時に通えないことを知らない方が多くいらっしゃいます。受付時に病院の受診や投薬の有無を確認したり、院内の貼り紙で周知したりして返戻を受けないように対策をすることが重要です。
▼関連するコラムはこちら▼
保険者返戻でよくある医科併給について解説
請求内容が労災に該当
仕事上のケガは労災扱いになるため、健康保険を使って施術を受ける事ができません。レセプトの受傷理由欄に、誤って仕事中のケガであることを記載しないようにきをつけましょう。
仕事上のケガを誤って健康保険で請求してしまった場合、返戻依頼を出して労災として請求をし直す必要があります。また、よくある質問としてこの患者さんは労災に該当するかお問い合わせをいただく事も多くあります。
私たちは請求代行サービスだけでなく、あなたの知りたい事例に対してご相談が可能です。
返戻レセプトの再請求方法
レセプトの請求方法は、紙レセプトの場合、支払機関より送られたレセプトの写しと返戻(調整)内訳書を確認します。必要に応じて追記したり、誤って記載した箇所を修正します。再度の周知にはなりますが、レセプトは基本的に印刷し直さず、返戻された用紙をそのまま使いしましょう。やむを得ず新たに作成する場合、古いレセプトを添付する必要があるなど注意が必要です。
レセプト再請求の流れ
返戻レセプトの再請求から療養費支払いまでの流れについて、当月に保険施術をした場合を例に説明します。
当月分として請求されたレセプトは、基本的に次月中に審査支払機関と保険者によって審査が行われます。審査の結果、何らかの疑義があるため確認が必要と判断された場合は、月遅れの上旬を目途にレセプトが返戻されます。
受け取ったレセプトの内容を修正した上で、月遅れのレセプト請求として審査支払機関へ再請求を行います。審査支払機関と保険者が再審査を行ったのち、レセプトの内容に問題がなければ、翌月に診療報酬が支払われます。
返戻のない通常の請求であれば、報酬は翌月に支払われますが、保険者によって入金サイクルが異なるため、経営を安定させたい方は請求代行サービスがおすすめです。
返戻が生じる事によって、最短で再請求の手続きを行ったとしても、支払いが1か月程度遅れてしまいます。
返戻レセプトは再請求期限がある
療養費に関する請求期限について、法律が定められています。
レセプトの請求期限は受診した患者さんが料金を支払った日から起算して2年間です。この期限は返戻分も適応されます。返戻レセプトを溜め込んでいる方から問い合わせが多くありますが、施術してから時間が経過するにつれて、施術した内容も忘れがちになるため、レセプトは受け取り次第なるべく早めに再請求するように心がけましょう。
返戻再発防止のための対策
返戻を防ぐためには、チェックリストを作成したり、 継続してスタッフに確認の大切さを共有することが大切です。
レセプトの請求方法は紙レセプトの場合、支払機関より送られてきたレセプト返戻(調整)内訳書を確認し、必要に応じて追記したり、誤って記載している箇所を修正します。レセプトは印刷し直さずに、返戻された用紙をそのまま使用します。正式な書類ではその都度新しく書類を作成せずに、訂正箇所のみを修正して送付することが一般的ですので、レセプト用紙は正式な書類と覚えておくとよいでしょう。
まとめ
整骨院のレセプト請求について、基本の返戻対応と返戻の再請求の仕方が各保険者によって異なる事をご紹介しました。ご自身で再請求したものの、保険者によって対応が異なるだけでなく、保険者の意向が変わる事によって今までは請求出来ていたのに、再請求ができなくなったりする事があり非常に手間がかかります。「請求業務が手間」や「施術に集中したい」と感じる方や、現在請求代行をお願いしている業者や団体があるものの、再請求について相談窓口がなかったり、入会した後に返戻レセプトの再申請業務などについてサポートを十分に受けられていないとご相談を頂く事がよくあります。私たちは、契約者様に専用サポート担当がついてるだけでなく、顧問税理士と同様月に一度はコンタクトを取るなど、入会後も経営や運営についてアフターフォローが充実しています。整骨院の請求代行や、返戻についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
この記事の監修者