【整骨院】レセプト返戻を減らしたい!理由・対策・再請求のポイント

整骨院の運営において、保険請求業務は安定した経営を支える重要な要素の1つです。なかでも柔道整復師が行う療養費請求は、制度やルールが細かく定められており、日々の事務処理には正確性が求められます。
事務処理における少しの記載漏れや認識の違いによって起こり得る問題が、「レセプト返戻」です。レセプトが返戻されると、入金の遅れや再請求の手間が発生し、業務負担やキャッシュフローに影響を及ぼすおそれがあります。返戻を減らすためには、その理由を正しく理解し、適切な対策を講じることが欠かせません。
そこで今回は、レセプト返戻の基本的な仕組みから、整骨院で返戻が起こる主な理由、返戻を防ぐための具体的な対策、再請求時のポイントまで分かりやすく解説します。返戻を減らし、請求業務を安定させたい人はぜひ参考にしてください。
目次
1. 「レセプト返戻」とは?
レセプト返戻は、 柔道整復師などが提出したレセプトが、保険者や支払基金から差し戻されること を指します。レセプトに不備や誤りがあり、そのままでは支払いができないと判断された場合に発生する問題です。
レセプト返戻の主な目的は、保険制度の正確かつ公正な運用を確保することです。内容に不備のないレセプトに基づいて、適正な療養費が支払われるよう確認するための仕組みであり、不正請求や誤請求を防ぐ役割も担っています。
1-1. そもそも柔道整復師における「レセプト」とは?
そもそも柔道整復師におけるレセプトとは、 「柔道整復施術療養費支給申請書」のこと を指します。一般的な医療機関で使用される診療報酬明細書(レセプト)とは性質が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
柔道整復師は、医療機関のように診療報酬を直接保険者へ請求する立場ではありません。施術を受けた患者さんに代わり、療養費の支給を求める申請書として、保険者へ提出する形を取ります。
なお、本来「レセプト」とは診療報酬明細書を意味する言葉であり、厚生労働省でもそのように定義されています。柔道整復師の請求業務においては、この定義や制度上の位置づけを理解したうえで、適切に申請を行うことが重要です。
レセプトとは、保険診療を行った医療機関が、患者一人一人の診療報酬(医療費)を審査支払機関を経由して保険者に請求を行う際の明細書であり、業務上の負傷・疾病(労災保険の適用)及び健康診断等の保険外の診療記録はない。
引用:レセプト情報・特定健診等情報データの第三者提供の在り方に関する報告書 | 厚生労働省
2. 整骨院でレセプトが返戻された場合の影響
整骨院における診療報酬(療養費)は、通常、施術月から約2か月後に支払われるスケジュールとなっています。しかし、 レセプト返戻が発生した場合、当該月分の診療報酬は一度支払われず、その分の収入が減少することになります。
返戻されたレセプトは翌月以降に再請求できますが、再請求が認められたとしても入金時期は通常より遅れ、資金の回収が後ろ倒しになります。入金遅延が続くと、賃料や人件費、日々の運転資金の支払いに影響を及ぼす可能性があります。
レセプト返戻は単なる事務上のミスにとどまらず、資金繰りや経営の安定性を左右する重要なリスクであると言えるでしょう。
3. 整骨院におけるレセプト返戻の主な理由3つ
整骨院のレセプト返戻をできる限り減らすためには、「どのような理由で返戻が発生するのか」をあらかじめ理解しておくことが重要です。返戻は偶発的に起こるものではなく、一定のパターンや原因に基づいて発生しています。
整骨院におけるレセプト返戻の主な理由は、大きく分けて 「保険・資格関連の基本的な手続きにおける不備」「診療報酬の請求における事務処理の誤り」「診療報酬請求上の疑義」 の3つです。ここでは、それぞれの理由について、具体的な状況を交えながら解説します。
3-1. 保険・資格関連の基本的な手続きにおける不備
保険や資格に関する基本的な不備は、整骨院におけるレセプト返戻の中でも、特に多い理由として知られています。
●保険資格情報の確認漏れ
保険証の有効期限切れや資格喪失に気付かず請求してしまい、返戻となるケースです。
●記号・番号・保険者情報の誤記
数字の入力ミスや保険者番号の誤りなど、単純な記載漏れや誤字脱字が原因で返戻されることもあります。
●施術者情報・資格情報の不備
柔道整復師の氏名や登録情報の記載漏れ、誤記がある場合も返戻の対象となります。
上記は個人情報に関わるため、後日患者さんに電話で確認するとなると、患者さん側は院への信用を無くしかねません。連絡がつかないという事も考えられるため、レセプトの返戻を防ぐためには新規の患者さんだけでなく、毎月継続して来てくれる患者さんについても保険証を提示してもらい、しっかりチェックすることをおすすめします。
また受診する患者さんが家族の扶養に入っている場合は、特に注意が必要です。
被扶養者が受診する場合、柔道整復施術療養費支給申請書の被保険者名欄には、保険証の名義人(被保険者)の氏名を記入してもらう必要があります。扶養に入っている人が自身の名前を記入してしまうと、被保険者情報の不一致として返戻の原因となるため注意が必要です。
なお、お子様やご高齢の方、利き手を負傷しているなど署名が困難な場合には、柔道整復師による代筆が認められています。
ただし、 近年はマイナ保険証の普及により保険・資格関連の基本的な手続きにおける不備は減少傾向にあります。 とは言え、依然として人の手による事務処理は残っており、完全にゼロにはなっていません。
3-2. 診療報酬の請求における事務処理の誤り
診療報酬の算定や入力に関する事務処理の誤りも、返戻につながりやすいポイントです。
●施術回数・算定回数の入力誤り
実際の施術回数と請求内容が一致していない場合、返戻の原因となります。特に月をまたぐ請求や、施術日数が多いケースでは注意が必要です。
●負傷部位・負傷名の記載ミス
負傷部位の入力漏れや、「患者さんが訴える負傷部位と施術箇所が一致していない」など整合性の取れていない記載があると確認対象となり、レセプト返戻の可能性が高まります。
●金額計算の誤り
保険割合や加算項目の算定ミスなど、療養費の金額に誤りがある場合も返戻されます。
診療報酬の請求における事務処理は、マイナ保険証が普及した近年においても、人の手による作業が完全になくなるわけではありません。そのため、 提出前にカルテの内容とレセプトの記載内容を照合し、入力漏れや誤りがないかをしっかり確認することが重要 です。
また、「長期間にわたる施術を行う場合には、施術日数が長期になる理由や経過の詳細を記載する」など、確認されやすいポイントについてはあらかじめ説明を補足しておくことも、返戻のリスクを抑えることにつながります。
3-3. 診療報酬請求上の疑義
レセプトに事務的な記載ミスがなくても、請求内容の妥当性に疑問が生じると、確認や返戻が行われる点にも注意が必要です。
●医療機関との重複請求
同一の負傷や部位について、整骨院と医療機関の両方から保険請求が行われている場合、重複請求として返戻や確認対象となります。この場合、原則として医療機関の請求が優先されます。
患者さんが医師のもとで通院・治療を受けている場合は、その期間中は医師の管理下にあると判断されます。そのため、期間中に柔道整復師が施術を行うこと自体は可能であっても、健康保険を用いた請求はできず、自費対応とする必要があります。保険請求を行ってしまうと、結果的に請求が認められず、無償で施術を行うのと同じ状態になりかねません。
また、他院への通院がない場合でも、医療機関での投薬期間と施術期間が重なっていると、療養費が支払われない可能性が高くなります。患者さん自身が「整骨院と病院を同時に保険で利用できない」ことを理解していないケースも多いため、受付時に病院受診や投薬の有無を確認したり、院内掲示などで周知したりすることが重要です。
●労災・第三者行為に該当する可能性があるケース
仕事中や通勤途中のケガは、原則として労災保険の対象となるため、健康保険を使って請求することはできません。受傷理由欄の記載内容から業務上のケガと判断された場合、レセプトが返戻される可能性があります。
誤って健康保険で請求してしまった場合は、返戻依頼を行い、労災として請求し直す必要があります。労災に該当するか判断が難しいケースも多いため、受傷状況を丁寧に確認したうえで、慎重に請求区分を判断することが求められます。
4. 整骨院のレセプト返戻を減らしたい場合の対策4選
レセプト返戻の多くは、日々の確認体制や情報共有の工夫によって防げます。
ここからは、整骨院のレセプト返戻を減らすために実践したい具体的な対策を4つ紹介します。自院の運用に合った方法を取り入れ、返戻リスクの低減を目指しましょう。
4-1. 記入項目・記載内容の確認体制を整える
レセプト返戻を防ぐためには、提出前に記入項目や記載内容を一つひとつ確認する体制づくりが欠かせません。
前述の通り、近年はマイナ保険証への移行が進み、資格確認に関するケアレスミスは以前に比べて減少しています。一方で、負傷原因や施術内容、施術日数といった項目は、現在でも人の手による入力・確認が必要であり、記載ミスや記入漏れが起こりやすく、返戻の原因になりやすい点に注意しておきましょう。
また、マイナンバーカードを取得していない患者さんについては、従来通り紙の資格確認書が発行されるケースもあります。資格確認の自動化が進んでいるからこそ、例外的なケースにも適切に対応できる体制を整えておくことも重要です。
誰が確認作業を行っても同じ基準でチェックできるよう、確認項目をまとめたチェックリストを作成し、日常的に運用すると効果的でしょう。
4-2. スタッフへの継続的な教育・情報共有を行う
レセプト業務に関する知識や理解度にばらつきがあると、事務処理ミスや請求上の疑義が発生しやすくなります。そのため、受付スタッフや施術スタッフを含め、診療報酬請求の基本ルールや注意点を定期的に共有することが重要です。
また、診療報酬の算定や運用ルールは、制度改正などにより定期的に変更されます。ルール変更があった場合には、 院内で情報共有の場を設け、認識のズレが生じないようにすることが大切 です。
勉強会やミーティングを通じて共通認識をもつことで、返戻リスクの低減につながるでしょう。
4-3. 自院に合ったレセコン・レセプトチェックツールを活用する
レセプト業務の精度を高めるためには、自院の運用に合ったレセコンやレセプトチェックツールの活用も有効です。入力漏れや算定ミスを自動でチェックできる機能を活用することで、人的ミスの削減が期待できます。
導入時には、 操作性やサポート体制、現場スタッフの使いやすさなども含めて検討することが重要 です。日常業務に無理なく組み込めるシステムを選ぶことが、返戻防止の観点からもポイントとなります。
4-4. 療養費請求代行サービスの活用を検討する
レセプト業務の負担や返戻リスクをできるだけ減らしたい場合には、療養費請求代行サービスの活用を検討するのも1つの方法です。
療養費請求代行サービスとは、 整骨院に代わって柔道整復施術療養費支給申請書の作成・点検・提出といった請求業務を専門的にサポートするサービスのこと です。請求ルールや制度に精通した担当者が内容を確認するため、記載漏れや算定ミス、請求内容の疑義が生じにくくなります。
また、請求業務を外部に委託することは、院内業務の効率化やスタッフの負担軽減にもつながります。自院の規模や体制、業務量に応じて、無理のない形で導入を検討すると良いでしょう。
5. 整骨院のレセプトが返戻された場合の再請求方法
整骨院のレセプトが返戻された場合は、内容を確認したうえで再請求を行う必要があります。
従来の紙レセプトでは、支払機関から送付されるレセプトの写しと返戻(調整)内訳書を確認し、返戻付せんが添付されたレセプトに二重線で訂正を加えたうえで再請求するのが一般的でした。
しかし、2023年4月以降は紙による返戻レセプトが原則廃止となり、さらに2024年10月以降はレセプト請求自体がオンラインで完全義務化されています。これに伴い、 返戻が発生した場合の再請求についても、オンラインでの対応が求められています。
整骨院でレセプトが返戻された場合の基本的な再請求方法は、下記の通りです。
| (1) | オンライン再請求用端末を使用し、オンライン請求システムから返戻ファイルをダウンロードして返戻内容を確認する |
|---|---|
| (2) | 返戻ファイルをレセコンに取り込み、レセコン上で再請求用のレセプトデータを修正・作成する |
| (3) | 再請求ファイルをオンライン再請求用端末に読み込み、当月請求のレセプトと併せてオンライン請求用システムを送信する |
なお、 返戻レセプト(返戻ファイル)のダウンロード期間は「3か月」と定められているため、返戻通知を確認次第、速やかに対応することが重要 です。
まとめ
整骨院のレセプト返戻は、記載ミスや事務処理の誤りだけでなく、重複請求や労災該当といった請求内容の疑義によっても発生します。返戻が起きると入金が遅れ、資金繰りや経営全体に影響を及ぼす可能性があるため、日頃から確認体制の整備やスタッフ間の情報共有、システム活用による対策が欠かせません。
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この記事の監修者

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