整骨院の訪問施術とは?導入メリット・注意点・成功ポイントも

高齢化が進む中、整骨院における訪問鍼灸・マッサージの需要が高まっています。通院が難しい方を対象に自宅で施術を行うこのサービスは、利用者にとって利便性が高いだけでなく、整骨院にとっても新たな事業展開のチャンスです。しかし、導入には資格要件や開設手続きなどの注意点もあります。
当記事では、訪問鍼灸・マッサージの概要や導入のメリット、成功するためのポイントなどを解説します。整骨院の新たな可能性を広げたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 整骨院の訪問施術(訪問鍼灸・マッサージ)とは?

整骨院の訪問施術(訪問鍼灸・マッサージ)とは、自力での通院が難しい方を対象に、自宅や入居施設で行われる施術サービスです。施術者が利用者のもとへ赴き、鍼灸やマッサージを通じて身体の痛みを緩和したり、機能回復を促したりします。
対象となるのは、以下のように身体の不自由さを抱える方です。
● 骨折後のリハビリが必要な方
● 背骨の圧迫骨折で動きづらい方
● 股関節や膝の手術後で歩行が困難な方
● 関節痛や筋肉のこわばりに悩む高齢者
● ロコモティブシンドロームやフレイルの兆候がある方
● 要介護認定を受けている方
● 麻痺や障がいのある方
訪問施術は、利用者一人ひとりの身体状態に合わせた施術を提供し、健康維持や生活の質向上をサポートします。往診や往療により、外出の負担なく安心して施術を受けられる点が大きなメリットです。
2. 訪問鍼灸・マッサージが注目されている理由

訪問鍼灸・マッサージは、近年ますます注目を集めています。その背景にあるのは、高齢化の進行や感染症の流行に伴う外出制限、在宅医療の推進です。
ここからは、訪問鍼灸・マッサージが求められる主な理由を3つ解説します。
2-1. 関節症患者の増加
高齢化が著しく進む近年では、関節リウマチや変形性関節症の患者数が増加傾向にあります。特に平成14年以降、関節症患者は急激に増加し、令和2年には2,000万人を超えました。これにより、訪問鍼灸・マッサージの必要性が高まっています
関節症の患者は、関節の痛みや可動域の制限により、通院が難しいケースが少なくありません。訪問施術は、そうした方々が自宅で適切なケアを受けられる手段として有効です。施術によって関節の柔軟性を維持し、日常生活の動作をスムーズにすることで、生活の質を向上させる役割を果たします。
(出典:厚生労働省「令和5年患者調査傷病分類編(傷病別年次推移表)2-2. コロナ禍による訪問施術の需要増加
2020年初頭に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、多くの医療・介護施設が休業や営業時間短縮を余儀なくされました。整骨院や介護施設も例外ではなく、通所できなくなった高齢者が増加しました。
外出の機会が減ると運動の機会も減り、筋力低下や関節拘縮が進行し、歩行困難になるリスクが高まります。そのため、自宅で施術を受けられる訪問鍼灸・マッサージの需要が急速に拡大しました。特に、運動機能の維持が重要な高齢者にとって、定期的な訪問施術は健康を保つための有効な手段となっています。
2-3. 在宅医療への注目
高齢化の進行に伴い、在宅医療の重要性が増しています。病院や施設ではなく、自宅で療養したいと考える方が多く、政府も在宅医療を推進しています。その一環として注目を集めているのが、訪問鍼灸・マッサージです。
在宅での施術なら、移動の負担を減らしつつ、住み慣れた環境でリラックスしながらケアを受けられます。通院が難しい高齢者も、定期的に施術を受けられれば、身体機能の維持と生活の質向上が期待できるでしょう。今後、訪問施術は地域医療の中核としてさらに発展していくと考えられています。
3. 整骨院が訪問鍼灸・マッサージを取り入れるメリット

訪問鍼灸・マッサージは、利用者だけでなく整骨院側のメリットも大きな選択肢です。訪問鍼灸・マッサージを取り入れれば、経営の幅を広げつつ、安定した収益基盤を築けるでしょう。
ここからは、整骨院が訪問鍼灸・マッサージを始めるメリットを3つ解説します。
3-1. 新たな事業を展開できる
訪問鍼灸・マッサージを導入すれば、整骨院は新たな事業領域を開拓できるのがメリットの1つです。健康維持や機能改善を目的とした施術は社会的ニーズと一致しており、事業の成長につながる可能性が高いと言えるでしょう。
特に、高齢化社会において通院が困難な方々への需要は高まっており、地域密着型サービスとしての価値も向上しています。また、在宅施術は利用者の生活の質を高める役割を担うだけでなく、整骨院の存在価値を地域に広めるきっかけとしても有用です。
3-2. すでにある人材を活用できる
整骨院では、すでに在籍している国家資格保持者(あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師)を活用して訪問施術を開始できるのが大きな利点です。新たな設備投資や大規模な採用を行わずに、既存のリソースを最大限に生かせるため、比較的低コストで事業を拡大できます。
また、業務委託やパートなど柔軟な雇用形態を取り入れれば、事業規模に応じた人員配置が可能です。これにより、経営リスクを抑えつつ、新たな収益源を確保できます。
3-3. 安定した収入を得られる
訪問鍼灸・マッサージは、定期的な施術を通じて安定した収入を得られるストック型ビジネスです。原則として、施術は定期的なスケジュールに基づいて行われるため、毎月の収益が大きく変動することはありません。
さらに、医師の同意を得た場合、健康保険の適用により利用者の経済的負担も軽減され、長期的な利用につながりやすくなります。安定した施術件数と継続的な顧客確保により、経営基盤の強化が期待できるでしょう。
4. 整骨院が訪問鍼灸・マッサージを取り入れる際の注意点

整骨院が訪問鍼灸・マッサージを導入するには、施術に必要な資格や開設手続きなど、いくつかの注意点があります。導入前に適切な準備を行い、スムーズに事業を進めるためのポイントを確認しましょう。
4-1. 「鍼灸師」と「あん摩マッサージ指圧師」の資格が必要となる
整骨院内で自費施術を行う場合は鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師でも可能ですが、保険適用の施術では柔道整復師が必須です。そして、訪問鍼灸・マッサージを行う場合、柔道整復師の資格だけでは施術できません。
訪問鍼灸には「はり師・きゅう師」、訪問マッサージには「あん摩マッサージ指圧師」の資格が必須です。また、「マッサージ」という名称は、あん摩マッサージ指圧師しか使えません。
院内施術と訪問施術を併行する場合は、それぞれの資格を持つ施術者が適切に役割を分担する必要があります。そのため、訪問施術を本格的に導入する場合は、資格保有者の確保や業務調整が不可欠です。
4-2. 「鍼灸院」または「あん摩マッサージ指圧院」として開設する必要がある
訪問鍼灸・マッサージを保険適用で行うには、整骨院とは別に「鍼灸院」または「あん摩マッサージ指圧院」としての開設届を保健所に提出する必要があります。整骨院の届出のみでは、訪問施術における健康保険請求が認められません。
開設時には、施術所の基準を満たす環境整備も必要です。また、施術管理者として従事する場合、実務経験や研修受講が求められます。受領委任制度の利用には地方厚生局への申請も必要となるため、事前に各自治体の案内を確認しておきましょう。
5. 整骨院の訪問鍼灸・マッサージ導入を成功させるためには?

訪問鍼灸・マッサージの導入を成功させるためには、ケアマネジャー(介護支援専門員)とのつながりを構築することが重要です。ケアマネジャーは、介護を必要とする方と介護サービス事業所をつなぐ役割を担っています。訪問施術の対象となる要介護者がサービスを希望した際に施術所を紹介するケースも多いため、信頼関係を築いておくと事業の安定が期待できます。
まずは、ケアマネジャーに訪問鍼灸・マッサージの有用性を理解してもらい、施術者として信頼を得ることが、利用者の紹介を受けるための第一歩です。施術のメリットや保険適用の仕組みについて丁寧に説明し、無料体験を実施するなど、継続的な関係構築を意識するとよいでしょう。
まとめ
整骨院における訪問鍼灸・マッサージは、自力で通院が難しい方を対象に自宅で施術を行うサービスです。導入には、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師の資格が必要であり、開設届の提出などの手続きも求められます。
全国統合医療協会では、整骨院の訪問施術導入を手厚くサポートしています。開業支援、療養費請求代行、医療機器の紹介など幅広い支援を提供しており、煩雑な手続きを効率的に進めることが可能です。詳細については、全国統合医療協会までお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
