【2026年】整骨院の「明細書発行体制加算」とは?算定ルールも

2026.07.31
【2026年】整骨院の「明細書発行体制加算」とは?算定ルールも

整骨院では、施術内容や費用について患者さんへ分かりやすく説明し、安心して通い続けられる環境を整えることが大切です。その一環として、施術ごとの算定内容や自己負担額を記載した「明細書」の発行体制が求められています。

近年は医療費の透明性向上の観点から、整骨院における明細書の発行ルールも整備されています。また、一定の要件を満たしたうえで明細書を発行している施術所では、「明細書発行体制加算」の算定が可能です。

そこで今回は、整骨院における明細書発行体制加算の概要や算定要件、明細書の発行ルール、算定時の注意点について詳しく解説します。

1. 【整骨院】明細書発行体制加算とは

整骨院における明細書発行体制加算とは、 患者さんに対して明細書を無償で発行・交付できる体制を整えている整骨院が算定できる加算制度のこと です。

整骨院では、施術内容や費用に関する情報を患者さんへ分かりやすく提供することが求められています。明細書を発行することで、患者さんは施術料や算定項目の内訳を確認できるため、費用に対する理解を深めやすくなります。

また、明細書発行体制加算は、明細書そのものの発行費用を補填するための制度ではありません。あくまでも、患者さんに対して明細書を無料で交付できる体制を整備し、継続的に運用していることを評価するための加算です。

そのため、明細書体制加算を算定するためには、単に明細書を発行するだけでなく、無償交付の仕組みを整えたうえで所定の要件を満たすことが求められます。適切に算定するためには、制度の概要や要件を正しく理解しておくことも欠かせません。

1-1. そもそも明細書とは?領収書との違いも

明細書とは、 施術にかかった費用の内訳を記載した書類 です。施術料や各種算定項目などが記載されており、どのような施術や処置に対して費用が発生したのかを確認できます。

また、明細書と混同されやすい書類として領収書があります。領収書は患者さんが支払った金額を証明するための書類である一方、明細書は請求内容や算定項目の内訳を示すための書類です。

例えば、領収書では支払総額のみが記載されることが一般的ですが、明細書では施術料や各種加算などの内訳まで確認できます。このように、両者は発行目的や役割が異なる書類であることを覚えておきましょう。

2. 【2026年】整骨院における明細書の発行要件・ルール

整骨院では、2022年10月1日より領収証に加えて明細書の発行が義務付けられました。これは、患者さんが施術内容や費用の内訳を把握しやすくし、施術費用の透明性を高めることを目的とした制度です。

ただし、明細書の発行義務はすべての整骨院に一律で課されているわけではありません。施術所の設備状況など、一定の条件を満たす場合に義務化の対象となります。そのため、自院が義務化対象に該当するかどうかを確認したうえで、適切に対応することが重要です。

ここからは、整骨院において明細書の発行義務化が適用される要件をはじめ、その他明細書発行に関する2026年最新のルールについて詳しく説明します。

2-1. 明細書の発行義務化が適用される要件

明細書の発行が義務化された2022年10月1日時点では、「明細書発行機能が備わったレセコンを使用していること」かつ「常勤職員が3人以上いること」の両方を満たす施術所が対象でした。

しかし、2024年度の料金改定により対象範囲が見直され、現在では常勤職員数に関する要件が撤廃されています。そのため、現在の義務化対象は、 「明細書発行機能が備わったレセコンを使用しているすべての施術所」のみとなります。

対象となる施術所は、患者さんから求められた場合だけではなく、すべての患者さんに対して明細書を無償で発行しなければなりません。明細書には施術料や各種算定項目などの内訳を記載し、領収証とあわせて交付する必要があります。

2-2. 義務対象外の整骨院はどう対応すべき?

明細書発行機能付きのレセコンを使用していない施術所については発行義務の対象外となるため、すべての患者さんに対して明細書を発行する必要はありません。

しかし、患者さんから明細書の発行を求められた場合においては、正当な理由がない限り交付を拒むことは不可能です。そのため、 義務化対象外の施術所であっても、求めがあった際には明細書を発行する必要があります。 このとき、明細書は有償で発行することが認められています。

また、たとえ明細書発行義務化対象外の整骨院であっても、事前に地方厚生(支)局へ届け出を行っていれば、自主的にすべての患者さんへ明細書を無償で交付することが可能です。こうしたケースでは、領収書と明細書を一体化させた「領収書兼明細書」の交付がよく見られます。

2-3. 無償交付・有償交付のいずれも施術所内での掲示が必要となる

明細書に関する対応方針は、患者さんが事前に確認できるよう施術所内へ掲示する必要があります。

つまり、明細書交付義務化対象外の施術所が、患者さんから依頼を受けた場合のみ有償で明細書を発行する場合には、その旨を院内に掲示しなければなりません。また、発行手数料についても「1枚〇円」といった形で分かりやすく表示する必要があります。

一方で、明細書の発行が義務付けられている施術所についても、すべての患者さんに対して無償で明細書を交付していることを掲示する必要があります。

明細書に関する対応方針の掲示は、患者さんに対して明細書の発行方針を明確に伝えるための重要な取り組みです。制度に沿った運用を行うためにも、明細書の発行方法だけでなく、院内掲示の内容についても適切に整備するのが望ましいでしょう。

なお、厚生労働省の公式HPでは、有償交付・無償交付それぞれの場合における院内掲示の参考様式が公表されています。院内掲示を作成する際は、参考にすると良いでしょう。

※掲示の例(有償交付)

※掲示の例(無償交付)

3. 整骨院が明細書発行体制加算を算定するための3つの要件

整骨院が明細書発行体制加算を算定するためには、明細書を発行するだけでなく、所定の要件も満たす必要があります。主な算定要件は、下記の3つです。

●明細書を無償で交付する体制を整える
患者さんに対して明細書を無料で発行・交付できる体制を整備しなければなりません。

●地方厚生(支)局へ届け出を行う
明細書発行体制加算を算定するためには、事前に地方厚生(支)局への届出が必要です。

●院内に明細書を無償発行する旨を掲示する
明細書を無償で交付していることを院内の見やすい場所へ掲示し、周知する必要があります。

これらの要件を満たしていないにもかかわらず加算を算定した場合は、返戻や再提出を求められる可能性があります。また、状況によっては不適切な請求と判断され、算定した加算分の返還を求められるケースもあるため注意が必要です。

4. 整骨院が明細書発行体制加算を算定する際の注意点

明細書発行体制加算は、要件を満たせば算定できる加算ですが、算定回数や算定額に関するルールが定められている点にも注意が必要です。

誤った請求を防ぐためにも、事前に算定上の注意点を確認しておきましょう。

4-1. 算定できるのは月に1回まで

明細書発行体制加算は、明細書を発行するたびに算定できるわけではありません。

患者さんが同じ月内に複数回通院した場合でも、 算定できるのは月に1回まで です。そのため、月内の来院回数にかかわらず重複して算定しないよう注意する必要があります。

レセプト請求時には算定漏れだけでなく、重複算定が発生していないかもあわせて確認しておくことが重要です。

4-2. 算定額は1回10円

明細書発行体制加算の算定額は、1回につき10円です。

この加算は明細書の発行費用そのものではなく、患者さんへ明細書を無償で交付できる体制を評価するために設けられています。そのため、算定額は比較的小さいものの、要件を満たしている場合は適切に算定することが大切です。

また、制度改定によって算定要件や点数が見直される可能性もあるため、最新の通知や料金改定情報を定期的に確認するようにしましょう。

5. 明細書の発行・明細書発行体制加算に関するよくある質問(Q&A)

最後に、整骨院における明細書の発行・明細書発行体制加算に関するよくある質問をQ&A形式で分かりやすく紹介します。

Q1.明細書の発行義務がない整骨院でも発行は必要?
明細書発行機能付きのレセコンを使用していないなど、発行義務の対象外となる整骨院であっても、患者さんから明細書の発行を求められた場合は基本的に交付しなければなりません。
正当な理由がない限り発行を拒むことはできないため、求めがあった際にスムーズに対応できる体制をしっかり整えておくことが大切です。

Q2.明細書の発行義務がない整骨院が体制加算を算定するには?
明細書発行体制加算を算定するためには、まず患者さんに対して明細書を無償で発行・交付する体制を整える必要があります。そのうえで、地方厚生(支)局へ必要な届出を行い、院内掲示などの要件を満たせば、発行義務の対象外であった整骨院でも加算の算定が可能です。

まとめ

整骨院における明細書の発行ルールは、制度改定によって内容が見直されることがあります。明細書発行体制加算を適切に算定するためには、発行要件や届出の有無、院内掲示のルールなどを正しく理解し、継続的に対応していくことが重要です。

全国統合医療協会では、整骨院の総合的な支援業務を通じて、法改正や制度改定への対応をサポートしています。「制度の内容が複雑で不安」「請求業務に誤りや漏れがないか確認したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長