接骨院(整骨院)におけるスタッフ育成の重要性と4つのポイント

2024-04-17

接骨院(整骨院)の需要は増加が続いており、経営の安定には競合院との差別化が必須と言われています。供給過剰傾向の中で生き残るには、オーナーが将来性をしっかり見据えて院で働くスタッフの質を高めることも重要です。

接骨院のスタッフ育成に力を入れるには、教育のポイントや具体的な取り組み方を知っておく必要があります。

今回は、接骨院の経営においてスタッフ育成が必要な理由や押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。スタッフ育成に役立つ教育プログラムも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

接骨院におけるスタッフ育成の重要性

接骨院で働くスタッフの育成は、スタッフのやる気を引き出すきっかけになります。

スタッフのやる気を引き出すことで得られるメリットは、下記の通りです。

職場のコミュニケーションが活発になる
スタッフの早期退職を防げる
属人化を解消できる
生産性が向上する

職場のコミュニケーションが活発になると、士気が高まるだけでなく人間関係のトラブルも防ぎやすくなります。優秀なスタッフが定着すれば、施術の質が高まり顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

スタッフが少ない状態での属人化は、特定のスタッフが退職した場合に閉院に追い込まれるリスクがあります。スタッフ育成により一人ひとりの仕事への向き合い方を見直すことで、少ないスタッフ数でも効率良く仕事を回せるようになります。

スタッフ育成は、売上の増加や人的コストの削減にもつながる重要な取り組みです。

接骨院におけるスタッフ育成の基本的なポイント

接骨院におけるスタッフ育成は、「共有」「マニュアル作成」「評価」「ミーティング」の4つが基本です。接骨院のベースとなる考えを共有した上で、マニュアルを運用し適切に評価します。スタッフ育成の効果を高めるには、振り返りの時間を設けることも大切です。

ここからは、スタッフ育成の基本的なポイントを項目ごとに詳しく解説します。

(1)接骨院の経営方針や価値観を共有する

スタッフ育成では、まず接骨院の経営方針や価値観をしっかり共有することが重要です。院が目指すビジョンや大切にしている考え方がスタッフに伝わっていなければ、いくら取り組みを実施しても理想的なスタッフ像には導けません。

院の経営方針や価値観をスタッフと共有するには、新人研修や経営方針発表会などの場を利用して繰り返し伝えるのが効果的です。新人スタッフに対しては、できるだけ早いタイミングで目指す方向性を伝えておく必要があります。

経営方針や価値観に矛盾が生じないように、オーナーや施術管理者の立ち振る舞いには十分注意しましょう。

(2)人材育成マニュアルを作成する

スタッフ育成をスムーズに進めるために、何を行うべきかを明確にしたマニュアルを作成します。マニュアルがあれば、新人スタッフにも知識やスキルを効率良く伝えられます。OJTや自己学習をスムーズに行う上でも、マニュアル作成は必須です。

人材育成マニュアルの作成にあたり、「誰が」「どのような場面で使うのか」を明確にしておく必要があります。業務内容や作業手順など伝えたい情報を洗い出し、厳選して分かりやすく記載しましょう。

人材育成マニュアルは、スタッフがすぐに閲覧できる状態が理想です。また、院の現状や施術内容が時代の流れに合っているかどうか、定期的に内容を見直しましょう。

(3)スタッフの働きや能力を正当に評価する

スタッフ育成には、スタッフの働きや能力を正当に評価する仕組みが必要不可欠です。

スタッフが自身の働きや能力が正当に評価されていると実感できると、従業員満足度が高まり意欲が増して好循環が生まれます。一方、院の経営方針に沿って仕事をしているのに正当に評価されない状況が続くと、スタッフが抱く不満や不信感は大きくなります。

スタッフの評価に個人的な感情を持ち込むのは厳禁です。院が目指すビジョンを実現するためにすべきことを具体化し、スタッフの行動や院への貢献度を照らし合わせて客観的に評価しましょう。

(4)スタッフ全員参加のミーティングを定期的に行う

スタッフ育成や院のビジョン実現のためには、オーナー・施術管理者・スタッフが全員参加でミーティングをすることも重要です。それぞれが抱えている課題や目標を共有し、改善や達成のために何をすべきか考えることで、全員が同じ方向を向きやすくなります。

ただし、オーナーが一方的に命令したり指示を出したりすると、スタッフのモチベーションが下がる可能性が高くなるため要注意です。意見交換や課題の明確化がしやすいように、フラットかつオープンな雰囲気の中でミーティングを行うのがポイントです。

オーナーや施術管理者は、スタッフに気づきを与えて自主的な行動を促すことを心がけましょう。

接骨院のスタッフ育成に役立つ教育プログラム3つ

接骨院のスタッフ育成の鍵となるのが、継続的な教育プログラムの提供です。教育プログラムの提供は、スタッフのキャリアアップ支援に役立ちます。スキルや知識を高められる仕組みを整えることで、人材の定着率もアップします。

スタッフ一人ひとりの目指すキャリアに応じて、必要な教育プログラムを提供しましょう。

ここでは、接骨院のスタッフ育成に役立つ教育プログラムを3つ解説します。

院内セミナー・勉強会の開催

院内セミナーや勉強会の開催は、接骨院が取り組みやすい教育プログラムの1つです。

会議室や休憩室に施術管理者やスタッフが集まって、それぞれが持つ情報を共有します。外部から講師を招いてセミナーを開催するのもおすすめです。スタッフのスキルや知識の向上だけでなく、コミュニケーションの活性化にもつながります。

誰でも自由に参加できる健康教室の開催も有効です。経験が浅い新人スタッフは、患者さんに寄り添った対応の土台を学ぶことができます。

スタッフレベルに応じた研修制度の導入

スタッフレベルに合わせて教育プログラムを実施する場合は、階層別研修制度の導入を検討しましょう。

スタッフレベルに応じた研修制度であれば、一人ひとりの課題点や不足しているスキルにピンポイントでアプローチできます。ただし、階層に該当しているものの、すでに研修内容のスキルや知識を習得しているという人にとっては、得られる恩恵が少ない点がデメリットです。

階層別研修制度の具体例は、次の通りです。

●新人スタッフ向け研修(1~2か月)
社会人としての基礎力や接骨院で働く上での基礎技術を学びます。仕事の進め方や考え方、保険の基礎知識も学べる内容です。

●接遇研修(3か月~3年)
患者さんへの接し方やヒアリング力を鍛えることを目的とした研修です。患者さんの体の悩みに合わせて治療プランを構成する力を身につけられます。

●幹部研修(3年~)
経営スキル・PDCAスキルなど、マーケティングやマネジメントの基礎を学ぶ研修です。院長や院長候補の人を対象としています。

外部研修システムの導入

外部研修システムとは、院で開催する研修を一元管理するシステムです。研修に参加したスタッフの情報や課題提出の有無なども管理できます。実際に現場で体験しているような感覚で学べる、VR研修システムも注目されています。

外部研修システムのメリット・デメリットは、下記の通りです。

メリット 作業の効率化が期待できる
施術管理者やスタッフの仕事能力が向上する
デメリット 導入と運用にコストがかかる
セキュリティ管理の徹底が必要になる

外部研修システムを導入すると、研修管理に関する事務処理の手間が省けて本業に集中できるようになります。施術管理者とスタッフの能力の底上げにもつながるでしょう。

また、研修システムで施術管理者を育成しておくことで、現在の施術管理者が退職した場合に閉店リスクを回避できます。

全国統合医療協会では、接骨院の経営に役立つコスパが良い研修システムを提案しています。スタッフ育成に加えて、接骨院経営のリスク管理という面でも、ぜひご検討ください。

まとめ

接骨院におけるスタッフ育成は、「売上の増加」「人的コストの削減」「スタッフの早期離職の回避」などにつながります。供給過剰傾向の中で生き残るには、スタッフ育成への取り組みが必要です。

院内セミナーや勉強会を開催したり研修制度を導入したり、院に合った方法でスタッフ育成を目指しましょう。全国統合医療協会では、スタッフ育成や経営のリスク管理の相談にも対応しています。「スタッフ育成に力を入れたい」「施術管理者が1人しかおらず危機感がある」という場合は、お気軽にお問い合わせください。