コロナ禍が与えた接骨院(整骨院)への影響|今後に向けた4つの施策

2024-01-17

2020年に世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本の経済や人々のライフスタイルに大きな影響を及ぼしました。接骨院・整骨院を経営する方の中には、コロナ禍で自店が大きな打撃を受けたと感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、コロナ禍が接骨院(整骨院)に与えた影響について詳しく解説します。コロナ禍前から見られていた接骨院業界の傾向も併せて確認した上で、アフターコロナ時代に適した施策を行い、接骨院経営を成功に導きましょう。

コロナ禍が与えた接骨院(整骨院)への影響

2019年に発生し、2020年には世界的な大流行を引き起こした新型コロナウイルス感染症は、人々の生活を一変させ、日本の経済にも大きな影響を及ぼしました。緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の実施などに伴い、行動の自粛やマスクの着用などの感染対策が求められたことは記憶に新しいでしょう。

コロナ禍では「密閉・密集・密接」のいわゆる「3密」を避けるよう呼びかけられていたこともあり、飲食業や旅行業などを中心にあらゆる業界が大きな影響を受けました。施術者がお客様の肌に直接触れる機会も多い接骨院(整骨院)も例外ではありません。接骨院業界も、コロナ影響下で大きな打撃を受けた業種と言えるでしょう。

ここでは、コロナ禍が接骨院業界に与えた具体的な影響について詳しく解説します。

客足の減少

新型コロナウイルス感染症は、当初は「重篤な症状を引き起こす未知の感染症」とされており、日本でも「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」として位置付けられました。コロナ禍では、新型コロナウイルスへの感染を恐れていた方もいれば、感染者・濃厚接触者に求められた厳しい行動制限を避けたい方もいたでしょう。

接骨院の場合、定期的な換気などの感染対策を行っていれば感染リスクは高くはなく、厚生労働省が定義する「濃厚接触」にも該当しないとされていました。しかし、接骨院では施術者とお客様との肌が触れ合う機会や会話の機会も多いため、「感染リスクが高いのでは」と判断するお客様も少なくありませんでした。

営業時間の短縮

コロナ禍、特に緊急事態宣言の発令期間やまん延防止等重点措置の実施期間においては、飲食業や娯楽業などの業種を中心に営業時間の短縮が求められました。接骨院は営業自粛要請の範囲には含まれていなかったものの、経営者の判断で感染拡大を防ぐために営業時間を短縮したケースも少なくありませんでした。

また、コロナ禍では不要不急の外出を避けるよう呼びかけられたこともあり、接骨院への通院回数を減らしたり施術を延期したりするお客様も多くいました。来店するお客様の減少により、コスト面を考慮して営業時間を短縮せざるを得なかった接骨院もありました。

3密回避や衛生対策に向けた措置

コロナ禍では、感染拡大やクラスターの発生を防ぐために「3密」を回避することが求められていました。待合室や施術室のレイアウトを変更したり、同じ時間帯に訪れるお客様の人数を制限したりするなどの感染対策を講じた接骨院も多いでしょう。

また、日々の施術所内の消毒や定期的な換気など、毎日取り組む必要がある対策も少なくありませんでした。このような措置・対策を日々適切に行うには非常に労力がかかります。接骨院のオーナーや従業員の身体的・精神的負担になっていたことは否定できないでしょう。

全国における柔道整復施術所数の推移(2018年~2022年)

コロナ禍が接骨院に与えた影響は決して小さくはなく、存続の危機などの苦境に陥った接骨院も存在します。それでは、柔道整復の施術所数はどのように推移しているのでしょうか。コロナ前(2018年)・コロナ禍(2020年)・ウィズコロナ時代(2022年)のデータを確認してみましょう。

施設(全国) 2018年(平成30年) 2020年(令和2年) 2022年(令和4年)
あん摩マッサージ及び指圧を行う施術所 19,389 18,342 18,155
あん摩マッサージ及び指圧、はり・きゅうを行う施術所 38,170 38,309 38,589
柔道整復の施術所 50,077 50,364 50,919

(出典:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 3 就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/22/dl/kekka3.pdf

上記のデータから、あん摩マッサージ及び指圧を行う施術所は、コロナ禍を含む4年の間に約1,200か所減少していることが分かります。廃業数の増加はコロナ前から見られており、コロナ禍でもこの傾向が続いたと考えられます。

一方、あん摩マッサージ及び指圧、はり・きゅうを行う施術所は4年間で約400か所増加しており、柔道整復の施術所は増加傾向にあることも読み取れます。

コロナ禍が全国の接骨院に与えた影響は大きかったものの、コロナ禍の逆境に負けることなく経営を継続した接骨院・開業した接骨院も数多く存在したことが分かるでしょう。

コロナ流行前から一部施術所の廃業が増加していたことの理由

コロナ前から一部の施術所で廃業が増加していたことの理由の1つに、「施術所数の増加による供給過多」が挙げられます。厚生労働省の資料によると、2022年における柔道整復の施術所は50,919か所であり、10年前(2012年)の42,431か所と比べて約1.2倍となっています。競合との競争に負けてしまい、廃業を余儀なくされた施術所も少なくありません。
(出典:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 3 就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/22/dl/kekka3.pdf

また、一部の施術所で療養費の不正請求が横行していたことにより、国が保険請求を厳格化したことも、廃業する施術所が増えた理由の1つです。保険診療の割合が高い施術所などでは収入を十分に確保できず経営難に陥り、廃業へとつながったケースも多く存在します。

接骨院経営の成功に向けた4つの施策

2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けは「5類感染症」へと引き下げられ、さまざまな感染対策が大幅に緩和されました。コロナ禍・ウィズコロナからアフターコロナへと社会が転換したことを受け、客足が戻りつつある接骨院も少なくないでしょう。

一方で、「お客様が減少したまま戻っていない」という接骨院も珍しくありません。お客様を増やして経営を安定させるためには、アフターコロナに適した施策を行うことが大切です。

ここでは、アフターコロナにおいて接骨院経営を成功させるための4つの施策を紹介します。

集客方法の見直し

コロナ禍を経て人々のライフスタイルやITツールの利用の仕方が変化したこともあり、効果的な集客方法もコロナ前から変化しています。「新規顧客をなかなか獲得できない」と悩んでいる方は、集客方法を見直すことから始めましょう。

近年多く見られる消費者行動の傾向として、Googleマップを利用して店舗を探すことが挙げられます。Googleマップで自店を効率よく見つけてもらえるよう、Googleビジネスプロフィールをきちんと整備するなど、ターゲットや時代に合った集客方法を検討し直すことが大切です。

自費診療メニューの導入

競合との競争に勝ち抜いた上で接骨院の経営を安定させるためには、自費診療メニューを充実させ、競合との差別化を図ることが大切です。美意識の高い女性をターゲットとして、姿勢矯正メニューやEMS機器を用いたシェイプアップメニューを取り入れるなど、特定のターゲットに向けたメニューを導入しましょう。

全国統合医療協会では、複合高周波EMS「ELbio」のほか、お店のコンセプトに合った幅広い機種を提案しています。どのようなメニュー・機器を導入するとよいか悩んでいる方は、全国統合医療協会へご相談ください。
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予約制度または予約優先制度の導入

接骨院の経営を安定させるためには、お客様のリピート率を高めることも大切です。予約制度や予約優先制度を導入し、次回の来店を予約する習慣をつけるようにしましょう。

予約制度・予約優先制度はお店側だけでなく、お客様側にも「待ち時間が短くなる」「予定を立てやすい」などのメリットがあります。新規のお客様を中心にメリットを説明した上で、施術者が主導する形で次回予約をとりましょう。

お客様への直接的な連絡手段の確保

来店予約をとっていても、予約後にキャンセルしたり来店を忘れていたりするお客様も少なくありません。リピート率や稼働率の低下を防ぐためにも、お客様と直接連絡できる手段を確保しておきましょう。

お客様への直接的な連絡手段の例として、ダイレクトメールはがきやLINE公式アカウントなどが挙げられます。予約の空き状況や新しいメニューのお知らせ、キャンペーン情報など、来店につながるような情報を積極的に発信しましょう。

まとめ

新型コロナウイルス感染症は、接骨院に大きな影響を与えました。一方で、接骨院経営の難化はコロナ前から見られていた傾向でもあります。アフターコロナでは、これらの課題を乗り越えるためにターゲットや時代に合った施策を行うことが重要になるでしょう。

アフターコロナにおける接骨院経営に不安を感じている方は、接骨院に関するさまざまなサポートを提供する「全国統合医療協会」にぜひご相談ください。自店に合った集客方法の実施・医療機器の導入などを通して、自店の経営を成功に導きましょう。