1人接骨院の売上・年収|開業のメリットや売上を伸ばすポイントも
接骨院開業では、コンパクトなスペースで始められる1人接骨院を選択するケースが多く見られます。1人接骨院は自由度が高いものの、「売上を伸ばせるか」「経営がうまくいくか」などの不安には1人で向き合うことになります。
開業を成功させるために、まずは1人接骨院の平均的な売上や現状を理解し、目標とすべき売上をイメージしておきましょう。
今回は、1人接骨院の売上、1人で開業するメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。1人接骨院の売上を伸ばすコツも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
1人接骨院の売上・年収はどれくらい?
1人接骨院と言っても売上は千差万別で、1か月あたり100万円以上の売上をキープできる接骨院もあれば50万円に満たない接骨院もあります。
開業後のおおまかな売上をイメージしたい場合は、「客単価×患者数」で計算しましょう。
接骨院における平均客単価は、約5,000~5,500円です。1日に5人ペースで20日間営業した場合、1か月あたりの売上は約50万円以上となります。
(1)5,500円 × 5人 = 27,500円
(2)27,500円 × 20日間 = 550,000円
1人接骨院の経営者の年収は、月の売上から必要経費を差し引いた残りの金額です。接骨院の経営にかかる必要経費は、賃料・水道光熱費・その他諸経費などで最低でも20万~30万円はかかります。
1か月あたりの売上が70万円の場合、手元に残るのは40万~50万円と考えておきましょう。月収40万円であれば、単純計算で年収は約480万円です。
「売上100万円」のように具体的な金額を目標として定めるのも良いですが、最も大切なのは安定した黒字経営を目指すことです。売上が100万円以下だったとしても、手元に数十万円残れば十分な黒字経営と言えます。
1人で接骨院を開業するメリット・デメリット
柔道整復師として雇われていた方が、さらなる収入やキャリアアップを目指して1人接骨院を開業するケースは少なくありません。1人接骨院を開業することにはさまざまなメリットがある一方で、当然いくつかデメリットもあります。
接骨院の開業を成功させるために、メリットとデメリットをしっかり理解しておきましょう。
ここでは、1人で接骨院を開業するメリット・デメリットを解説します。
メリット(1)開業コストを抑えられる
1人接骨院は、コンパクトなスペースで始められるため開業コストを抑えられます。
スタッフを雇用して接骨院を開業する場合、開業資金の相場は約1,000万円です。一方、1人接骨院の開業資金は、約800万円と言われています。
1人接骨院は狭い物件でも開業でき、ベッドや備品などの設備費も最小限で済むため、低コストでの開業を目指しやすくなります。
メリット(2)固定費(主に人件費)を抑えられる
固定費を抑えられることも1人接骨院を開業するメリットの1つです。
接骨院経営の固定費には、賃料・人件費・組合費などが挙げられます。1人接骨院は、スタッフを雇わなければ人件費はかかりません。スタッフ1人あたりの給与相場を25万円とした場合、年間約300万円の固定費を抑えられます。
固定費は売上が落ち込んでも発生するため、スタッフの雇用は資金計画をもとに慎重に検討しましょう。
メリット(3)自由度が高い
1人で接骨院を開業する場合、経営の自由度が高くなります。収益の大部分を自分の報酬として設定できる上に、働く時間も自由に決められます。経営が軌道に乗れば高収入も期待できるでしょう。
また、スタッフを雇わないため、人間関係における悩みやトラブル対応に時間を奪われたり心をすり減らしたりすることもなくなります。
自分のやり方で自由にストレスなく働きたい方にとって、大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット(1)多岐にわたる業務をすべて1人で対応する必要がある
1人接骨院は、業務をすべて1人で対応しなければなりません。接骨院の業務は、受付・会計・清掃・備品管理など多岐にわたります。特に会計には専門知識が求められます。
施術だけ行えば良いというわけにはいかないため、必然的に経営者の負担は大きくなるでしょう。施術の質を維持するためにも、他の業務を効率良く行えるように仕組みを整えておくことが大切です。
デメリット(2)施術できる人数に限りがある
施術以外の業務も対応しなければならず、1日に施術できる人数は限られます。同時に複数の施術を行うことはできないため、大幅な売上アップは難しいでしょう。
万が一体調不良や諸事情で働けなくなった場合、売上はゼロになり経営が行き詰まる可能性があります。患者さんを待たせることになれば、顧客離れにつながる恐れもあるでしょう。
1人接骨院の現状
接骨院件数は増加傾向にあり、1人で開業する柔道整復師も多く見られます。
慢性症状を解消したい人や高齢者が増えていることもあり需要は安定しているものの、近年は接骨院件数の増加により供給過多が続いている状態です。競合が多い中、競争力がない接骨院は淘汰されています。
療養費の支給額が年々減少傾向にある中で、保険施術のみで経営を安定させるのは難しいと言えます。接骨院が生き残るには、経営力の向上が必要不可欠です。
【1人接骨院】売上を伸ばすためのコツ4選
1人で接骨院を経営するには、売上を維持できる環境を整えることが大切です。集客力やリピート率、客単価を上げる工夫をして売上を伸ばしましょう。
ここでは、1人接骨院が売上を伸ばすためのコツを4つ紹介します。
集客力を高める
集客力を伸ばす方法には、「オンライン集客」「オフライン集客」の2つがあります。
オンライン集客とオフライン集客の具体例は、下記の通りです。
オンライン集客 | ホームページ作成、SNSの活用、口コミサイトへの登録 |
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オフライン集客 | チラシ配布、地域イベントへの参加、顧客からの紹介 |
インターネットを利用する人が増えたこともあり、オンライン集客に力を入れる接骨院が多く見られます。しかし、ターゲット層や地域性も考慮して、オンライン集客だけでなくオフライン集客も活用したほうが集客力は高まります。
また、集客には立地も大きく影響するため、できるだけターゲット層にマッチした利便性の良いエリアで開業することも大切です。
リピート率を高める
リピート率を高めることで、顧客1人あたりの利用回数が増えます。リピーターは、一般客に比べて利益率が高いことが特徴です。また、リピーターが多いほど施術の質の高さをアピールできます。
リピート率を高めるための方法は、下記の通りです。
施術計画を丁寧に説明する
コミュニケーションを大切にする
魅力的なキャンペーンを実施する
利用状況に応じてお得な特典を用意する
また利用したいと思ってもらえるような工夫をすることで、リポート率が向上し売上につながりやすくなります。
客単価を上げる
1日に施術できる患者数は限られています。そのため、売上を増やすには客単価を上げる必要があるでしょう。
ただし、何の付加価値もなく安易に単価を上げてしまうと、かえって顧客離れの原因となるため注意が必要です。客単価を上げることと施術の付加価値を付けることは、セットで考えましょう。
施術の付加価値の具体例として、「オプションメニューの提供」「専門性のある施術」などが挙げられます。
ノンコア業務を外注化する
売上を伸ばすには、施術に集中できる環境を整えることも大切です。電話対応・会計・清掃などのノンコア業務は外注化を検討しましょう。
業務を外注化する場合は、業務の範囲やサポート力に注目して委託先を選ぶことがポイントです。
全国統合医療協会では、「療養費請求代行サービス」を提供しています。保険者発行や療養費支給申請書のチェックにも対応しており、経営者の業務負担の大幅な軽減が期待できるでしょう。
まとめ
1人接骨院の売上は、1か月100万円という方もいれば50万円に満たない方もいます。売上は千差万別ですが、最も大切なのは安定した黒字経営を目指すことです。
集客力・リピート率を高めたりノンコア業務を外注化したり、売上を伸ばすための取り組みに力を入れましょう。
全国統合医療協会では、療養費請求代行サービスの他、接骨院の開業支援や他院との差別化を図れる医療機器の紹介も行っています。開業から運営業務までの幅広い経営サポートを求める方は、ぜひお問い合わせください。
この記事の監修者