接骨院(整骨院)の需要は高い?開業・安定経営に向けたポイントも

2024.10.02
接骨院(整骨院)の需要は高い?開業・安定経営に向けたポイントも

接骨院(整骨院)の開業を検討している方の中には、「競合が多い」「柔道整復療養費が減少している」などの情報を見聞きし、将来性に不安を感じている方もいるでしょう。

しかし、接骨院が増加傾向にあるのは需要が高まっているからであり、戦略次第では接骨院の開業を成功させ、安定経営に導くことも十分に可能です。

今回は、接骨院の現状をふまえた上で、接骨院の経営に将来性があると考えられる理由や、開業を成功に導くためのポイントについて解説します。安定経営を維持するためのポイントも併せて確認し、顧客に長く利用してもらえる接骨院の開業を目指しましょう。

2012年 2014年 2016年 2018年 2020年 2022年
接骨院の数(か所) 42,431 45,572 48,024 50,077 50,364 50,919
柔道整復師の人数(人) 58,573 63,873 68,120 73,017 75,786 78,827
あん摩マッサージ指圧師の人数(人) 109,309 113,215 116,280 118,916 118,103 121,565

接骨院(整骨院)の現状

厚生労働省の調査によると、接骨院(柔道整復の施術所)の数や柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の人数は、年々増加の一途をたどっています。

【接骨院の数、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の人数の推移】

(出典:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/22/dl/kekka3.pdf

このように、2012年から2022年の10年間で、接骨院の数は約8,500か所、柔道整復師の人数は約20,000人、あん摩マッサージ指圧師の人数は約12,000人増加しています。競合となる施術所・施術者が多いという懸念点はあるものの、接骨院の需要は年々高まっていると考えられるでしょう。

接骨院の需要は高い!将来性があると言われる3つの理由

接骨院(整骨院)の数や施術者の人数が年々増加傾向にあることから、接骨院の需要は拡大傾向にあり、今後も同様の状況が続くと考えられます。柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師として接骨院を経営することには、高い将来性があると言えるでしょう。

ここでは、接骨院経営の将来性があると考えられる3つの理由について詳しく解説します。

信頼性の高い国家資格であるため

接骨院を運営するには、専門の教育機関で規定の課程を修了し、国家試験に合格して「柔道整復師」の国家資格を取得する必要があります。合格率は50~60%台と難易度が高いわけではないものの、簡単に取得できる資格ではないと言えるでしょう。

また、柔道整復師は国家資格の取得を通して、専門性の高い知識や技術を身につけており、社会的に高い信頼性を誇る資格職でもあります。信頼性の高い国家資格を持つ柔道整復師が運営していることが、接骨院の信頼性・将来性の高さを支えていると言えるでしょう。

高齢化が進んでいるため

日本では高齢化が急速に進んでいることも、接骨院に将来性があると考えられる理由の1つです。高齢者は若い世代と比べて転倒リスクが高く、骨折やねんざといった怪我を負うケースも少なくありません。高齢の方が転倒・骨折し、それを機に介護が必要となる事例も増えています。

柔道整復師は骨折やねんざなどに対して施術を行う専門家です。高齢者の健康をサポートする役割を果たす職業として、柔道整復師の需要は今後ますます拡大すると考えられるでしょう。

腰痛や肩こりに悩む方が増加しているため

近年ではインターネットの普及に伴い、パソコンやスマホを日常的に使用する人が増えました。また、パソコンを使用した長時間のデスクワークや、ITツールを活用したテレワークも増加傾向にあります。このような社会の変化から、腰痛や肩こりに悩む方が増えた一方で、健康意識が高まり身体のメンテナンスを重視する方も多く見られるようになっています。

接骨院は、身体の痛みに悩む方や身体のメンテナンスをしたい方の両方が適切な施術を受けられる施設です。今後も利用者は増えていくと予想されるため、接骨院の将来性は明るいと考えられるでしょう。

接骨院の開業を成功に導くためのポイント

接骨院(整骨院)の需要は年々高まりつつあるものの、競合となる施術所・施術者の数も多く、開業すれば必ず成功するというわけではないことに注意が必要です。

ここでは、接骨院の開業を成功に導くための3つのポイントについて解説します。お客様に選ばれる接骨院を開業するためにも、ポイントを押さえた開業準備を行いましょう。

独自コンセプトの設定

接骨院において、独自のコンセプトを明確に設定することは、お客様に提供するサービスに対する考え方を明確化し、競合との差別化を図ることでもあります。明確なコンセプトを打ち出すことにより、コンセプトに共感するお客様に自店舗を選んでもらいやすくなるでしょう。

コンセプトを設定する際には、ターゲットにしたい人物像(ペルソナ)を設定することが大切です。ターゲット層のニーズをふまえて、自店舗の強みやメインとなるメニューを考えていきましょう。また、接骨院として目指すべき姿を明確にイメージすることも重要なポイントです。

なお、ターゲット層やメニューなどは、店舗の立地を選定してから変更することも可能です。ただし、事前に独自コンセプトを設定し、自分がどのような接骨院を運営したいかを明確化しておくことで、立地の選定・調査もスムーズに進むでしょう。

立地の選定と調査

接骨院を開業する際には、店舗の立地の選定・調査を十分に行うことも大切です。店舗の立地のよさは、お客様の利便性の高さに直結するため、ターゲットとなるお客様がアクセスしやすい立地を選びましょう。

集客しやすい立地を選定したら、地域住民の年齢層や健康意識の高さなど、自店舗を取り巻く環境を細かくチェックします。競合店舗の数や立地、コンセプトなども調査し、自店舗の経営戦略の立案に役立てましょう。

集客・宣伝の実施

接骨院は競合も多く、待っているだけでは来店するお客様は増えません。集客・宣伝活動を実施し、より多くの方に自店舗を認知してもらい、来店してもらうことが重要になります。

集客・宣伝活動をする上で、開業当初は特に自店舗のブランディングを行うことが大切です。自店舗のコンセプトを軸として、公式サイトやチラシを見た方が「この接骨院であれば自分の悩みを解決できるかも」と思えるような内容を考えましょう。

接骨院の安定経営を維持するためのポイント

接骨院(整骨院)の経営を成功させるには、コンセプト設定や立地の選定、集客活動など開業前後の施策も重要ですが、開業後に安定した経営を維持することも大切です。

ここでは、接骨院を安定して経営するために押さえておきたい3つのポイントについて解説します。ポイントを押さえてお客様に長く愛される接骨院を運営し、順調な売上のキープを目指しましょう。

リピート率のアップに力を入れる

接骨院の安定経営を維持するためには、新規顧客の獲得だけでなくリピート率のアップを図ることも大切です。定期的に来店してくれるお客様を増やすことで、経営基盤を安定化できるでしょう。

接骨院のリピート率を高めるためには、お客様一人ひとりと良好な関係を築くことや、再来店を促す回数券・割引システムなどの環境を整備する必要があります。お客様一人ひとりのことを考えたサービスを提供し、リピーターに長く愛される接骨院運営を目指しましょう。

施術の専門性を高める

競合となる接骨院との差別化を図り、自店舗をお客様から選ばれる接骨院にするためには、施術の専門性を高めることも重要なポイントです。

ターゲット層や地域のニーズを考慮し、特定の分野に特化したサービスを提供することで、そのサービスに魅力を感じるお客様から選ばれやすくなるでしょう。常に新しい知識やスキルを身につけながら、マーケティングなどでお客様や地域のニーズを把握することが大切です。

自費メニューを導入する

接骨院は、保険診療と自費診療の両方を扱えます。国の方針により接骨院の療養費が削減傾向にあることから、経営を安定化するには、保険診療だけでなく、自費診療のメニューを導入することが重要になると言えるでしょう。

自費メニューを充実させることで、お客様のニーズを満たしながら顧客単価を上げることができます。質の高いサービスの提供と顧客満足度向上、売上アップを同時に実現することもできるでしょう。

まとめ

近年、接骨院(整骨院)や施術者は増加傾向にあるとともに、社会的なニーズも拡大傾向にあります。競合に負けない安定経営を実現するためにも、開業時・運営時に押さえておきたいポイントをしっかり守り、お客様に選ばれる接骨院を目指しましょう。

全国統合医療協会では、療養費の請求代行をはじめ、開業・運用支援やレセコン導入支援など、接骨院の経営をサポートするあらゆるサービスを展開しています。自費メニューの導入に役立つ医療機器のご紹介も可能であるため、接骨院の開業を検討している方は、ぜひ全国統合医療協会にご相談ください。

この記事の監修者

user

中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長