オンライン診療受診施設とは?整骨院が設置する場合の届出・注意点も

2026.10.30
オンライン診療受診施設とは?整骨院が設置する場合の届出・注意点も

オンライン診療は、情報通信機器を活用し、医師と患者が離れた場所にいながら診療を行う方法です。医療機関への通院が難しい場合などでも診療を受ける手段となり、オンライン診療を取り巻く制度や環境の整備も進められています。

2026(令和8)年4月からは、医療法の改正により「オンライン診療受診施設」に関する制度が施行されました。一定の基準を満たせば、整骨院などの医療機関ではない施設でもオンライン診療を受けるための場所を設けられますが、設置・運営にあたっては届出をはじめとする所定の対応が必要です。

そこで今回は、オンライン診療受診施設の概要や求められる基準から、整骨院が設置するための手続き、運営する際の注意点まで詳しく解説します。

1. 【2026年4月施行】オンライン診療受診施設とは?

「オンライン診療受診施設」とは、施設の設置者が、オンライン診療を行う医師または歯科医師が勤務する病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院に対して、患者がオンライン診療を受けるための場所として提供する施設です。

2026(令和8)年4月1日に施行された改正医療法により、オンライン診療に関する規定が医療法に新設され、オンライン診療受診施設についても法律上の位置付けが明確になりました。

そもそもオンライン診療とは、医師または歯科医師と患者が情報通信機器を通じて映像・音声をやり取りし、離れた場所から診療を行う方法です。

オンライン診療受診施設の制度化により、必要な基準を満たすことで、医療機関以外の施設も患者がオンライン診療を受ける場所として活用できる仕組みが整備されました。特に医療資源が少ない地域では、郵便局や公民館などの身近な場所を活用した施設の設置も想定されています。

オンライン診療受診施設の設置者は個人・法人のいずれでもよく、設置者自身が医師などの医療従事者であることを求める資格要件は設けられていません。そのため、整骨院についても、施設に求められる基準を満たしたうえで所定の手続きを行うことで、オンライン診療受診施設を設置することが可能です。

ただし、オンライン診療受診施設は、あくまでも患者がオンライン診療を受ける「場所」を提供する施設です。整骨院そのものが医療機関となったり、オンライン診療を実施したりする制度ではない点には注意しましょう。

1-1. オンライン診療受診施設に求められる主な基準

オンライン診療受診施設を設置・運営するためには、患者が適切な環境でオンライン診療を受けられるよう、法令で定められた基準を満たす必要があります。

主な基準は、下記の通りです。

●オンライン診療を受ける場所が清潔かつ安全である
●患者が外部から隔離された空間で受診でき、プライバシーが確保されている
●オンライン診療に使用するシステムについて、必要な情報セキュリティ対策が講じられている
●(設置者が法人の場合)施設の管理・運営責任者を置いている

例えば、整骨院内にオンライン診療を受けられるスペースを設ける場合、周囲に診療内容が聞こえたり、第三者から画面が見えたりしない環境を整える必要があります。

また、オンライン診療に使用する端末や通信環境についても、患者の医療情報などを適切に取り扱えるよう、情報セキュリティを確保しなければなりません。

さらに、オンライン診療受診施設の設置者には、施設が必要な基準を満たしていることなど、必要な情報を公表することが義務付けられています。

1-2. オンライン診療の実施責任の所在

前述したように、オンライン診療受診施設の役割は、患者がオンライン診療を受けるための場所を提供することです。オンライン診療そのものは医師または歯科医師が行うため、診療の実施に関する責任までオンライン診療受診施設の設置者が負うわけではありません。

診療計画の作成や患者の本人確認、オンライン診療での診察が適切かどうかの判断などは、オンライン診療を実施する医師・歯科医師や医療機関側が主体となって行います。

また、オンライン診療だけでは適切な診療が難しいと判断された場合には、必要に応じて対面診療へ切り替えるなどの対応も求められます。

一方で、オンライン診療を実施する医療機関側には、患者がオンライン診療を受ける施設について、清潔・安全な環境やプライバシーなど、適切に診療できる環境が確保されていることを確認することが求められます。

このように、オンライン診療受診施設とオンライン診療を実施する医療機関では、それぞれ担う役割が異なります。

整骨院がオンライン診療受診施設を設置する際は、診療そのものを行うのではなく、患者が適切にオンライン診療を受けられる環境を整備・管理する立場であることを理解しておきましょう。

2. 整骨院がオンライン診療受診施設を設置するための手続き

整骨院がオンライン診療受診施設を設置する場合は、患者が適切な環境でオンライン診療を受けられるよう必要な環境・設備を整えたうえで、所定の届出や施設基準への適合状況の確認などを行う必要があります。

ここからは、整骨院がオンライン診療受診施設を設置する際の主な手続きを順番に紹介します。

2-1. 施設に必要な環境・設備を整える

まずは、オンライン診療を受けるためのスペースや通信環境など、必要な環境・設備を整えます。

オンライン診療を行う場所は清潔かつ安全であることに加え、患者のプライバシーを確保できる環境でなければなりません。例えば、ほかの患者やスタッフに診療内容が聞こえたり、端末の画面を見られたりしないよう、外部から隔離されたスペースを確保する必要があります。

また、オンライン診療に使用する情報通信機器やシステムについても、患者の医療情報などを適切に取り扱えるよう、必要な情報セキュリティ対策を講じます。

2-2. 管理・運営責任者を定める

法人がオンライン診療受診施設を設置する場合は、施設の管理・運営責任者を定める必要があります。

管理・運営責任者は、施設の運営状況を管理するとともに、オンライン診療を提供する医療機関との連絡・調整などを担います。整骨院を法人で運営している場合は、施設を設置する前に誰が責任者となるのかを決め、必要な管理体制を整えておきましょう。

2-3. 設置後10日以内に都道府県知事等へ届け出る

オンライン診療受診施設を設置した場合は、設置した日から10日以内に、施設所在地を管轄する都道府県知事等へ届け出る必要があります。

届出では、施設の名称や所在地、設置者に関する情報、オンライン診療を提供する医療機関に関する情報など、所定の事項を届け出ます。

届出様式は厚生労働省から様式例が示されていますが、具体的な提出先や提出方法については所在地を管轄する自治体の案内を確認しましょう。

2-4. 設置後1か月以内にチェックリストを提出・公表する

オンライン診療受診施設の設置者は、厚生労働省が示すチェックリストを使用して、施設が必要な基準を満たしているか確認する必要があります。

チェックリストでは、施設の清潔性・安全性や患者のプライバシー、情報セキュリティなど、オンライン診療を適切に受けられる環境が整っているかを確認します。

確認したチェックリストは、施設の設置後1か月以内に都道府県知事等へ提出するとともに、Webサイトなどで公表する必要があります。また、施設でオンライン診療を提供する医療機関等の名称についても公表が必要です。

なお、施設基準への適合は設置時だけ確認すれば良いわけではありません。設置後も適切な受診環境を維持し、必要な管理を継続していくことが大切です。

3. 整骨院がオンライン診療受診施設を設置・運営する際の注意点

最後に、整骨院がオンライン診療受診施設を設置・運営する際に押さえておきたい2つの注意点を紹介します。

●整骨院自体が医療を提供する施設だと誤認させない
オンライン診療受診施設は、患者がオンライン診療を受ける「場所」を提供する施設であり、施設自体が医療を提供するわけではありません。

そのため、オンライン診療受診施設について広告する場合は、施設自体が医療を提供するものではない旨を、患者が理解できる方法で明示する必要があります。

また、オンライン診療に関する広告には医療法上の規制が適用される場合があるため、掲載できる内容についても十分に確認しましょう。

●正当な理由なく1年を超えて施設を休止してはならない
医療法では、オンライン診療受診施設について、正当な理由なく1年を超えて休止することが禁止されています。

また、休止した施設が正当な理由なく1年以上業務を再開しない場合には、都道府県知事等による措置の対象となる可能性があります。そのため、施設を継続して運営できる体制を整えたうえで設置することが大切です。

やむを得ず長期間休止する必要が生じた場合は、あらかじめ管轄する自治体へ必要な対応を確認しておきましょう。

まとめ

2026年4月から施行されたオンライン診療受診施設の制度により、整骨院も必要な施設基準を満たし、所定の手続きを行うことで、患者がオンライン診療を受けるための場所を提供できるようになりました。

設置にあたっては、プライバシーや情報セキュリティに配慮した環境を整えるほか、都道府県知事等への届出やチェックリストの提出・公表など、制度に沿った対応が必要です。

全国統合医療協会では、整骨院をはじめとする施術所の運営をさまざまな面からサポートしています。オンライン診療受診施設への対応をはじめ、新たな制度への対応や院運営について疑問・不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

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中村 崇男

昭和44年東京生まれ。昭和63年都内整骨院を勤務し、東京柔道整復専門学校を卒業後、平成23年一般社団法人全国統合医療協会を設立。鍼灸師・柔道整復師の社会的地位と健康医療福祉の更なる向上を目標に幅広い分野で活動中。
一般社団法人全国統合医療協会理事長
公益財団法人明徳会清水ヶ丘病院理事長